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テーマ:洋楽(3590)
カテゴリ:洋ロック・ポップス
『ネブラスカ』全曲紹介(最終回)
ブルース・スプリングスティーン(Bruce Springsteen)のアルバム『ネブラスカ(Nebraska)』の全曲紹介を目指してきましたが、この5回めがようやく最終回となります。 残る2曲のうち最初の曲は、「マイ・ファーザーズ・ハウス(My Father’s House)」です。邦盤では「僕の父の家」という日本語訳のタイトルが与えられています。この曲は、アルバム完成前に追加で録音されたナンバーとのことですが、割合いにシンプルな弾き語り形式でストーリーが語られていきます。 その詞のストーリーはというと、昨晩見た夢の中の、幼いころの父の家の記憶から始まります。目が覚めた主人公は、その場所へと向かいます。おそらくは何らかのわだかまりか何かで絶縁していたであろう父を訪ねに行くわけです。けれども、そこにはもう父はいません。その家には見知らぬ女性が住んでいて、主人公が自分の経緯を話した末にドアチェーンの向こうから“お気の毒だけれど、そんな名前の人はもうここには住んでいないわ”と告げられてしまうのです。それでも主人公にとって“父の家”は輝いて見えているという、なんとも悲しげな結末のストーリーです。 さて、アルバム最後のナンバーは、「リーズン・トゥ・ビリーヴ(Reason to Believe)」です。邦盤では「生きる理由」という日本語のタイトルがついています。直訳なら“信じる理由”なのですが、意訳されてこのような表題になっているということなのでしょう。小刻みなギター、ハーモニカの間奏とともに心情を吐露するかのような調子で歌詞が紡がれていきます。 その詞の内容を少し見てみたいと思います。辛い労働に追われる人たちが“ハードな一日の終わりに、それでも人は何がしかの信じる理由を見出そうとする”という現実が果たして妥当なのかを問いかけるものです。具体的ないくつかの人生ストーリーが語られているのですが、例えば、突然姿を消した愛するジョニーを待ち続けるメアリー・ルーの話が出てきたりします。男性の名が「ジョニー99」の“ジョニー”と重なり合いますが、もしかすると同一人物なのかもという印象を聞き手は持つかもしれません。また、別の人生模様の描写には、罪を背負った赤ん坊を川で洗うという話が出てきます。そして、これと並行して人知れず死んでいく老人の埋葬が描写されます。筆者には、誕生と死の間(つまりは人が生きている間)にある、辛い人生の苦悩というのが婉曲的に語られているというように見えるのですが、印象的なのは埋葬時の“主よ、これが何を意味するのか、お教えください”という意味深な台詞。この台詞の直後に“ハードに働いた一日の終わりに、あなたは何がしかの信じる理由を見出す”の決め文句(邦訳歌詞カードには反映されていませんが、この箇所だけはアレンジが加えられていて、“人々は”ではなく“あなた”が主語になっています)が続くというものです。 最後に、この「生きる理由」の中で、筆者がいちばん印象に残っている詞に触れておきたいと思います。それは、結婚式に新婦が現れなかったストーリーの部分に含まれています。新婦が現れなかった末に、祝福に訪れていたはずの人たちは去ってしまい、“泣いている柳”の向こうに陽が沈んでいきます。最後に呆然と立ち尽くす新郎の脇で“川は苦も無く流れ続ける”という詞が出てきます。この“苦も無く(effortlessly)”というのが、努力(effort)を払って必死に生きて、それでもなお希望を持ち続けようとしている姿と痛々しいほどの、けれどもはっきりとした対比となっているところが印象的だったりします。 以上、全5回にわたって、『ネブラスカ』の全曲を見てきました。今回のリマスター版リリースを機に改めて聴き続けられる古典的アルバムであってほしいと思っています。 元アルバム過去記事: ブルース・スプリングスティーン『ネブラスカ』(1982年リリース) 『ネブラスカ』全曲紹介: 第1回(「ネブラスカ」) 第2回(「アトランティック・シティ」、「マンション・オン・ザ・ヒル」、「ジョニー99」) 第3回(「ハイウェイ・パトロールマン」、「ステイト・トルーパー」) 第4回(「ユーズド・カー」、「オープン・オール・ナイト」) 第5回(「僕の父の家」、「生きる理由」)(本記事) 【送料無料】[枚数限定][限定盤]NEBRASKA 82: EXPANDED EDITION (4CD+BLU-RAY)【輸入盤】▼/ブルース・スプリングスティーン[CD+Blu-ray]【返品種別A】 ネブラスカ [ ブルース・スプリングスティーン ] ブログランキングに参加しています。 応援くださる方は、ぜひクリックをお願いします。 ↓ ↓ ↓ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2025年11月22日 06時32分36秒
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