テーマ:洋楽(3284)
カテゴリ:洋ロック・ポップス
1980年代半ば、アイランド期の代表盤
トム・ウェイツ(Tom Waits)は、1949年カリフォルニア州出身のシンガーソングライター。時代の推移と共に彼の音楽性は変化してきたが、個人的には、おもに1970年代のアサイラム・レコード所属期、1980年代~90年代初頭のアイランド・レコード期に愛聴盤が集中している。 1985年発表の本盤『レイン・ドッグ(Rain Dogs)』は、アイランド期の代表作で、トム・ウェイツのキャリア全体を見渡しても代表盤の一つに挙げられるに相応しいと思う盤である。その当時の実際のセールスは振るわなかったが、評論家やミュージシャンの間では評判の高い盤と言える。筆者が最初に聴いたのは80年代の末にライヴ盤『ビッグ・タイム』とセットだったように記憶しているが、最初に聴いて以来、現在まで愛聴盤であり続けている。 1970年代からの“言葉”を武器にする魅力に加え、本盤では前衛的かつ融合的な音楽のミクスチャーが実現されている。ジャズや後に“オルタナ”と括られるようなサウンドが巧みに織り込まれている一方、ギターのサウンドが重視されているのも本盤の特徴と言える(この点に関しては、キース・リチャーズの参加が特筆される)。 聴き逃がせないナンバーをいくつかピックアップしておきたい。1.「シンガポール」は、冒頭曲に相応しく、この緊張感が何とも言えないよさを出している。2.「クラップ・ハンズ」は、カウベルが怪しく響き、ギターが前に出ている雰囲気がいい。8.「ハング・ダウン・ユア・ヘッド」は、さりげなく流れていくメロディックな部分を含んでいるのだけれど、2分半ではもったいなく、5分は聴いていたいナンバー。9.「タイム」は、過去記事でも取り上げたとおりで、文句なしの名曲。 アナログ時代のB面に移り、表題曲の10.「レイン・ドッグ」は、印象的なアコーディオンのイントロに続き、ギターが明確な力強い曲調が特徴である。これと似た緊迫感は14.「ユニオン・スクエア」でも表現されているが、続く15.「ブラインド・ラヴ」のような、ある種、長閑な雰囲気も同じアルバムの中で表現されているのが、単調にならず飽きさせない展開になっている理由なのかもしれない。17.「ダウンタウン・トレイン」はトム・ウェイツ作の名曲の一つで、後の1989年にロッド・スチュワートがカバーしてヒットさせている。筆者的には同時期のボブ・シーガーによるカバーもお気に入りだったりするが、原曲を聴けば、そもそも曲が素晴らしかったのだと納得させられる。アルバムを締めくくる19.「レイ・マイ・ヘッド」も、最後のビッグバンド風の締めを除いて同じく超名曲だと思うのだけれど、なぜかこちらはそうしたカバーがない。ともあれ、これを聴かずしてトム・ウェイツは語れない、そんな必聴盤だと言っていいように思う。 [収録曲] 1. Singapore 2. Clap Hands 3. Cemetery Polka 4. Jockey Full of Bourbon 5. Tango Till They're Sore 6. Big Black Mariah 7. Diamonds & Gold 8. Hang Down Your Head 9. Time 10. Rain Dogs 11. Midtown 12. 9th & Hennepin 13. Gun Street Girl 14. Union Square 15. Blind Love 16. Walking Spanish 17. Downtown Train 18. Bride of Rain Dog 19. Anywhere I Lay My Head" 1985年リリース。 レイン・ドッグ [ トム・ウェイツ ] 以下のブログランキングに参加しています。お時間の許す方は、 クリックで応援よろしくお願いします。 ↓ ↓ ↓ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2020年03月29日 19時36分40秒
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