テーマ:洋楽(3281)
カテゴリ:洋ロック・ポップス
1979年のドクター・ジョン(後編)
『シティ・ライツ(City Lights)』(前編を参照)がリリースされた1979年、ドクター・ジョン(Dr. John)は、同じホライズン・レーベルでもう1枚アルバムを制作して発表している。それが『タンゴ・パレス(Tango Palace)』という作品である。 前項にも書いた通り、プロデュースはトミー・リピューマとヒュー・マクラッケン。前作とは異なり、ハリウッドで録音とのことである。管楽器を中心に多くのミュージシャンが参加しているが、前作と目立って違うのは、ドラムス/パーカッション人の充実ぶりである。スティーヴ・ガッドをはじめ3人のドラマーが参加し、パーカッション陣も前作より増強されている。このことはそのままサウンドにも反映されている。 本盤では、前作のライトでメロウなフュージョン色は鳴りを潜め、ファンキーなリズム感が前面に出ている。一言でいえば、ドクター・ジョン的、ニューオーリンズ的な音とリズムがここでは主体となっている。 では、“いつものドクター・ジョン”の作品になっているのかと言えば、どこか腑に落ちない点がある。おそらくそれはホライズンというジャズ/フュージョンを扱うレーベルで、上述のプロデューサーたちによって制作されたことによるのだろう。感覚的な言い方になってしまうが、どこかしら都会的な香りがするのである。 ドクター・ジョンらしさをベースに持つナンバーとしては、1.「キープ・ザット・ミュージック・シンプル」、3.「レネゲード」、4.「フォンキー・サイド」、5.「ボン・テンプス・ルーラー」といったところがとくにお勧め。これらをはじめ各曲にも、上述の都会風な香りを漂わせるところはあるのだけれど、表題曲の8.「タンゴ・パレス」は、その都会らしさを妙に醸し出す曲になっている気がしてならない。異国情緒あるタンゴの雰囲気で始まるかと思いきや、文化の交叉路ニューオーリンズらしくすべてをのみ込んでしまい、最後は9.「ルイジアナ・ララバイ」と違和感なくつながっていくのが不思議なところである。 結局、ドクター・ジョンがホライズン・レーベルに吹き込んだのは、前回記事の『シティ・ライツ』と今回の『タンゴ・パレス』の2作だけとなった。とはいえ、何とも対照的かつどこか共通性の残る2枚が相次いで残されたのは、当時ならずとも、いまから聴いてみようという聴き手にとっても興味深い。ドクター・ジョンは数多くのアルバムを出していて、筆者もすべては聴くことはできていないのだけれど、時系列で聴いていくと、彼自身の歩みや変遷も見えてくるようなことがあって、そういう聴き方もなかなか面白いんじゃないかと思う。 [収録曲] 1. Keep That Music Simple 2. Disco-Therapy 3. Renegade 4. Fonky Side 5. Bon Temps Rouler 6. Something You Got 7. I Thought I Heard New Orleans Say 8. Tango Palace 9. Louisiana Lullabye 1979年リリース。 ↓本盤(プレミア中古?)の参考リンクです↓ Tango Palace【中古】 ↓こちらはベスト盤↓ 【輸入盤】Very Best Of Dr John [ Dr. John ] ブログランキングに参加しています。 応援くださる方は、ぜひクリックをお願いします。 ↓ ↓ ↓ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2019年06月13日 06時35分40秒
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