テーマ:Jazz(1987)
カテゴリ:ジャズ
現代イタリアン・ピアノの魅力
特に日本のリスナーにピアノ・トリオ好きが多いおかげで(加えて、某友人の影響もあったりして)、ついついでに“もう1枚”となって、聞いたことのないピアノ・トリオ盤などを買ってしまうことが多い。当然ながら、その中には当たりも外れもあるのだけれど、個人的には、イタリア人のピアノ盤が“当たり”になることが多いという傾向がある。 本盤『フォワード(Forward)』はそうした盤の一つである。エットーレ・カルッチ(Ettore Carucci)は4歳でピアノを始め、大学ではクラシック音楽を修め、現在はフィレンツェの音楽院で教鞭をとるピアニストである。本盤は2006年に吹き込まれ、その翌年にイタリアのレーベル(ドディチルネ・レコード)からリリースされた。 ドラムスとベースは、それぞれアメリカのアダム・クルス(クルーズ)とベン・ストリートが務め、安定感のある演奏を披露している。カルッチ自身の演奏はというと、知性と叙情性の絶妙なバランスの上にしっかりとしたリズム感が被せられているといったところ。言い換えれば、リズムに乗った安定感だけで聴かせるわけでもなければ、ジャズ的な意味で型にはまった演奏に安住するわけでもない。だからと言って、下手に叙情性に頼りすぎないところが、筆者としてはツボにはまったのではないかと思う。 聴きどころと言えそうな曲をいくつか挙げておきたい。自作曲の1.「アイ・リメンバー・モンク」は、セロニアス・モンクばりのトーンを巧みに織り交ぜつつ、疾走感のある演奏が心地よい。スタンダード曲の3.「枯葉」と、コルトレーンの5.「ロニーズ・ラメント」は、有名曲を決してありがちには演奏せず、エットーレ色のついた演奏に仕上げているところに好感が持てる。「ピアノ・インプロ」と題された4.と6.の演奏は、いずれもピアノの独奏で、インタールード的に(と言っても決して短い演奏時間ではないが)、アルバム全体の流れの中で異なる雰囲気を演出している。あと、圧巻なのは、7.「バイ・バイ・ブラックバード」。有名曲ながら、落ち着き払った冒頭から、リズム感を次第に得ながら流れるようなピアノ展開されていく演奏は実に気持ちいい。 [収録曲] 1. I remember Monk 2. Confusion 3. Autumn Leaves 4. Piano impro #1 5. Lonnie's Lament 6. Piano impro #2 7. Bye bye Blackbird 8. My Favourite Eyes 9. Dolphin Dance [パーソネル、録音] Ettore Carucci(p),Ben Street(b),Adam Cruz(ds) 2006年4月1日録音。 ↓本記事のものとは別の盤(同じアーティストが参加しているもの)です。↓ ![]() 【中古】 エニウェイ/ベラルディ・ジャズ・コネクション,Ettore Carucci(p),フランチェスコ・ロマギストロ(ds),Camillo Pace(double bass),Vincenzo Presta(sax),Andrea Sab ブログランキングに参加しています。 応援くださる方は、ぜひクリックをお願いします。 ↓ ↓ ↓ ![]() ![]() ![]() ![]() お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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2024年05月08日 06時03分33秒
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