テーマ:洋楽(3466)
カテゴリ:洋ロック・ポップス
戦争と音楽
いきなり個人的な意見で恐縮だが、他の映画などのメディアと同様に、音楽はプロパガンダの手先になりかねない危険性がある。たとえば、アメリカでは大統領選などで盛り上がるたびに、政党や候補者の集会にミュージシャンが登場して大盛り上がりしている場面が映像で流れてくるが、ああいうのを見ると背筋が寒くなることすらある。 その意味で、筆者はロックが政治を語ることにはあまり賛同しないのだけれど、だからといってそうした作品を聴かないというわけではない。ニール・ヤングが2006年に発表した『リヴィング・ウィズ・ウォー(Living With War)』は、思い出したように最近聴くことが増えた盤の一つであったりする。 この盤はイラク戦争(2003~2011年)の最中に制作され、リリースされた。直接的には、戦争を続ける当時のブッシュ政権への批判であり、短期間のうちに作られたアルバムである(ニール・ヤング自身の語っているところでは、声を上げる若い人が出てこないので、自分自身がこういった作品を制作したとのこと)。昨今、ロシアによるウクライナ侵攻の、いつになっても止まない戦争のニュースを見る中で、本盤を思い出し、文脈はまったく違うものの、ニール・ヤングが現在進行形の戦争を音楽にしていたことを振り返りながら聴いていたりする。 特に印象に残るナンバーをいくつか見ておきたい。表題曲の2.「リヴィング・ウィズ・ウォー」は、“戦争とともに生きる”といった意味で、戦争よりも平和を、といったシンプルな詞の内容。実質的に戦争を仕掛けた当事者の国側でこういうメッセージが出され得たというのは、ロシアの状況を見るにつけ、複雑な気持ちにさせられる。4.「ショック・アンド・オウ」は、テンポのあるロックナンバーながら、悲壮感を漂わせるような曲調が印象的。7.「レッツ・インピーチ・ザ・プレジデント」は、“大統領を弾劾しよう”という、刺激的かつ扇動的なタイトルのナンバー。締めくくりが10.「美しきアメリカ」というのも注目ポイント。短期間での制作のため、作り込まれた作品という感じはしないものの、楽曲のよさはさすがニール・ヤングといった曲が並ぶし、100人の聖歌隊というのも、なかなか印象的と言えるように思う。 [収録曲] 1. After the Garden 2. Living with War 3. The Restless Consumer 4. Shock and Awe 5. Families 6. Flags of Freedom 7. Let's Impeach the President 8. Lookin' for a Leader 9. Roger and Out 10. America the Beautiful 2006年リリース。 ![]() 【輸入盤CD】Neil Young / Living With War (ニール・ヤング) 下記のランキングサイトに参加しています。 お時間の許す方は、バナーをクリックして応援いただけると嬉しいです! ↓ ↓ ![]() ![]() ![]() ![]() お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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2023年07月04日 04時37分40秒
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