テーマ:Jazz(1990)
カテゴリ:ジャズ
ジャケはべったりでも、中身はすっきり
“人は見かけによらず”とは言うけれども、ひるがえって、“レコード(アルバム)も見かけによらず”。要するに、ジャケットのイメージと中身が一致しないことは、頻繁とは言わないけれども、時には起こり得ることのようである。 そんな作品の例の一つが、バーニー・ケッセル(ギター)とハロルド・ランド(テナー)の二人の名義盤『エル・ティグレ(El Tigre)』である。アルバム表題は、収録されている曲のうちの一つ(5.)に由来し、スペイン語で定冠詞付きのトラ、つまりは英語で言うと“The Tiger”の意味。だからということなのだろうか、横たわってポーズをとっているジャケット写真の女性は、トラ柄(ヒョウ柄?)のビキニをまとっている。なんともベタなジャケットで、正直、この点に関しては、センスに疑問を感じる出来具合である。 でもって、実際の演奏を聴いてみると、このジャケット・イメージからは想像しにくい内容で、ストレートなハード・バップ調の演奏が繰り広げられる。バーニー・ケッセルのギターのほかに、ヴィブラフォン(ラリー・バンカー)もフィーチャーされているあたりは、ど真ん中のハード・バップとは少し異なるかもしれないけれど、この緊張感とスリリングな演奏は、まぎれもなく、すっきりとしたハード・バップのそれである。 アルバム全体を通して一貫性と統一感の感じられる内容だが、個別にお勧めの曲をいくつか挙げてみたい。1.「バードランドの子守唄」は、他のいくつもの楽曲と同様に、ヴィブラフォンの存在感が際立っていて、バーニー・ケッセルのギターがカギとなる曲の演奏、その展開は実に安心して聴けるといったもの。表題曲の5.「エル・ティグレ」は、スペイン語の表題曲だからラテン調?というのはご愛嬌にしても、軽快感があって、それはそれでいいように思う。 それから、8.「イースト・オブ・ザ・サン」は、本盤のメンバーのバランス感覚がよく分かる演奏のような気がする。テナーのハロルド・ランドは目立ち過ぎず、着実な演奏。ラリー・バンカーのヴィブラフォンにもちゃんと見せ場がある。そして何よりも、(この曲に限ったことではないが、)ベースのレッド・ミッチェルの安定感が素晴らしい。アルバムを締めくくる10.「パーディド」(正しくは「ペルディード」)は、スタンダードな演奏に収まっているように見えるけれども、各メンバーの個性がうまく一つの楽曲にまとめられている。 [収録曲] 1. Lullaby of Birdland 2. Tea for Two 3. All for You 4. Body and Soul 5. El Tigre 6. Cheeta’s for Two 7. The Cobra 8. East of the Sun 9. The Blues 10. Perdido [パーソネル、録音] Barney Kessel (g), Harold Land (ts), Pete Candoli (tp), Larry Bunker (vb), Jimmy Rowles (p), Red Mitchell (b), Mel Lewis (ds) 1958年6月20日録音。 ![]() エル・ティグレ [ バーニー・ケッセル~ハロルド・ランド ] 下記のブログランキングに参加しています。 応援くださる方は、バナーをクリックお願いします! ↓ ↓ ![]() ![]() ![]() ![]() お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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2025年03月24日 20時24分09秒
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