テーマ:Jazz(1961)
カテゴリ:ジャズ
名ピアニストを迎えてのヴァイブの名演
デイヴ・パイク(Dave Pike)は1938年生まれのヴィブラフォン奏者で、2015年に77歳で没している。1960年代にとりわけ多くの作品を残したが、本盤『パイクス・ピーク(Pike’s Peak)』は1961年と、彼の作品群の中では、初期の1枚に当たる。1970年代へ向けて、彼はヨーロッパに基盤を置いて成功したジャズ演奏者の一人となり、多ジャンルな志向を見せていくのだけれど、彼がシーンへ登場したころの状況は少し違っていたのだろうと思う。 ヴァイブ(ヴィブラフォン)といえば、ミルト・ジャクソンがすべてのイメージと言ってよかっただろう。世間は(そして、おそらくは演奏者側の多くも)、ミルト・ジャクソンのイメージから離れられなかった。それゆえ、ほとんどの奏者はミルト・ジャクソンのスタイルの範疇に収まるなり、彼の強い影響のもとに見られていた。そんな中で、少し違う一歩への前進を歩みだしたのが、この頃のデイヴ・パイクだったと言えるのではないだろうか。 さて、本盤の特徴はもう一つ別の点にもある。それは、名ピアニスト、ビル・エヴァンスの参加である。エヴァンスと言えば、スコット・ラファロを含めたトリオ演奏が有名であるが、そのラファロは1961年7月に交通事故が原因で急死した。本盤の録音は1962年2月で、ちょうどエヴァンスが相棒を失ったわずか半年ほど後、新しいトリオを編成して次のステップへ移ろうという過渡期にあたる時期に録音されたものであった。 ハービー・ルイスの粘っこいベースと、控えめなエヴァンスの演奏の組み合わせの上で、パイクの演奏が繰り広げられるのだが、表題(“ピーク”=頂点)通りに、彼のヴァイブ演奏は最初のピークにあったと言えそう。軽快なだけではなく、時にエヴァンスと重なり合う知的なフレージングが実に印象的だったりもする。 個人的な話だけれど、実は、この盤は他の盤と一緒に“ついでに”購入した。なんとなく目に留まったので“あと1枚ついでに”という感じで手にしたのだけれど、自宅に戻って聴くと、私的にはその日に買ったアルバムの中で最大のヒットだった。“確信買い”から“印象買い”(その典型が“ジャケ買い)まで、いろんなアルバムとの出会い方があるけれど、時々起こるパターンの、なんとなく買ったものが大当たりという思い出のある1枚だったりもする。 [収録曲] 1. Why Not 2. In a Sentimental Mood 3. Vierd Blues 4. Bésame Mucho 5. Wild Is the Wind [パーソネル、録音] Dave Pike (vib), Bill Evans (p), Herbie Lewis (b), Walter Perkins (ds) 1962年2月6日(3.と5.)、2月8日(1.、2.、4.)録音。 パイクス・ピーク [ デイヴ・パイク・カルテット ] 下記ランキングに参加しています。 お時間のある方、応援くださる方は、“ぽちっと”よろしくお願いいたします! ↓ ↓ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2018年10月03日 08時09分45秒
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