テーマ:Jazz(1961)
カテゴリ:ジャズ
親しみやすさと力強さを兼ね備えた、かつての“幻の名盤” レイ・ブライアント(Ray Bryant)のトリオ演奏の名盤としてよく知られるのが、プレスティジ盤の『レイ・ブライアント・トリオ』。その一方で、シグニチャーというマイナーレーベルに吹き込まれ、かつて“幻の名盤”とされたもう一つの代表的トリオ盤が、この『レイ・ブライアント・プレイズ(Ray Bryant Plays)』という作品である。 レイ・ブライアントは1931年フィラデルフィア生まれで、2011年に79歳で没している。年齢を重ねてからも様々な作品を残したが、本盤は1959年10~11月のセッションを収めたもの。少しさかのぼってみると、1956年に最初のリーダー作(エピック)を吹き込み、その翌年に名盤として知られる『レイ・ブライアント・トリオ』(プレスティジ)、さらにはソロ・ピアノ作(ニュージャズ)を吹き込んでいて、リーダーとしては4作目に当たるのが本盤だった。 ジャケットは決して芸術的に高度な出来栄えとは言い難いが、人の良さそうな本人が写真に写っている。このどこか親しみやすさや愛嬌が感じられるところは、演奏を聴いた時の印象にも当てはまる部分がある。1.「デロネーのジレンマ」の冒頭や、4.「スニーキング・アラウンド」、チャーリー・パーカー曲の5.「ナウズ・ザ・タイム」、11.「A列車で行こう」なんかに見られる、思わず体が揺らされてしまうノリのよさがその例である。 その一方で、聴き手に強烈な印象を与えるのは、ピアノ演奏における一つ一つのタッチの重み。早いテンポで演奏される6.「ホイートレー・ホール」でそれは顕著に感じられるが、もっとゆったりした曲でもその重みは同様だと思う。例えば、2.「ブルー・モンク」や8.「ア・ハンドレッド・ドリームズ・フロム・ナウ」などを聴けば、そのタッチの重みがよく表現されているように感じる。 ところで、上述の“希少盤”だったのには、本作品のレーベルが極めてマイナーで2年ほどしか続かなかった(そして70年代になって日本では“幻の名盤”として喧伝された)という背景があった。時が流れて、もちろん現在は普通にCDが入手可能である。物珍しさに裏打ちされた評判だけが独り歩きするのではなく、皆が聴ける時代に変わったからこそ、皆が実際に聴き、その評価が高くなされるという、決して多くはないタイプの名盤の1枚と言えると思う。 [収録曲] 1. Delauney's Dilemma 2. Blue Monk 3. Misty 4. Sneaking Around 5. Now's The Time 6. Wheatleigh Hall 7. Doodlin' 8. A Hundred Dreams From Now 9. Bags Groove 10. Walkin' 11. Take The A Train 12. Whisper Not [パーソネル、録音] Ray Bryant (p) Tommy Bryant (b) Oliver Jackson (ds) 1959年10月29日、11月5~6日録音。 【ポイント10倍】レイ・ブライアント・トリオ/RAY BRYANT PLAYS[TLCD-5104]【発売日】2014/11/20【CD】 下記のランキングサイトに参加しています。 お時間の許す方は、バナーを“ぽちっと”応援いただけると嬉しいです! ↓ ↓ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2015年01月11日 19時21分08秒
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