テーマ:Jazz(1987)
カテゴリ:ジャズ
起伏を楽しむホーン入りガーランド盤 レッド・ガーランド(Red Garland)は、マイルス・デイヴィスのクインテットのメンバーとして広く知られ、1955~58年までその一員だった。そのおかげで、1956~62年にかけてプレスティジやジャズランドといったレーベルに次々と録音を残す。その後、いったん引退してから70年代後半に復帰したものの、1984年に心臓発作で亡くなっている。 プレスティジ系の彼の吹き込みを見渡してみると、25枚のうち19枚がトリオでの吹き込み。名盤としてよく名が挙げられる『グル―ヴィー』を始め、本ブログでこれまで取り上げたところでは、初リーダー作の『ア・ガーランド・オブ・レッド』、個人的にお気に入りの『レッド・イン・ブルースヴィル』や『ブライト・アンド・ブリージー』など、トリオ演奏の印象が強い。けれども、トリオ盤を吹き込む一方で、管楽器を取り込んだ盤も残し、特にジョン・コルトレーン(テナー・サックス)とドナルド・バード(トランペット)をフィーチャーしたクインテットの一連のレコーディングがある。 本盤『ハイ・プレッシャー(High Pressure)』は、そちらの方の代表作。このメンバーでガーランドは、1957年11月15日と同年12月13日にまとめて録音を行っており、この盤では両日から5曲が収録されている。なお、この同じメンバーでは『ソウル・ジャンクション』があるが、そちらの方は11月15日の録音が収められている。実は、この2日間のセッションは、マイルスの“マラソン・セッション”みたいに、後でアルバムとして編集されることになるいわば“録りだめ”のレコーディングだった。前年のマイルスの2日間の吹き込みは、“契約の消化”という側面があったものの、レッド・ガーランドの録りだめにはどうやらそういう理由はなかったようだ。つまりは、純粋にイケるメンバーが揃い、ここぞとばかりにまとめて録音をしたということなのだろう。 実際のところ、本盤の内容はと言うと、決して衆目を集める盤ではないかもしれないが、“これぞハードバップ”なお見事な1枚。ジョン・コルトレーンは、この年、マイルスのグループを抜けた後、モンクのもとで研鑽を積み、初リーダー作を吹き込んで、独自のサウンドとスタイルを確立していったというまさに変化と昇り調子の時期。コルトレーンが“神の啓示をうけた”と語っているのがこの年の7月、そして、『ブルー・トレイン』を吹き込むのが9月で、その数ヵ月後が本セッションであった。他方、トランペット奏者のドナルド・バードも伸び盛りの時期で、この年はジジ・グライス(アルト・サックス)とのグループを結成していた。翌年からはブルーノートの吹き込みを開始し、59年の名盤『フエゴ(フュエゴ)』へと向かっていく。 トリオ盤との違いは、大きく言うと、やはりその起伏にあるように感じる。1.「ソフト・ウインズ」はアップテンポで、2.「ソリチュード」はエリントンのバラード。これだけでも起伏は十分にあるけれど、さらに、5.「トゥー・ベース・ヒット」では期待通りに(?)コルトレーンが突っ走っていく。単にガーランドのピアノを楽しむという発想ではなく、トランペット(D・バード)にサックス(J・コルトレーン)入りのピアノ・トリオを楽しむと考えて聴く方がいいだろう。二人のハードバップを体現する、想像力あふれるソロの合間をガーランドのピアノが転がっていく。ブローイング・セッションと形容するほどの激しさはないけれど、“やっぱりジャズっていいね”というセリフに落ち着く、実に好演奏が繰り広げられている。 [収録曲] 1. Soft Winds 2. Solitude 3. Undecided 4. What Is There to Say? 5. Two Bass Hit [パーソネル、録音] Donald Byrd (tp) John Coltrane (ts) Red Garland (p) George Joyner (b) Art Taylor (d) 3.、4.: 1957年11月15日録音 1.、2.、5.: 1957年12月13日録音 【当店専用ポイント(楽天ポイントの3倍)+メール便送料無料】RED GARLAND / HIGH PRESSURE (輸入盤CD) 下記のブログランキングに参加しています。応援くださる方は、バナーをクリックお願いします! ↓ ↓ ![]() ![]() ![]() ![]() お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2014年01月13日 08時26分50秒
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