音楽日記 ~ロックやジャズの名盤・名曲の紹介とその他の独り言~

2017/05/18(木)06:01

エディ・ヒギンズ 『魅せられし心(Haunted Heart)』

ジャズ(496)

老練ピアニストの思わぬ“開花”  エディ・ヒギンズ(Eddie Higgins)は1932年生まれで、2009年に亡くなっている米国のジャズ・ピアニスト。1958年以降、いくつかのリーダー盤を吹き込んではいるものの、長らく“知る人ぞ知る”(言い換えれば、“知る人しか知らない”)、脇役的ミュージシャンだった。そんな彼の知名度は、少なくとも日本においてはある時点から激変する。そのきっかけとなったのが1997年の本盤『魅せられし心(Haunted Heart)』のヒットであった。  日本のレーベルであるヴィーナス・レコードは、きらきらとしてサウンド志向の音作り(彼のようなピアニストの場合には、カクテル・ピアノなどともよく形容される)、女性写真などを積極的に使ったジャケットなど、“おやじ向けジャズ”を提供していった。そのヴィーナスの作品作りの中で本作はヒットとなり、その後も彼の名義盤が多数出ることになったわけだけれど、今になって本盤を聴きつつ、それほどミーハーな感じでもないと思ったりもする。  レイ・ドラモンド(ベース)、ベン・ライリー(ドラム)とのトリオによる吹き込みで、メロディを際立たせるタッチの演奏。しかもスタンダードがずらりと並ぶと言うと、いかにもヴィーナス盤といった感じに響くかもしれないが、この盤を聴いていると、どうもそれだけではない気がしてくる。ビル・エヴァンス張りの(という形容が適切かどうか自信はないけれど)妙な緊張感や慎重さと繊細さみたいなものが同時に感じられる。そんな観点からすると、例えば、1.「マイ・ファニー・バレンタイン」、表題曲の2.「魅せられし心」、9.「ロマンティックじゃない?」なんかは、個人的なお薦め曲ということになる。確かに予定調和的な感じも強いのだけれど、ただ“美しさ”だけで聴かせるわけではないということを意識しながら聴くだけでも、本盤のイメージは大分と違ったものになるんじゃないだろうか。 [収録曲] 1. My Funny Valentine 2. Haunted Heart 3. Stolen Moments/Israel 4. Lush Life 5. How My Heart Sings 6. Someone To Watch Over Me 7. I Should Care 8. Lover Come Back To Me 9. Isn't Romantic? [パーソネル、録音] Eddie Higgins (p) Ray Drummond (b) Ben Riley (ds) 1997年6月28日録音。  ​魅せられし心/エディ・ヒギンズ・トリオ[CD][紙ジャケット]【返品種別A】​   次のブログのランキングサイトに参加しています。   お時間の許す方は、“ぽちっと”クリックで応援をよろしくお願いします!         ↓           ↓           

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