テーマ:洋楽(3285)
カテゴリ:洋ロック・ポップス
“素材のよさ”が際立つ名盤 ジェシ・ウィンチェスター(Jesse Winchester)は1944年米国出身のシンガーソングライター。既に音楽活動を始めていた1967年、ヴェトナム戦争の召集令状から逃れるため、カナダへ逃げ、モントリオールやケベックで音楽活動を続けるうちに、ザ・バンドのロビー・ロバートソンに見出され、このデビュー盤『ジェシ・ウィンチェスター』の制作へとつながった。ロビー・ロバートソンはプロデュースに加え、ソングライティング(3.「スノウ」)にも参加している。また、ザ・バンドつながりでロビー・ロバートソンがギター、リヴォン・ヘルムがドラムとマンドリンを演奏しているほか、エンジニアはトッド・ラングレンである。 ジャケット写真は、まるで指名手配の写真のような髭面のジェシ本人が映っている。味気ないジャケ写と言えばそれもそうかもしれないのだけれど、憂いのある悲しげな表情が印象的である。この写真の表情と関係あるのかどうかは定かではないけれど、このデビュー当時、ジェシは“逃亡の身”だった。上記のようにヴェトナムで人殺しになるよりも、徴兵回避の犯罪を犯してでも祖国を捨てる決意をした。カナダ市民権を得るのは1973年、大統領特赦で米国再入国が認められるのが1977年のことだから、1971年の本盤発表時はまだ“宙ぶらり”だった。ジャケ写に加えてアルバム全体に染みわたるどこか悲しげなトーンは、こんな彼の状態と重なり合って見える。 本アルバム中でよく知られた曲と言えば、シングルとなった6.「ヤンキー・レイディ」、あとは冒頭の1.「ペイデイ」といったところだろうか。確かにこれらはどちらもよくできているのだけれど、とくに1.の方はジェシ・ウィンチェスターの音というよりは、脚色された音という印象がある(別にそれがだめというわけではなく、見事に功を奏しているのだけれど)。7.や11.なんかもそれと同じ部分があるように思う。けれども、全編通して聴けば聴くほど、ジェシの本領はやはりソングライティングにあったのかという気もする。 そのようなわけで、ジェシらしさがどちらかというとそのまま素朴に出た曲も見逃せない。個人的に絶対外せないと思うのは、2.「ビロクシ」。演奏というのではなく、曲という“素材”そのものとしては、本盤屈指の名作だとすらと思う。他に聴きどころとしては、ロビー・ロバートソンと共作の3.「スノウ」も聴き逃せない。他にも4.や9.から窺えるように、とにかく曲の質が高い。結果、アルバム全体としては、そうした曲のよさがストレートに出ることもあれば、うまく脚色されて出てきたりもするという感じ。本作はよく名盤と言われるけれど、やはりその基礎にあるのはやはり素材(曲)のよさ。ロビー・ロバートソンの参加が大きいのは確かけれど、なによりもジェシ・ウィンチェスターのソングライターとしての素晴らしさが際立った1枚と言えるように思う。 [収録曲] 1. Payday 2. Biloxi 3. Snow 4. The Brand New Tennessee Waltz 5. That’s A Touch I Like 6. Yankee Lady 7. Quiet About It 8. Skip Rope Song 9. Rosy Shy 10. Black Dog 11. The Nudge ~以下、2007年再発時のボーナス・トラック~ 12. Payday (live) 13. Yankee Lady (live) 14. Black Dog (live) 1971年リリース。 【Joshin webはネット通販1位(アフターサービスランキング)/日経ビジネス誌2012】ジェシ・ウィンチェスター+3/ジェシ・ウィンチェスター[CD][紙ジャケット]【返品種別A】 下記のランキングサイトに参加しています。 お時間の許す方は、ひとつでも“ぽちっと”応援いただけると嬉しいです! ↓ ↓ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2015年11月28日 15時06分29秒
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