テーマ:洋楽(3452)
カテゴリ:洋ロック・ポップス
ネルソン・リドルによるプロデュース三部作の始まり
リンダ・ロンシュタット(Linda Ronstadt)は、1970年代にポップ/ロックの世界でシンガーとして開花し、人気を得るに至った。そんな彼女が、1980年代には趣向を変えてジャズ・スタンダードに挑み、結果的には大きな成功を収めた。最初にその方向性が見られたのは、1982年の『ゲット・クローザー』だったが、その後、有名な編曲家・プロデューサーである晩年のネルソン・リドルが手掛けた三部作が大きなヒットとなった。その三部作の最初の盤となったのが、この『ホワッツ・ニュー(What’s New)』というアルバムである。ジャケットの表記されているように、リンダ・ロンシュタット&ザ・ネルソン・リドル・オーケストラによるアルバムということになる。 正直なところ、リンダ・ロンシュタットの歌唱力を考えれば、この成功は必然だった。ただし、これをジャズ・ヴォーカル・アルバムだと思って聴くと、ジャズ・ヴォーカル好きの人からは不満が出るかもしれない。本盤は、リンダ・ロンシュタットがジャズに挑戦したという盤ではなく、ポップ・ヴォーカリストの彼女が1920~40年代のスタンダード曲を解釈したものというスタンスで聴くのが正しい聴き方ということになるんじゃないかと思う。 冒頭の1.「ホワッツ・ニュー」からして歌唱力に圧倒される。考えてみるに、その圧倒的な理由は次のようなところにあるように思う。“きれいに”歌うことができるのは、彼女のヴォーカルの実力ではあるのだけれど、感情に任せて熱唱するのではなく、おそらくは意図的に抑揚をつけて楽曲を落ち着けたり盛り上げたりする。ここの加減が絶妙に働いているというように感じる。 上記の1.に加えて、私的な好みで他に注目と言えそうな曲を挙げておきたい。ガーシュウィン曲の2.「クラッシュ・オン・ユー」や5.「やさしき伴侶を(サムワン・トゥ・ウォッチ・オーバー・ミー)」は地味ながらお気に入りの歌唱。6.「ほのかな望みもなく(アイ・ドント・スタンド・ア・ゴースト・オブ・ア・チャンス・ウィズ・ユー)」や7.「どうしたらいいの(ホワットル・アイ・ドゥー)」は、ボブ・クーパーのテナーが歌唱に華を添えるが、7.のヴォーカルの声の伸びはなかなか印象的。また、トロンボーン(チャウンシー・ウェルシュ)をフィーチャーした8.「ラヴァー・マン」もいい雰囲気を演出している。さらに、アルバム最後の9.「グッドバイ」は、1.と並ぶ圧倒的なヴォーカルの力が発揮されたナンバーだと思う。 [収録曲] 1. What's New? 2. I've Got a Crush on You 3. Guess I'll Hang My Tears Out to Dry 4. Crazy He Calls Me 5. Someone to Watch Over Me 6. I Don't Stand a Ghost of a Chance with You 7. What'll I Do 8. Lover Man (Oh Where Can You Be?) 9. Goodbye 1983年リリース。 ホワッツ・ニュー [ リンダ・ロンシュタット&ザ・ネルソン・リドル・オーケストラ ] 下記のブログランキングに参加しています。 応援くださる方は、バナーをクリックお願いします! ↓ ↓ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2024年11月08日 14時52分40秒
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