カテゴリ:洋ロック・ポップス
急ごしらえながら、新旧入り乱れて楽しめる1枚 ザ・ビーチ・ボーイズ(The Beach Boys)は、1961年結成のアメリカのロック・グループ。大雑把に言えば、ビートルズと同時代に始まったバンドというわけで、実際、60年代にはビートルズとの間に音楽面での相互の影響関係も見られる(過去記事『ペット・サウンズ』を参照)。けれども、ビートルズが70年に解消されたのに対し、ビーチ・ボーイズは何十年も続いた。続いたと言っても、メンバーは入れ替わったり、年月とともにオリジナル・メンバーは死去したり、互いにもめごとがあったりといろいろありながらも、一応解散宣言というものはなく、現在まで一部メンバーで活動が続いている。 本盤『スティル・クルージン(Still Crusin’)』は、1989年リリースの通算35枚目(編集盤含む、オリジナル・アルバムとしては26枚目)のアルバム。上記のような経緯がありながらも“まだやってるよ”的ないい加減なタイトルのアルバムと言えなくもないが、今述べた発表アルバムの枚数を見るだけでも、その芸の長さ(?)がよくわかろうというものだ。 とはいえ、1980年代のビーチ・ボーイズは順風満帆ではなかった。1980年代に入る頃には、カール・ウィルソンが一時バンドを離脱しソロ活動に専心し、その後、1983年には、デニス・ウィルソンが溺死。一応、脱退したわけではなくバンドの所属となっていたブライアン・ウィルソンは、長年の低迷から抜け出しようやく復活していく時期だったが(1988年の復帰作『ブライアン・ウィルソン』)、逆にこの復帰作のせいでソロ活動の方に忙しい状況だった。 こうした前後の状況だったが、トム・クルーズ主演の映画『カクテル』から「ココモ」という大ヒット・シングルが生まれ、全米1位となる。何といっても「グッド・ヴァイブレーション」(1966年)以来、22年ぶりという全米No.1ヒットとなったシングル曲である。ところが、実際のところはメンバーも忙しく、十分にアルバム1枚が作れるだけの曲は用意できなかったというのが実情だったようだ。そのようなわけで、8.「アイ・ゲット・アラウンド」、9.「素敵じゃないか(Wouldn’t It Be Nice)」(『ペット・サウンズ』に収録)、10.「カリフォルニア・ガールズ」という、60年代のヒット曲を採録して全10曲となっている。とはいえ、シングル・ヒットの人気につられる形で、結局はこの急造アルバムも結構売れ、米・豪でゴールドディスクとなった(ただしアルバム・チャートでは全米46位止まり)。 そのようなわけで、アルバム作品としての完成度は確かにあまり高くないのかな…というのが正直な感想。表題曲の1.「スティル・クルージン」をはじめ、3.「アイランド・ガール」、上記ヒット曲5.「ココモ」といった辺りは、“トロピカルにヴァカンス”といった風情で、この辺りが聴きどころかと思う。まあ、不揃い感は他の映画曲や上記の古い曲を混ぜているからやむを得ないところだが、筆者にとっては、なぜかこのヴァカンス気分に誘われて、夏になると一度はCD棚からひっぱり出して聴きたくなるという1枚だったりする。ついでながら、80年代末には、60年代の彼らのヒット曲を知らない世代もそうとう本盤を手にしただろうから、そういう意味では8.~10.の収録も悪くなかったのではないだろうかと想像してみたりもする。 [収録曲] 1. Still Cruisin' 2. Somewhere Near Japan 3. Island Girl 4. In My Car 5. Kokomo 6. Wipe Out 7. Make It Big 8. I Get Around 9. Wouldn't It Be Nice 10. California Girls 1989年リリース。 ![]() 【中古】スティル・クルージン/ザ・ビーチ・ボーイズCDアルバム/洋楽 下記ランキングに参加しています。 お時間のある方、応援くださる方は、“ぽちっと”よろしくお願いいたします! ↓ ↓ ![]() ![]() ![]() ![]() お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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