2017/04/26(水)20:19
ジャッキー・マクリーン 『ファット・ジャズ(Fat Jazz)』
カロリー過多? 満腹・満足の1枚
ジャッキー・マクリーン(Jackie McLean)唯一のジュビリー録音盤が、この『ファット・ジャズ(Fat Jazz)』という作品。同レーベルにはもう1枚マクリーン盤(『ジャッキー・マクリーン・クインテット』)があるけれども、その実は別のレーベルに吹き込まれた盤のリイシューなので、プレスティジを離れ、ブルーノートに移籍する前にジュビリーに唯一吹き込んだのが本盤ということになる。
注目点は、少し変わった取り合わせの3管構成になっている点。マクリーンのアルト・サックスが明らかにメインとなっているが、それに加えてウェブスター・ヤングのコルネット、レイ・ドレイパーのチューバという編成になっている。ウェブスター・ヤングはこちらの盤でよく知られるが、マイルスばりのしかし優しさと哀愁を湛えた演奏が魅力。一方のレイ・ドレイパーはこの都市に若干16歳で初録音、本盤録音時には17歳という若きチューバ奏者であった。
1.「フィリーデ」は、マクリーンとドレイパーの共作で、いかにも大衆受けしそうなラテン風リズムに哀愁あるメロディが組み合わさったナンバー。続くブルース曲の2.「ミリーズ・パッド」はウェブスター・ヤングらしいゆったりさと端正さを併せ持っている。筆者の感想としてはこの2曲だけでも満足と言えそうなほど、どちらも気に入っている。3.「トゥー・サンズ」もレイ・ドレイパーのペンによるもので、センスのいいマイナー調の曲。ドレイパー自身のチューバもいい味を出している。4.「ホワット・グッド・アム・アイ・ウィズアウト・ユー」は、何と言ってもウェブスター・ヤングの演奏が聴きどころ(というか個人的に好きなだけと言われればそれまでなのだけれど…)。最後の5.「チューン・アップ」はマイルスの曲でマクリーンも演奏し慣れていて、リラックスして気持ちよく演っている姿が目に浮かぶ。
といった具合の5曲の演奏なのだけれども、『ファット・ジャズ』という表題は妙にしっくりくるように思う。ジャケットは、カロリーの高いアイスクリームやスイーツを並べた写真である。その見た目ままに聴いた方も、満腹感ならぬ満足感一杯になれる。超有名盤などではないものの、筆者にとっては密かに愛聴する、ある意味いかにもハードバップなお気に入りの1枚なのである。
[収録曲]
1. Filidé
2. Millie's Pad
3. Two Sons
4. What Good Am I Without You?
5. Tune Up
[パーソネル、録音]
Jackie McLean (as)
George Tucker (b)
Webster Young (cor)
Larry Ritchie (ds)
Gil Coggins (p)
Ray Draper (tuba)
1957年11月27日録音。
[枚数限定][限定盤]ファット・ジャズ/ジャッキー・マクリーン・セクステット[SHM-CD]【返品種別A】
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