音楽日記 ~ロックやジャズの名盤・名曲の紹介とその他の独り言~

2019/06/02(日)07:23

ビリー・ジョエル 『ストーム・フロント(Storm Front)』

洋ロック・ポップス(912)

円熟期のヒット作  ビリー・ジョエル(Billy Joel)が80年代の末にリリースした11作目(こちらとこちらも入れると13作目)に当たるのが『ストーム・フロント(Storm Front)』である。フォリナー(参考過去記事)のミック・ジョーンズをプロデューサーに迎えての本盤は、『グラス・ハウス』(1980年)以来の全米1位を獲得したほか、シングルの2.「ハートにファイア(We Didn't Start the Fire)」も、「あの娘にアタック(テル・ハー・アバウト・イット)」(1983年)以来の全米1位を記録した。  いくつかの特徴があるが、全体としては“洗練されたつくり”という印象がする。ポップでキャッチーな部分(典型的には上記の2.)、80年代を集約するロック調で聴かせる部分(例えば1.や3.)、抒情的にじっくり聴かせる部分(6.、7.や10.)といった各側面の総合的バランスがよく、ミック・ジョーンズの手腕が大きく影響しているのだろう。他に興味深い点としては、ミック・ジョーンズ自身のほか、バッキングコーラスにリチャード・マークス(参考過去記事)やジョー・リン・ターナー(参考過去記事)も参加している。  収録曲にざっと目を通してみたい。1.「(ザッツ)ノット・ハー・スタイル」はオープニングにふさわしいロック調のナンバー。全米ナンバー1ヒットの2.「ハートにファイア」は歴史的事件がひたすら並ぶ詞も有名。3.「ザ・ダウンイースター・アレクサ」は娘の名前を表題にし、船乗りを主人公にした曲。4.「愛はイクストリーム」は速いテンポで一気にたたみかけ、そして5.「シェイムレス」はじっくり聴かせる。ここまでのアナログA面の出来は、各曲の内容も全体の流れと抑揚も文句の付けどころがない。  後半はやや落ち着いた雰囲気の曲が多くなり、落ち着いたロック調の6.「ストーム・フロント」から始まる。抒情感あふれる7.「レニングラード」ソ連公演の経験が下敷きになったと思われる。8.「愛する君に(ステート・オブ・グレイス)」と9.「ホエン・イン・ローマ」では再びテンポを少し上げ、最後の10.「そして今は…(アンド・ソー・イット・ゴーズ)」でしっとり聴かせてアルバムは終わる。  上記のうち2.、7.、4.、3.、1.、10.の5曲がシングルカットされ、上で述べたように2.のヒットが強く記憶に残ってしまっているが、アルバム本体はそのキャッチーさばかりでなく、ビリー・ジョエルのよさがバランスよく表現された好盤だと言えると思う。 [収録曲] 1. That's Not Her Style 2. We Didn't Start the Fire 3. The Downeaster 'Alexa' 4. I Go to Extremes 5. Shameless 6. Storm Front 7. Leningrad 8. State of Grace 9. When in Rome 10. And So It Goes 1989年リリース。  【メール便送料無料】ビリー・ジョエルBilly Joel / Storm Front (輸入盤CD) (ビリー・ジョエル) 下記のブログランキングに参加しています。 応援くださる方は、バナーをクリックお願いします!        ↓          ↓          

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