音楽日記 ~ロックやジャズの名盤・名曲の紹介とその他の独り言~

2013/01/11(金)06:58

ジョニー・ウィンター 『セカンド・ウィンター(Second Winter)』

洋ロック・ポップス(908)

現在と過去の両方を見据えた秀逸盤  実を言うと、私はこういう音楽に滅法弱い。ちょっと聴いただけでノック・アウトされてしまう。ブルースとロックの接点、そこでセンスや才能が爆発した時のあのゾクゾク感のことである。一般化していえば、60年代末から70年代初めの、いわゆるブルース・ロック系と分類されるアーティストの作品にそういうのが多い。そんな諸作の中で、何度聴いても飽きない1枚がこの『セカンド・ウィンター』である。  ジョニー・ウィンター(Johnny Winter)は、1944年テキサス生まれ。1968年にローカル・デビュー盤『ザ・プログレッシヴ・ブルース・エクスペリメント』でデビューし、すぐさま翌年にメジャー・デビュー盤『ジョニー・ウィンター』も発表。この時のCBSとの破格の契約からは“100万ドルのギタリスト”という触れ込みまでついた。このデビューの勢いに乗って同じく1969年にリリースされたメジャー第2作がこの『セカンド・ウィンター(Second Winter)』だった。  後聴きの筆者はアナログ盤を体験していないのだが、本盤はLPでは変則的な2枚組で、A面、B面、C面という仕様であった(つまりLP2枚目の裏側には収録なし)。つまりはアナログ盤にして1.5枚分という中途半端な曲数の収録である。  この曲数だけをみると、“アルバム1枚分以上あったから詰め込んだ?”とか、“2枚組にするほどアイデアがなかった?”などと勘繰る人もいるかもしれないが、実はまったくそうではない。しっかりと計画された1.5枚分なのである。収録された全11曲のうち、最初の3曲はブルース・サイド。白人ブルースの名手としての演奏がいかんなく発揮されているパートである。続く4曲はいってみればロック・サイド。この少し後にジョニー・ウィンターが“ジョニー・ウィンター・アンド”のバンド名で展開していく際に核となった部分である。最後に、アナログC面にあたるのがジョニー・ウィンター自身の“創作サイド”である。  つまりアルバムは明確に3つのパートに分かれていて、“A+B=C”という図式が透けて見える。ブルースとロックの伝統(過去)をそれぞれを消化し、独自の音楽創作(いま)につながるという図式である。一般には、過去に比重の高いアルバム作品とか、現在~未来を見据えて革新的・創作的要素を中心に据えたというアルバムは、今も昔も多いけれど、過去と現在の組み合わせというコンセプトがこれほど見事かつ明瞭に出て、しかも成功している例というのは、そう多くないのではなかろうか。  最後に、“ところでどのパートがいちばんいいの?”との質問が飛んできそうなので、私的な好みを記しておきたい。賛否両論あるだろうが、筆者は“ロック的”なジョニー・ウィンターはさほど好きではないので、どれかと訊かれれば、A面がいちばん好きである。そのA面の要素が生かされたC面の部分ももちろんお気に入り。曲単位でいうと、A面の1.~3.はどれも見事だが、特に1.「暗い苦しみの思い出(メモリー・ペイン)」と2.「心に秘めた愛(アイム・ノット・シュア)」が好み。それ以外では、ボブ・ディランの7.「追憶のハイウェイ61」がなかなかいい味を出している。アルバム終盤にかけては、どれもいい出来だが、1曲だけ気に入っているナンバーを挙げるとすれば、11.「ファスト・ライフ・ライダー」で決まりといったところだろうか。 [収録曲] 1. Memory Pain 2. I'm Not Sure 3. The Good Love(以上、アナログA面) 4. Slippin' and Slidin 5. Miss Ann 6. Johnny B. Goode 7. Highway 61 Revisited(以上、アナログB面) 8. I Love Everybody 9. Hustled Down In Texas 10. I Hate Everybody 11. Fast Life Rider(以上、アナログC面) 1969年リリース。 *2004年の“レガシー・エディション”では、追加トラック2曲、ボーナスディスク(ライヴ)1枚が追加(筆者は未聴)。   【送料無料】セカンド・ウィンター/ジョニー・ウィンター[Blu-specCD]【返品種別A】 下記のブログランキングに参加しています。応援くださる方は、バナーをクリックお願いします!        ↓          ↓                

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