2024/01/23(火)07:42
メタリカ 『血染めの鉄槌[キル・エム・オール](Kill 'Em All)』
スラッシュ・メタルの夜明け
メタリカ(Metallica)は、1980年代初頭にアメリカ西海岸で形成され、スラッシュ・メタルを牽引して大きな成功を収めたバンドである。そんな彼らのデビュー盤となったのが、1982年発表の本作『キル・エム・オール(Kill 'Em All)』である(発売当時の邦題は、ジャケットのイラストのイメージに即した『血染めの鉄槌』だったが、後にカタカナ表記の『キル・エム・オール』に変更されている)。
本ファースト作がリリースされた当時のメンバーは、ジェイムズ・ヘットフィールド(ボーカル、ギター)、カーク・ハメット(ギター)、クリフ・バートン(ベース)、ラーズ・ウルリッヒ(ドラムス)の4人。ただし、本盤は既にデモ録音などをしていた曲の採録が中心になったという性質上、それ以前にメンバー(ギター)だったデイヴ・ムステイン(メタリカをクビになった後、メガデスを主宰)のペンによる楽曲も収められている。
アルバム全般を見ると、どの楽曲もこのバンドらしさの特徴である重さとスピード感に富んでいるという印象。その中でも、いくつか気になる曲に触れておきたい。2.「電撃の騎士(ザ・フォー・ホースメン)」は。ムステインが関わった楽曲。元は「メカニックス」というタイトルで、彼が結成したメガデスのファースト作には、原曲により近いヴァージョンが録音された。インストゥルメンタル曲の5.「(アネージア)プリング・ティース」は、本盤の収録曲中で唯一、クリフ・バートンによる楽曲で、彼のベース・ソロによる実験的な演奏が目を引く。
本盤所収の曲でシングル発売されたのは2曲あった。ファースト・シングルは6.「鞭(ウィップラッシュ)」、セカンド・シングルは4.「炎のジャンプ(ジャンプ・イン・ザ・ファイアー)」だったが、いずれもヒットには至らなかった。これらに加え、筆者が感じているメタリカらしさがよく表れた曲としては、7.「ファントム・ロード」や8.「懺悔無用(ノー・リモース)」あたりが好曲と言えるように思う。さらに、スラッシュ・メタル・バンドの本領発揮と言えそうなのは、10.「メタル軍団(メタル・ミリティア)」。初作ということで粗削りな感じがする部分もあるのだけれど、アルバム作品としての完成度は高いのではないかと思ったりする。
[収録曲]
1. Hit the Lights
2. The Four Horsemen
3. Motorbreath
4. Jump in the Fire
5. (Anesthesia)Pulling Teeth
6. Whiplash
7. Phantom Lord
8. No Remorse
9. Seek & Destroy
10. Metal Militia
1983年リリース。
キル・エム・オール(リマスター) [ メタリカ ]
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