テーマ:Jazz(1987)
カテゴリ:ジャズ
愛すべきトランぺッターの初リーダー作
ケニー・ドーハム(Kenny Dorham)は、代表作とされる『静かなるケニー』の人気もあって、よく知られたトランペット奏者である。ジャズ音楽の発展史の中で大きく評価されるような人ではない一方で、歌心や叙情に満ちた彼のトランペット演奏は、多くの人の心を掴んできた。そんなドーハムの原点とでも言えそうなのが、1953年末に吹き込まれた『ケニー・ドーハム・クインテット(Kenny Dorham Quintet)』である。 本盤は、ケニー・ドーハムにとって最初のリーダー作品である。そのためか、後年のよく知られた作品に比べると、余裕や貫禄のようなものはあまり感じられない。筆者的には、むしろ、前を見据え、ひた向きに演奏しているとでも形容すべきドーハムの姿が脳裏に浮かぶのだけれど、歌心に満ちたノリのある演奏にしても、叙情に満ちた哀愁のある演奏にしても、紛れもなくドーハム節がこの時点からできあがっていたことがわかる。 面子はウォルター・ビショップ・Jr.(ピアノ)、パーシー・ヒース(ベース)、ケニー・クラーク(ドラムス)に、ジミー・ヒース(テナーおよびバリトン・サックス)を加えた5人編成。1.「アン・オスカー・フォー・オスカー」はドーハムの自作曲で、バップ調のノリの中で心地いい演奏が繰り広げられる。対して、セロニアス・モンクの曲である2.「ルビー、マイ・ディア」は、叙情感のあるドーハム節が発揮されている。 4.「オズモーシス」は密かに本盤の注目の演奏と筆者は思っていて、バップからファンキー・ジャズへの橋渡しと言えそうな演奏。こういうのが好きだと言うと、コアなジャズ・ファンからはベタであると言われるかもしれないけれど、好きなものは隠せない。最後に、6.「ダーン・ザット・ドリーム」のドーハム節も注目の1曲である。朗々としかし哀愁漂う彼のトランペットの音色は、結局のところ、唯一(ユニーク)と形容するしかないのかもしれない。 蛇足ながら、CD化以降、別テイクなどを加えた形で本盤は流通している。筆者の手元にあるのは、2.と6.の別テイク(テイク2が収められた2.のテイク1、テイク1が収められた6.のテイク2)が追加収録されたものだが、他にドーハム自身がヴォーカルを務めている曲が複数収録された再発盤もある。 [収録曲]*オリジナルの収録曲のみ記載。 1. An Oscar for Oscar 2. Ruby, My Dear 3. Be My Love 4. Osmosis 5. I Love You 6. Darn That Dream [パーソネル・録音] Kenny Dorham (tp), Jimmy Heath (ts, bs), Walter Bishop [Walter Bishop Jr.](p), Percy Heath (b), Kenny Clarke (ds) 1953年12月15日録音。 ![]() 【中古】 ケニー・ドーハム・クインテット+2/ケニー・ドーハム・クインテット 次のブログのランキングサイトに参加しています。 お時間の許す方は、クリックをよろしくお願いします! ↓ ↓ ![]() ![]() ![]() ![]() お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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2025年01月06日 06時47分15秒
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