テーマ:Jazz(1958)
カテゴリ:ジャズ
いかにもハードバップ好きにはお薦め盤の一つ
ホレス・シルヴァーのクインテットからリーダーの抜けた盤、というと、“船頭のいない船”のようでいかにも間抜けに聞こえるかもしれない。けれども、その“船頭”色が影を潜め、異なる色彩を放つこともあるというと、少々大げさだろうか。ジュニア・クック(Junior Cook)がリーダーとなったクインテットで、ジャケットの表示に従えば、“フィーチャリング・ブルー・ミッチェル(Blue Mitchell)”というメンバーで録音されたのが、本盤『ジュニアズ・クッキン(Junior's Cookin')』ということになる。 録音は、半分が西海岸(1.~3.および7.がカリフォルニアのロング・ビーチ)で、もう半分が東海岸(4.~6.がニューヨーク)で半年強の間をあけて行われた。上述の通り、全体的には“船頭”がいないことで急速にラテン色が薄まり、典型的ハードバップ色が強くなったと言えると思う。 筆者の個人的好みは、どこかべったりとした“垢抜けない”感じのジュニア・クックのテナーにある。一方で、そこに絡むのは、どちらかというと“垢抜けた”感じのするブルー・ミッチェルのトランペットというのが、ツボにはまる組み合わせなのかもしれない。ドロ・コッカーのピアノが好みであるとか、他の理由もあるのだけれど、ともかくでき上った演奏は、いかにもハードバップな演奏と言える。 初めから終わりまでどの演奏も、上記のようなべったりハードバップ好みの向きにはお薦めなのだけれど、少しだけ個人的好みを書いておこうと思う。1.「マイザー」は、ある種ベタベタに典型的なジュニア・クックのテナーが特によい。ブルー・ミッチェルによる4.「ブルー・ファローク」は、こちらの盤を想起させるような演奏。6.「フィールド・デイ」は作曲者ドロ・コッカーの短いイントロが印象的に始まり、その後の展開でも彼のピアノがいい味を出している。 ある種、お決まりの展開や演奏を含め、ハードバップ中毒症の向きにはお薦めの盤と言えると思う。そうでない場合は、ジュニア・クックという人の演奏を気に入るかどうかで評価が分かれそうな気はする。無論、上で述べたように、個人的にはお気に入りの一枚である。 [収録曲] 1. Myzar 2. Turbo Village 3. Easy Living 4. Blue Farouq 5. Sweet Cakes 6. Field Day 7. Pleasure Bent [パーソネル、録音] Junior Cook (ts), Blue Mitchell (tp), Dolo Coker (p), Gene Taylor (b), Roy Brooks (ds) 1961年4月10日(4.~6.)、12月4日(1.~3.、7.)録音。 Junior Cook / Junior's Cookin 輸入盤 【CD】 ブログランキングに参加しています。 応援くださる方は、ぜひ“ぽちっと”お願いします。 ↓ ↓ ↓ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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