テーマ:Jazz(1961)
カテゴリ:ジャズ
既存の枠をはみ出る寸前のピアノ・トリオ演奏盤
スティーヴ・キューン(Steve Kuhn)の生まれ年は1938年で、1960年代から半世紀以上にわたって数々のリーダー作(さらにはサイドマンとしての参加盤も)を残している。年齢を重ねた1990年代以降の作品の方が広く聴かれる機会が多いのだろうけれど、若い頃の彼の作品に優れた盤が多い(例えばこちらの盤を参照)と思うのは、きっと筆者だけではないだろう。 本盤『チャイルドフッド・イズ・フォーエバー(Childhood Is Forever)』は、そうした点できっと多くの人の心を掴んできた盤ではないかと思う。1969年なので、キューンがちょうど30歳を超えた頃にパリで録音され(この時期、彼はストックホルムを拠点に活動していた)、初期のスティーヴ・キューンに特徴的な音色のピアノが繰り広げられると同時に、既存のジャズの枠組からはみ出す寸前の演奏を繰り広げている。 “はみ出す寸前”というのは、微妙な言い方だけれど、4ビートの枠組にとどまり続けようとするベクトルと、フリー・ジャズの方に飛んで行ってしまいそうなベクトルが交叉しながら演奏が繰り広げられている。そんな様をこのように言える気がするからである。そうした中で、一本筋が通っているのが、硬質なタッチが印象的なキューンのピアノなのである。 フリーに行きかねない方向性というのは、コルトレーンの演奏(参考過去記事)で知られる1.「夜は千の目を持つ」という選曲にもよく表れている。一方、上記の“硬質なタッチのピアノ演奏”という意味では、5.「オール・ザット・アイ・レフト」、6.「アイ・ウェイテッド・フォー・ユー」あたりがいい味を出しているように思う。 [収録曲] 1. The Night Has A Thousand Eyes 2. Spring Can Really Hang You the Most 3. Baubles, Bangles and Beads 4. The Meaning of the Blues 5. All That's Left 6. I Waited for You 7. Eiderdown [パーソネル、録音] Steve Kuhn (p), Aldo Romano (ds), Steve Swallow (b) 1969年10月13日録音。 下記のブログランキングに参加しています。 応援くださる方は、バナーをクリックお願いします! ↓ ↓ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2020年02月25日 06時07分25秒
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