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音楽日記 ~ロックやジャズの名盤・名曲の紹介とその他の独り言~

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2020年12月12日
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テーマ:Jazz(1961)
カテゴリ:ジャズ
時代の産物であると同時に、新時代へのチャレンジの証


 第二次世界大戦の後、米ソの冷戦構造の中で、20世紀半ばを過ぎると宇宙開発の競争なるものが起きた。ソ連が初めて人工衛星を飛ばすのに成功したのは1957年、そしてアメリカがあのNASAを設立したのは翌1958年のことである。そして、本盤『ジャズ・イン・ザ・スペース・エイジ』(つまりは“宇宙時代のジャズ”)が吹き込まれたのは、そのわずか数年後の1960年のことだった。

 何が言いたいのかというと、要するに、“これからは宇宙の時代”、宇宙空間こそこれからの人類が目指す最新トレンドだったわけである。正直、現代の私たちから見て、“宇宙の時代のジャズ”というのは、必ずしも魅力的に響かない。けれども、理論家でもあるジョージ・ラッセルにとって、“次の時代”を考えた時、新時代のジャズと新時代の宇宙空間が重なり合うのは、当時の時代背景を考えれば、ある意味で必然の選択肢だったのかもしれない。

 さて、ジャケットには、惑星風の丸い球形が描かれていて、表題の他に“ジョージ・ラッセル&ヒズ・オーケストラ”と記されている。さらに“with ビル・エヴァンス”の文言も見られる。これらからわかるように、ジョージ・ラッセル楽団という大編成で、しかもピアノ奏者のビル・エヴァンスが参加しているというものである(そして、ラッセル自身は演奏をしていない)。他に目立ったメンバーとしては、アルト奏者のハル・マクーシック(ハル・マキュージック)、トロンボーン奏者のボブ・ブルックマイヤーなんかも名を連ねている。

 曲名にも“ユニバース(宇宙)”とか、“アウター・スペース(宇宙空間)”とかいった表現がつけられているが、目を引くのは、収録曲6曲のうち半分を占める「クロマティック・ユニヴァース」。“PART 1”から“PART 3”までが、収録曲の1.、3.、6.となっている。彼の音楽理論(リディアン・クロマティック・コンセプト)は、水平的(ホリゾンタル)および垂直的(ヴァーティカル)に、いわば横と縦の両方向で音を捉えるというものだから、それはそれで“音の宇宙”を意識したものだったと言えるのかもしれない。だからといって、特別に宇宙をイメージさせる楽曲や演奏かというと、そんなこともないように思うのだけれど、やっぱり“宇宙”という喩えに行ってしまうのは、上で述べたような時代背景があったということなのだろう。

 本番は、きっとジョージ・ラッセルがその当時やりたかった理論的・実験的試みが存分に発揮された内容となったものと思われる。そういう意味では、従来の形にとらわれないジャズの胎動が結実した成果の一つと言える。本盤を聴くときに、“次は何が出てくるのだろう”、“次はどういう方向に演奏が向かうのだろう”とついつい考えながら耳を傾けてしまう筆者というのは、見事に彼の術中にはめられてしまっているのかもしれない、などと思ってみたりもする。


[収録曲]

1. Chromatic Universe, Part 1
2. Dimensions
3. Chromatic Universe, Part 2
4. The Lydiot
5. Waltz from Outer Space
6. Chromatic Universe, Part 3


[パーソネル、録音]

George Russell (comp, arr), Hal McKusick (as; 2, 5), Walt Levinsky (as; 1, 3, 4, 6), Sol Schlinger (bs; 1, 3, 4, 6), David Young (ts; 1, 3, 4, 6), Bob Brookmeyer (tb; 2, 5), Dave Baker (tb; 1, 3, 4, 6), Frank Rehak (tb; 1, 3, 4, 6), Alan Kieger (tp; 1, 3, 4, 6), Ernie Royal (tp; 1, 3, 4, 6), Mark "Marky" Markowitz (tp; 2, 5), Milt Hinton (b), Charlie Persip (ds; 2, 5), Don Lamond (ds; 1, 3, 4, 6), Jimmy Buffington (French horn; 1, 3, 4, 6), Barry Galbraith (g; 1, 3, 4, 6), Howard Collins (g; 1, 3, 4, 6), Bill Evans (p), Paul Bley (p; 1, 3, 4, 6)
1, 3, 4, 6: 1960年5月録音。
2, 5: 1960年8月1日録音。




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Last updated  2020年12月12日 05時17分30秒
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