マイルス・デイヴィス 『サムデイ・マイ・プリンス・ウィル・カム(Someday My Prince Will Come)』
親しみやすく、ストレートかつスリリングな演奏 マイルス・デイヴィス(Miles Davis)の作品群の中には、記念碑的とか金字塔とは言われないものの、多くの人に愛されている盤といった類の盤もある。そんな盤の代表例の一つが、この『サムデイ・マイ・プリンス・ウィル・カム(Someday My Prince Will Come)』と言えるんじゃないだろうか。ジャズ史の流れを変えるような何かすごい演奏が繰り広げられているというよりは、ハード・バップ然とした、その当時の彼と彼のバンドの演奏スタイルが極めて良好な形でレコーディングに残された作品とでも評せばよいだろうか(余談ながら、筆者的には1950年代後半~1960年代半ばが特に好みだったりする)。 演奏に参加しているのは、『カインド・オブ・ブルー』を含む黄金期のメンバーである。テナーはハンク・モブレーもしくはジョン・コルトレーンで、ピアノはウィントン・ケリー、ベースはポール・チェンバース。そして、ドラムスはジミー・コブという面々である。 表題曲の1.「いつか王子様が(サムデイ・マイ・プリンス・ウィル・カム)」は、1937年のディズニー映画『白雪姫』の挿入歌。1957年にこれをジャズで取り上げたデイヴ・ブルーベックをはじめ、このマイルスのものや、さらにはビル・エヴァンス、ハービー・ハンコックなど様々なジャズ奏者が演奏を行っている。本盤でのマイルスの演奏(現在では別テイクもボーナストラックとして聴くことができる)は、進行の巧さ、そして何よりもマイルスのミュート・トランペットのすばらしさが際立っていて、本盤のベストの曲だと思う。同じく、マイルスのミュート演奏という点では、2.「オールド・フォークス」も必聴である。途中でピアノ・ソロを挟むものの、この曲の演奏の大部分でマイルスのミュート演奏が聴きものとなっている。さらに、聴き逃がせない演奏としては、マイルスのペンによる5.「テオ」が挙げられる。曲進行もさることながら、聴きどころはテナー演奏で、この曲のみテナーはモブレーが外れ、コルトレーンがたっぷりとコルトレーン節を聴かせてくれる。 ついでながら、ジャケット写真の女性は当時のマイルス・デイヴィスの奥さん(1953年に知り合ったダンサーで、1959年に結婚し、1968年に正式に離婚)である。表題からして、まさか、怖い顔をしたマイルスが“王子様”っていうわけでもないのだろうけれど(笑)。[収録曲]1. Someday My Prince Will Come2. Old Folks3. Pfrancing4. Drad-Dog5. Teo6. I Thought About You~以下、ボーナストラック~7. Blues No. 28. Someday My Prince Will Come (alternate take)[パーソネル、録音]Miles Davis (tp), Hank Mobley (ts, 5.を除く), John Coltrane (ts, 1.と5.), Wynton Kelly (p), Paul Chambers (b), Jimmy Cobb (ds, 7.を除く), Philly Joe Jones (ds, 7.のみ) 1961年3月7日、20日、21日録音。 SOMEDAY MY PRINCE WILL COME【輸入盤】▼/MILES DAVIS[CD]【返品種別A】 Miles Davis マイルスデイビス / Someday My Prince Will Come + 2 【BLU-SPEC CD 2】 次のブログのランキングサイトに参加しています。 お時間の許す方は、クリックで応援をよろしくお願いします! ↓ ↓