ベニー・ゴルソン 『ニューヨーク・シーン(Benny Golson's New York Scene) 』
ゴルソン追悼(その1) 2024年9月21日、サックス奏者で作曲家のベニー・ゴルソン(Benny Golson)が死去した。マンハッタンの自宅で亡くなったとのこと。1929年生まれで享年95歳ということなので、大往生と言えるだろうが、ジャズ界の巨星がまた一人、あちらへと旅立ってしまった。 そのようなわけで、ベニー・ゴルソンの作品を2回にわたって取り上げていきたい。ゴルソンと言えば、「クリフォードの想い出(アイ・リメンバー・クリフォード)」、「ステイブルメイツ」、「ウィスパー・ノット」、「ファイヴ・スポット・アフター・ダーク」、「ブルース・マーチ」など有名曲の作者として知られる。それと同時に、この人物は、テナーサックス奏者としても活躍した。初のリーダー作の吹込みは1957年のことであった。その成果がこの『ニューヨーク・シーン(Benny Golson's New York Scene)』という盤(LPがリリースされたのは1959年)である。 本盤の基礎となる編成は、後にジャズテットを結成するアート・ファーマー(トランペット)とゴルソン自身(テナー)をフロントに据えたクインテット(5人組)。そして、いくつかの楽曲(2.,4.,7.)において、ジミー・クリーブランド(トロンボーン)、ジュリアス・ワトキンス(フレンチ・ホルン)、ジジ・グライス(アルトサックス)、サヒブ・シハブ(バリトンサックス)を加えたノネット(9人編成)という構成になっている。 クインテットの演奏部分に目を向けると、ハードバップ的なすぐれた演奏にゴルソンの哀愁漂うテナーのよさが活かされた作品と言えそうな気がする。例えば、アート・ファーマーの端正なトランペットに加え、ゴルソン節のテナーが堪能できる1.「サムシング・イン・Bフラット」は、このクインテットの本領発揮である。 しかし、本盤はそれだけで終わるものではない。ノネットの3曲に別の傑出した要素が含まれている。それはアレンジとアンサンブルの妙で、作曲家ゴルソンの本領が示されている部分でもある。彼の代表曲の一つである2.「ウィスパー・ノット」、そして、4.「ジャスト・バイ・マイセルフ」、ジジ・グライスのペンによる7.「カプリ」の3曲は、アレンジャーとしてのゴルソンの能力も同時に示す結果になっていると思う。実はこうした編曲の妙は、他の曲にも見られ、5.「ブルース・イット」なんかは、その一つである。ともあれ、ハードバップなクインテット演奏でありながら、大きな編成のアレンジの妙も楽しめるという、ベニー・ゴルソンらしい作品と言えるのではないだろうか。[収録曲]1. Something in B flat2. Whisper Not3. Step Lightly4. Just by Myself5. Blues It6. You're Mine, You7. Capri8. B.G.'s Holiday *CD追加トラック[パーソネル、録音]Benny Golson (ts), Art Farmer (tp), Wynton Kelly (p), Paul Chambers (b), Charlie Persip (ds)(以下、2., 4., 7.のみ)Jimmy Cleveland (tb), Julius Watkins (French horn), Gigi Gryce (as), Sahib Shihab (bs) 1957年10月14日・17日録音。 輸入盤 BENNY GOLSON / BENNY GOLSON’S NEW YORK SCENE [CD] ブログランキングに参加しています。 応援くださる方は、ぜひクリックをお願いします。 ↓ ↓ ↓