テーマ:Jazz(1987)
カテゴリ:ジャズ
ブルーノートでの第1作に見る新たな地平 ニューヨーク出身のアルト・サックス奏者、ジャッキー・マクリーン(Jackie McLean)は、若いうちからレコーディングの機会を得て、例えば1951年には20歳そこそこでマイルス・デイヴィスの『ディグ』の録音にも参加している。1950年代半ばからはリーダー作も吹き込み、主にプレスティジに次々と録音を行って作品を発表している(過去記事(1) ・(2) )。そして、プレスティジとの契約が切れた後の1959年からはブルーノートと契約し、このレーベルで作品の吹き込みを行うようになる。同年1月には早速ブルーノートでの初リーダー・セッションが録音されているが、この音源はすぐには作品にはならなかった(後に『ジャッキーズ・バッグ』のA面3曲となる)。 本盤『ニュー・ソイル(New Soil)』は、その数か月後(1959年5月)の録音。結果的には、このセッションがブルーノートからリリースされたマクリーン第1作となった。それまでのレコーディングと、ブルーノートでのレコーディングには大きな変化があった。『ニュー・ソイル(新しい地)』というタイトルは、本人曰く、彼のキャリアの大きな変化となる節目を示している。続けてマクリーン自身が語っているように(本盤ライナー参照)、ブルーノートでは長期間のリハーサルが与えられ、いきなりの本盤ではなく、5週間の準備期間の上にレコーディングがなされた。 その結果、この考え込まれ精緻さを増した演奏の質につながっているのだろう。良くも悪くも“出たとこ勝負”なのではなく、細部の緻密さのレベルが格段に高く、見事な完成度を誇る盤になっている。5週間というリハーサルを有効に活用したマクリーンも素晴らしいが、そもそもこれを用意したブルーノート(アルフレッド・ライオン)側はさらに素晴らしい見通しを持っていたのだろう。本作が吹き込まれた1959年というのは、ジャズの転換期を示す重要な年となった。マイルスの『カインド・オブ・ブルー』しかり、コルトレーンの『ジャイアント・ステップス』しかり…。ハードバップの時代から次の新たなジャズの時代への胎動が進んでいた。マクリーンはそうした次のステージを見据え、従来の演奏・録音スタイルからの転換をうまく成し遂げた。 上述の精緻さと完成度はアルバム全体から感じられるが、あえて典型(かつ筆者のお気に入り)を挙げるならば、2.「マイナー・アプリヘンション」と5.「デイヴィス・カップ」。マクリーンが言うように“これまでとは違ったプレイ”を見せるドナルド・バードのトランペットとのアンサンブル、流れるように展開されるマクリーン自身のソロの本領がとりわけ発揮されている。さらに付け加えると、本盤で起用されたピアニスト(かつ半数以上の曲の作曲者)、ウォルター・デイヴィス・Jr.の活躍も見逃せない。本盤所収の演奏が間延びせずに流暢に展開していく上でこの人の存在はなかなか大きかったのではないだろうか。ちなみに、この数か月後、ウォルター・デイヴィス・Jr.もまたブルーノートでのリーダー盤(『デイヴィス・カップ』、ただしこの表題の曲は同盤ではなく本マクリーン盤に収録と少々ややこしい)を吹き込むことになる。 [収録曲] 1. Hip Strut 2. Minor Apprehension 3. Greasy 4. Sweet Cakes 5. Davis Cup 6. Formidable(CD追加曲) [パーソネル・録音] Jackie McLean (as) Donald Byrd (tp) Walter Davis Jr. (p) Paul Chambers (b) Pete La Roca (ds) 1959年5月2日録音。 Blue Note 4013 ![]() 【送料無料】【輸入盤】New Soil (Hyb) [ Jackie Mclean ] ↓通常(廉価)版↓ 【当店専用ポイント(楽天ポイントの3倍)+メール便送料無料】ジャッキー・マクリーンJACKIE MCLEAN / NEW SOIL (輸入盤CD) (ジャッキー・マクリーン) 下記ランキングに参加しています。 お時間のある方、応援くださる方は、“ぽちっと”よろしくお願いいたします! ↓ ↓ ![]() ![]() ![]() ![]() お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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