テーマ:Jazz(1989)
カテゴリ:ジャズ
大人向きで涼風なMJQ盤 この暑さを吹き飛ばす盤が何かないかということで、これをお届けしたいと思いつき、今回はMJQ盤の話にお付き合いいただきたい。 MJQことモダン・ジャズ・カルテット(The Modern Jazz Quartet, 当初はミルト・ジャクソン・カルテット、どちらも略称はMJQ)は1950年代初頭に結成された。メンバーはミルト・ジャクソン(ヴィブラフォン)、ジョン・ルイス(ピアノ)、パーシー・ヒース(ベース)、ケニー・クラーク(ドラム、1955年からはコニー・ケイ)。20年以上活動をつづけた後、彼らは1974年に解散した。その解散直前の1973年の作品がこの『ブルーズ・オン・バッハ(Blues on Bach)』という作品。内容としては、前年のカーネギーでのコンサートで披露された内容のスタジオ録音盤である。ちなみに、MJQはこの解散後、1981年に再結成され、活動を再開した後、1993年に最後の作品を残したが、現在では既にメンバー全員が鬼籍に入っている。 モダン・ジャズ・カルテットは、リーダーのジョン・ルイスの精緻でクラシック寄りの趣向と、ヴィブラフォン担当のミルト・ジャクソンのブルージーさとの絶妙なバランス具合の上に成り立っていた。実際、MJQとしてではなくミルト・ジャクソンがリーダーを務めた際の演奏と、MJQの枠内での演奏では、明らかに本人がその違いをつけている(参考過去記事(1) ・(2) )。 そもそもヴィブラフォンという楽器の音は涼しげで、納涼にもぴったりということが多い。本盤ではバッハに敬意を表するジョン・ルイスのアイデアと、ブルースを得意とするミルト・ジャクソンの個性をうまく生かし、奇数曲と偶数曲の間で工夫された構成に仕上がっている。奇数曲(1., 3., 5., 7., 9.)はバッハのアレンジで、ジャズ盤としてはおとなしい(おとなしすぎる?)出来上がり。これらの曲ではジョン・ルイスのハープシコードが納涼感をいっそう増す心地よさがいい。これに対して偶数曲(2., 4., 6., 8.)はオリジナルのブルース曲で、ミルト・ジャクソンがより前面に出ている。とくに6.「Cマイナーのブルース」の繊細さ、8.「H(B)のブルース」のブルージーさはミルト・ジャクソンの本領が発揮されているが、これらがバッハ曲の解釈にはさまれているという巧妙な構成が本盤のミソなのだろう。 べったりブルージーになることもなく、だからといってクラシック(バッハ)に偏りすぎることもなく、という絶妙のバランス。純粋ジャズ主義な人には拒否反応を起こさせかねない盤であるというのも確かかもしれないが、地味な隠れた名盤の一つと言っていいように思う。 [収録曲] 1. Regret? 2. Blues In B Flat 3. Rise Up In The Morning 4. Blues In A Minor 5. Precious Joy 6. Blues In C Minor 7. Don't Stop This Train 8. Blues In H (B) 9. Tears From The Children [パーソネル・録音] Milt Jackson (vib) John Lewis (p, harpsichord) Percy Heath (b) Connie Kay (ds. per) 1973年11月26・27日録音。 ![]() 【送料無料】JAZZ BEST COLLECTION 1000::ブルース・オン・バッハ [ ザ・モダン・ジャズ・カルテット ] 次のブログのランキングサイトに参加しています。 お時間の許す方は、“ぽちっと”クリックで応援をよろしくお願いします! ↓ ↓ ![]() ![]() ![]() ![]() お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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