音楽日記 ~ロックやジャズの名盤・名曲の紹介とその他の独り言~

2021/10/06(水)05:07

キャノンボール・アダレイ 『サムシン・エルス(Somethin’ Else)』

ジャズ(496)

ジャズ界のみならず、音楽界の不朽の名作  リーダーの名義はキャノンボール・アダレイ(Cannonball Adderley)となっているが、契約の都合上の理由でそのようにならざるを得なかった。けれども、本盤の実質的な軸は、マイルス・デイヴィス(Miles Davis)その人である。ジャズ界の名作というよりは、音楽界の名作と言った方が相応しいほど、有名かつ賞賛の対象となっているのが、1958年に吹き込まれて発表されたブルーノート盤、『サムシン・エルス(Somethin’ Else)』である。  1958年と言えば、マイルス・デイヴィスのクインテットにキャノンボールが合流し、セクステットに発展していった時期である(実際、本盤の録音の1か月前と数日前には、マイルス・デイヴィス、ジョン・コルトレーン、キャノンボール・アダレイの揃い踏みとなった『マイルストーンズ』のレコーディングがなされている)。本盤では、マイルス(トランペット、5.を除く4曲に参加)とキャノンボール(アルト・サックス)を含むクインテットで、リズム隊には、ハンク・ジョーンズ(ピアノ)、サム・ジョーンズ(ベース)、アート・ブレイキー(ドラムス)が名を連ねる。  どのメンバーの演奏も素晴らしいのだけれど、筆者の思い入れとしては、マイルスのトランペット(特にミュート演奏が続くLP時代のA面に相当する1.と2.はジャズ喫茶のリクエストで断トツの人気を誇った)、粒の立った演奏を披露するハンク・ジョーンズのピアノだろうか。いや、この人たちだけに言及するのでは、そもそもリーダー扱いのキャノンボールに申し訳が立たない。ドラムスのアート・ブレイキーもこれでなければならないし、ベースのサム・ジョーンズの安定感も然り。ありがちだけれど、このメンバーでないといけないと確信をもって思わさせられてしまうほどの完成度と言うことになる。  そんなわけで、収録の5曲のうちどれが優れているかという話をし始めると、結局は申し訳が立たず、全曲に触れることになってしまうように思う。それでもなお、1曲だけは触れておきたい。名演として有名な1.「枯葉(オータム・リーヴズ)」である。マイルスのミュート・トランペットの絶品演奏はもちろんだが、上で述べたように、他のメンバーがやはりこのメンツでなければいけなかったという気にさせてくれる。個人的には、2か所、何度聴いてもぞくっとする箇所がある。一つ目は、開始早々のマイルスのミュート・トランペットが入ってくるところ。もう一つは、マイルスの絶品演奏の後にキャノンボールのアルトが始まるあの瞬間。音楽を聴いていて、背筋が震えるというのは、そうしょっちゅうある体験ではない。それがしっかり詰まっているのが本盤であり、“ジャズの”というようなジャンルを超えて、“音楽界の”名作と言えるように思う。  超有名盤なので、ジャズが好きという人にいまさらこの盤を勧める必要はないだろう。けれども、声を大にして言いたい。ジャズ愛好者ではない音楽愛好者すべてにとっても、本盤は必聴盤だと思う。ジャズを聴かない人にも、“音楽界の不朽の名作”の一つとして、ぜひ聴いてほしい盤とも言えるんじゃないだろうか。 [収録曲] 1. Autumn Leaves 2. Love for Sale 3. Somethin' Else 4. One for Daddy-O 5. Dancing in the Dark [パーソネル・録音] Cannonball Adderley (as) Miles Davis (tp) Hank Jones (p) Sam Jones (b) Art Blakey (ds) 1958年3月9日録音。 Blue Note 1595  ​サムシン・エルス+2/キャノンボール・アダレイ[SHM-CD]【返品種別A】​  ​サムシン・エルス +2 [ キャノンボール・アダレイ&マイルス・デイヴィス ]​    以下のブログランキングに参加しています。お時間の許す方は、    クリックで応援よろしくお願いします。        ↓      ↓      ↓         

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