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音楽日記 ~ロックやジャズの名盤・名曲の紹介とその他の独り言~

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2012年11月14日
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サウンドの確立を告げるサヴォイ・ブラウンの代表盤


 キム・シモンズ率いるサヴォイ・ブラウン(Savoy Brown)は、60年代後半のデビューから現在までコンスタントに音楽活動を続けているバンド。個人的には決して熱心なファンとは言えず、その全容を知るわけでもない。というのも、筆者がこれまで主に聴いた盤は初期に集中しており、その点では偏った聴き方をしている。とはいえ、本盤『ゲッティング・トゥ・ザ・ポイント(Getting To The Point)』が、活動初期の代表盤であることは衆目の一致するところであろう。

 当初のバンド名(デビュー作発表時の“サヴォイ・ブラウン・ブルース・バンド”)から“ブルース・バンド”が抜け落ち、“サヴォイ・ブラウン”というよりシンプルな名称で出直したバンド第二作。実はバンドのメンバーもファースト・アルバム(『シェイク・ダウン』)からはごっそり入れ替わってしまっている。メンバー変更の中でも大きいのは、ボーカルのクリス・ユールデン(Chris Youlden)が加わったことである。“あんたはホントに白人かい?”、“その声がイギリス人?”と言いたくなるような、黒人的ヴォーカル。短期間だとはいえ、1970年までこのバンドの声となる。他には後(1971年)にフォガットを結成することになるロンサム・デイヴ(デイヴ・ペヴァレット、ギター)とロジャー・アール(ドラムス)が参加している。バンド全体としてみれば、メンバー総入れ替えの効果としていちばん顕著なのは、全体的に演奏の精度が急激に上がっている点である。

 “演奏の精度”というと無条件によいことのように考える人もいるかもしれないが、一般論としては必ずしもそうとは限らないないように思う。ジャンルにもよるけれど、ブルースということからすると、隅々まで楽譜として完成されているような演奏になってしまった場合、退屈にもなり得る。もっとわかりやすい例としては、ジャズの場合にも同じようなことが言え、譜面に定められた予定調和の演奏など、よっぽど特殊な場合を除き、そもそもジャズとしての面白みを損なうことになりかねない。結局のところ、変に精度が高すぎて、その結果、計算しつくされているように聴こえてしまったならば、逆にその演奏の魅力が半減してしまうという現象すら起こり得る。

 けれどもこのアルバムはそうはなっていない。本盤がそうならなかったのは、この後にもサヴォイ・ブラウンの特徴として続いていく“緩さ”や“気だるさ”が、高い演奏の質とほどよくマッチしたからだろうと感じる。ブルースのカバーを多く収録し、ある種“勢い”で聴かせていたファーストに比べると、本盤の方は、出だしの1.「フラッド・イン・ヒューストン」からして、何ともまったりした雰囲気がより支配的になっている。

 そして、そのトーンを決定づけているのは、やはり中心人物であるキム・シモンズ(Kim Simmonds)のギターだろう。この人のギターは、同じ3大ブルース・ブルース・バンドの一角とされた同時期のフリートウッド・マックのギター(ピーター・グリーン)などに比べ、鋭さや切れでは劣る気がしないでもない。けれども、全編を通してのまったりとした雰囲気は他にまねのできないものだ。このギターは、メンバー変更によって入れ替わった安定感十分のリズム・セクション(つまりは上述の演奏の精度)と組み合わされることでいちばんその本領が発揮されていると思う。例えば、4.「ジ・インクレディブル・グノーム・ミーツ・ジャックスマン」のギター・ソロ、表題曲7.「ゲッティング・トゥ・ザ・ポイント」のインプロビゼーション全開のギター演奏の展開などはその例だろう。

 最後になったが、今もって本盤のジャケットの趣味は個人的にあまりよく理解できない。このイメージだけでアルバムを手に取ることから遠ざかっている人もいるでは、と心配になってしまう。キム・シモンズが丸い眼鏡をかけてそのレンズには黒人の顔が入っているというものだが、シモンズ自身によると、“我々は白人だが、黒人と同じように物事を見ている”ことを示したかったらしい。60年代末という時代背景を考えれば、それはそれで理解できるのだけれど、う~ん、やっぱり変にインパクトあり過ぎ。“ちょっとこれでも聴いてみたら?”と差し出されたCDのジャケットがこれだったら、普通の人はやっぱり躊躇するだろう。無論、躊躇して聴かないというのはもったいない内容のアルバムなのだけれど。



[収録曲]

1. Flood In Houston
2. Stay With Me Baby
3. Honey Bee
4. The Incredible Gnome Meets Juxman
5. Give Me A Penny
6. Mr. Downchild
7. Getting To The Point
8. Big City Lights
9. You Need Love
10. Walking By Myself
11. Taste And Try, Before You Buy
12. Someday People

1968年リリース。




  
Savoy Brown / Shake Down / Getting To The Point 輸入盤 【CD】






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Last updated  2012年11月14日 05時34分01秒
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