「仏果を得ず」三浦しをん
仏果を得ず タイトルにある「仏果」とは、仏道修行して得られる果報のこと、悟りのことだそうです。 簡単にまとめると、文楽を修行する若者が、作品中の人物、感情の解釈などを、自分の実生活上での経験を通して糸口を掴み、舞台を練り上げていく物語。 文楽って今まではあまり興味を持っていませんでしたが、この本はかなり面白い!文楽で物語を語る「大夫」さんの作品への解釈が、舞台に大きく影響を与えること・・・目からウロコでした。クラシック音楽の演奏もそういえば指揮者によって大きく変わりますもんね。 人形の脚の置き方ひとつでも、かなり研究して見せ方を考えられているのですね。「女殺油地獄」など、文学作品として読んでいるときは正直「何が面白いんだろう・・・?」と思いましたが、本作品を読んで「はぁ、なるほどなるほど!」と膝を打った次第。 真っ直ぐで、非常に気持ちがいい小説です。 さて、NHK教育で文楽が出るのが楽しみです。また新たな楽しみが増えました。(こちらは作者の文楽エッセイ(↓))あやつられ文楽鑑賞