カテゴリ:ジャズ
二通りに楽しめる熱い盤 ジョー・ヘンダーソン(Joe Henderson)は米国オハイオ州出身のテナーサックス奏者(1937年生まれ、2001年没)。1950年代にはデトロイトで音楽活動を行い、60年代に入ってからニューヨークへ進出。ブルーノートなどにハードバップ~前衛的な傾向の作品を残した。70年代に入って彼はBS&T(ブラス・ロック・バンドのブラッド・スウェット&ティアーズ)と演奏してみたり、サンフランシスコで音楽を教えたりと、80年代以降に“復活”するまでは、ペースを落とした活動期間に入る。 そんな70年代の初頭、日本に来日し、当時の日本の一線のジャズ奏者たちと共演したライヴ演奏盤がこの『ジョー・ヘンダーソン・イン・ジャパン(Joe Henderson In Japan)』である。録音の日は今から40年数年前、1971年の8月4日、録音場所はコンサートホールではなくて、銀座のクラブでの演奏。そのようなわけで、本盤はジョー・ヘンダーソンの盤としても楽しめれば、当時の日本のジャズミュージシャン(市川秀男=エレピ、稲葉国光=ベース、日野元彦=ドラム)が彼と共演した盤として、つまりは、往時の日本のジャズシーンの熱さを体感できる盤としても楽しめるという風に思う。 収録されているのは比較的長尺(短いもので8分半ほど、長いもので15分近く)の4曲。いずれも、ヘンダーソンのサックスをしっかり聴かせながらも、他のメンバーの迫力がビンビンと伝わってくる(特に日野元彦のドラミングは“熱さみなぎる”という形容がぴったりだと思う)。 収録の4曲はなかなか甲乙つけがたいが、1.「ラウンド・ミッドナイト」は冒頭(無伴奏演奏)部分も含め、かなり個性的な出来栄えで、ヘンダーソンの素晴らしさの背景に光るのは稲葉国光のベースだという気がする。「イン・ン・アウト」改め「アウト・ン・イン」となっている2.は、本盤収録曲中ではインパクトが少ないが、最も彼らしい演奏と言えそう。本ブログで過去に取り上げた『ページ・ワン』にも収録されていた3.「ブルー・ボッサ」は、ケニー・ドーハム作のものだが、既に“自分の曲”と化している感じがして、こういうブルージーな感じに迫られると、個人的には思いっきりツボにはまってしまう。4.「ジャンク・ブルース」は、上記の“熱さ”が最高潮になって表現された、アルバムの展開的にはいちばんの聴きどころとなっていて、ヘンダーソンの演奏も最高潮なら、ドラムの迫り具合も、(70年代的と言われようとも)このエレピの勢いのよさも、全てが“熱い”演奏に見事なまでに結実している。 なお、この盤のジャケットは、残念ながら、そうした“熱さ”がまったく伝わらないものとなっているように思う。上半身裸で座ったヘンダーソンの写真の背景には、小さめの文字で“ジョン・ヘンダーソン ジョン・ヘンダーソン…”とひたすらカタカナの文字(これはこれで非日本語圏ではインパクトがあったのかもしれないけれど)。ともあれ、内容を考えると、それこそコルトレーンのヴィレッジ・ヴァンガードの実況録音盤みたいな迫力ある演奏シーンだったらもっと衆目を集められたのではないかという気がしてならない。 [収録曲] 1. 'Round Midnight 2. Out 'N' In 3. Blue Bossa 4. Junk Blues [パーソネル、録音] Joe Henderson (ts) Hideo Ichikawa (elp) Kunimitsu Inaba (b) Motohiko Hino (ds) 1971年8月4日、「ジャンク」にて録音。 下記のランキングサイトに参加しています。 お時間の許す方は、バナーを“ぽちっと”応援いただけると嬉しいです! ↓ ↓ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2014年10月30日 21時40分33秒
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