テーマ:洋楽(3510)
カテゴリ:洋ロック・ポップス
リラックス感が心地よい第16作
グレアム・パーカー(Graham Parker)は、1950年、ロンドン生まれのロック・アーティスト。1970年代にデビューし(デビュー盤過去記事)、当時の英国のアーティストとしては、エルヴィス・コステロやジョー・ジャクソンと並んでニューウェーヴの旗手とされた。1970年代末から1980年代にかけて一定の商業的成功を収めたとはいえ、本邦ではいまひとつ名が浸透していないアーティストでもある(名前のカナ表記も“グレアム”で完全に定着せず、時に“グラハム”だったりするし…)。 そんな彼も現在ではとうに70歳を超えてしまった。本盤『ユア・カントリー(Your Country)』は、2004年、50歳代前半のパーカーによる作品で、16作目のオリジナル・アルバムである。彼の楽曲の演奏のベースになっているのは、あくまでパブ・ロックだとは思うのだけれど、この盤は次の二つの側面でいくらかのリラックス感を併せ持っている。 一つは表題からも窺えるように、カントリー音楽に寄ったアプローチが含まれているところである。カントリー特有の長閑さを感じさせる旋律が、パーカーのロック・サウンドの中にうまく織り込まれている。もう一つは、年齢的な円熟というか余裕が感じられるところである。前へ前へと出る音楽というのは、それはそれで魅力的だけれど、キャリアや年齢を重ねて余裕が生まれ、いい具合に肩の力が抜けた演奏というのもまた魅力的である。本盤にはそのような、いい感じのリラックス感がある。 カントリーっぽさという意味では、1.「エニシング・フォー・ア・ラフ」がインパクトの強いナンバーである。このいい意味での“のどかさ”は、若くて尖ったアーティストには出せない、円熟のアーティストならではと言えるものだろう。4.「オールモスト・サンクスギヴィング・デイ」は本盤収録曲のうちベスト曲ではないかと個人的には思っていて、リラックス感と円熟味にヴォーカリストとしての迫力がうまく組み合わさっている。あともう1曲、特に気に入っている渋めのナンバーとして、5.「ネーション・オブ・ショップキーパーズ」がある。 他方、アップテンポな楽曲もそれなりに目立つ。6.「クイーン・オブ・コンプロマイズ」、10.「フェアグラウンド」、11.「クローリング・フロム・ザ・レッケージ」なんかがその例だけれども、いずれもカントリーっぽさやアメリカっぽさのようなものが上手に取り入れられ、その上で成熟した余裕やリラックスした感じがあるように感じる。 正直、自分自身が若い時にこの盤を聴いたなら、あまり魅力を感じなかったかもしれない。今となっては、聴き手側にも円熟(必ずしも実年齢に限らない、聴き手としての円熟)が必要な作品ではないか、なんてことを考えてみたりしている。 [収録曲] 1. Anything for a Laugh 2. The Rest Is History 3. Cruel Lips 4. Almost Thanksgiving Day 5. Nation of Shopkeepers 6. Queen of Compromise 7. Things I've Never Said 8. Sugaree 9. Tornado Alley 10. Fairground 11. Crawling from the Wreckage (Revisited) 2004年リリース。 ![]() 【輸入盤CD】【新品】Graham Parker / Your Country (グラハム・パーカー) 下記ランキングに参加しています。お時間のある方、応援くだ さる方は、“ぽちっと”よろしくお願いいたします! ↓ ↓ ![]() ![]() ![]() ![]() お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2025年04月26日 10時17分51秒
コメント(0) | コメントを書く
[洋ロック・ポップス] カテゴリの最新記事
|
|