テーマ:Jazz(1988)
カテゴリ:ジャズ
トミー・フラナガンの実質的初リーダー作 2色刷りの猫の写真の、シンプルながらもなかなかよくできた秀逸デザインのジャケット。“猫(cats)”とはジャズメンを形容するのに使われる表現であることから採られたモチーフであり、アルバムのタイトルである。内容はというと、プレスティッジに多くあるジャム・セッション系の演奏(なお本盤はニュー・ジャズとうプレスティッジの傍系レーベルによる制作)。ジャケット右側に記されているように、主要メンバーは、トミー・フラナガン(ピアノ)、ジョン・コルトレーン(テナーサックス)、ケニー・バレル(ギター)、アイドレス・シュリーマン(トランペット)である。 収録された5曲は、ガーシュウィン曲である2.「ハウ・ロング・ハズ・ジズ・ビーン・ゴーイング・オン」(この曲だけは、コルトレーン、シュリーマン、バレルが抜けて、ピアノ・トリオ形式で演奏されている)を除き、いずれもトミー・フラナガンの曲。さらには、メンバー表記の筆頭にピアノ奏者の彼が来ていることからも、セッション盤でありながらも、実質的にはトミー・フラナガン中心の盤に仕上がっており、その意味では彼の初リーダー作というふうに言われるのもよくわかる。 とはいえ、後々の味わい深いフラナガンのイメージに期待を寄せすぎてもいけない。あと、よくある評としては、コルトレーンに期待しすぎてもいけない。やはり基本はジャム・セッション的なので、全体のバランスで聴く盤だと感じる。なんだが言い方は悪いが、フラナガンだけに期待したり、コルトレーンだけに期待すると“はずれ盤”だと感じられるかもしれない。けれども、各楽器がバランスよくソロをとりながら、マイナー曲中心に“いかにもハードバップしてみました”というノリで聴くにはかなりの好盤というのが正直なところ。 個人的に好みなのは、1.「マイナー・ミスハップ」と3.「エクリプソ」(こちらの曲は、『オーヴァーシーズ』でのピアノトリオでの演奏も有名)という、フラナガンの代表作的なナンバー。まさしく絵にかいたようなハードバップのお手本と言ってもいいような演奏。特に好調なのは、アイドレス・シュリーマンのトランペット。加えて、ケニー・バレルのギターも随所でいい味を出しており、ベースのダグ・ワトキンスは本盤の陰の立役者。とはいえ、個人技というよりは、やはりトータルな出来の面で勝る盤。ジャズの世界には、一つあるいはいくつかの特定の楽器(個別の演奏者)で楽しめる盤もあれば、逆に、全体のバランスで聴く盤もあるということが再確認できる。本盤は典型的に後者に傾いた盤と思うのだが、いかがだろうか。 [収録曲] 1. Minor Mishap 2. How Long Has This Been Going On? 3. Eclypso 4. Solacium 5. Tommy's Tune [パーソネル・録音] Tommy Flanagan (p) John Coltrane (ts) Idress Sulieman (tp) Kenny Burrell (g) Doug Watkins (b) Louis Hayes (ds) 1957年4月18日録音。 ![]() Tommy Flanagan / John Coltrane / Kenny Burrell / Cats 輸入盤 【CD】 下記のブログランキングに参加しています。応援くださる方は、バナーをクリックお願いします! ↓ ↓ ![]() ![]() ![]() ![]() お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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