テーマ:Jazz(1961)
カテゴリ:ジャズ
熱い演奏+フリューゲルホルンの美しい音色
アート・ファーマー(Art Farmer)は、1928年に生まれ、1999年に71歳でその生涯を閉じた。当初はトランペット奏者としてジャズの世界に登場し、やがて60年代に入る頃からはフリューゲルホルンの演奏に傾いていき、晩年はフランペット(トランペットとフリューゲルホルンの特徴を併せた新楽器)の演奏を中心とした。生真面目な人物だったと言われるアート・ファーマーであるが、時代が流れ、楽器を持ち替えても、持ちうる限りのベストの美しさを作品に表すという姿勢は多くの作品に一貫して残されたと言えるだろう。 本盤『ブルースをそっと歌って(Sing Me Softly of the Blues)』は、アーゴ、マーキュリーといったレーベルを経てアトランティックに在籍していた1965年録音の作品で、ピアノ・トリオと組んでフリューゲルホルンを全面的に演奏している。アルバムのジャケットでは想像がつきづらいが、新主流派的な演奏と言っていいだろう。1960年代をよく映し出す内容でありながら、激しさや熱さが内包された盤である。 その熱さの元になっているのは、ピアノ・トリオの面々の演奏。とりわけ、ピート・ラロカの緩急激しいドラミングとスティーヴ・キューンの硬質感のあるピアノ演奏が印象に残る。ピート・ラロカは、ベース奏者のスティーヴ・スワロウと共に、本作のおよそ1年前にアート・ファーマーと共演し、『スウェーデンに愛をこめて』を吹き込んでいる。なお、この際はギター奏者のジム・ホールが演奏者に名を連ねていたが、このジム・ホールに入れ替わって本盤ではピアノ奏者のスティーヴ・キューンが加わっている。 注目の演奏としては、まずは表題曲の1.「ブルースをそっと歌って」。フリューゲルホルンの音色とブルース感覚の出し方が絶妙の演奏に仕上がっている。静かに始まりつつ次第に盛り上がっていく展開で、ピート・ラロカのドラミングが特にいい。あと3.「プチ・ベル」は、少し変わり種で、カリブの民謡をアレンジしたボサ風の曲調。アート・ファーマーの演奏だけでなく、ピアノのスティーヴ・キューンの演奏も聴き逃がせない(本盤中の他の曲でも彼のピアノはなかなかの存在感があるように思う)。あと、熱さが全開の2.「アド・インフィニタム」や、個人的に好みのタイプの曲でラロカ作である6.「ワン・フォー・マジッド」も忘れてはいけない。 ちなみに、このメンバーでのカルテットはこの時だけだったらしく、同じメンツの他の録音はないようである。けれども、アート・ファーマーを除いた3人は、この翌年、今度はスティーヴ・キューンのリーダー作(『スリー・ウェイヴズ』)でもピアノ・トリオとして秀逸な演奏を残している。 [収録曲] 1. Sing Me Softly of the Blues 2. Ad Infinitum 3. Petite Belle 4. Tears 5. I Waited for You 6. One for Majid [パーソネル、録音] Art Farmer (fh), Steve Kuhn (p), Steve Swallow (b), Pete LaRoca (ds) 1965年3月12日(6.)・16日(1.,2.,4.,5.)・20日(3.)録音。 【中古】 ブルースをそっと歌って/CD/AMCY-1201 / アート・ファーマー / Atlantic [CD]【メール便送料無料】【あす楽対応】 下記のランキングサイトに参加しています。 お時間の許す方は、バナーを“ぽちっと”応援いただけると嬉しいです! ↓ ↓ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2019年09月01日 16時58分14秒
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