000000 ランダム
 ホーム | 日記 | プロフィール 【フォローする】 【ログイン】

日々是好日

PR

ニューストピックス

キーワードサーチ

▼キーワード検索

カレンダー

カテゴリ

2009年08月27日
XML
テーマ:高校野球(3361)
カテゴリ:高校野球
「忘れ物を取りに来ました」

2009年夏の甲子園「第91回全国高校野球選手権大会」出場の新潟代表日本文理高校野球部。

今春の選抜大会で優勝校の清峰と一回戦で当たり、注目選手である今村猛投手に完封された。

「初戦敗退の忘れ物」

日本文理にとって、1勝することが最大の目標だった。



新潟県は春夏通算勝利数で47都道府県においてワースト最下位の野球最弱県。

春のセンバツは「出場すること」が、夏では「1勝すること」が大快挙というレベル。

日本文理は夏の甲子園は3年ぶり5度目の出場、春の選抜には3度出場したことがある。

最高成績はベスト8(2006年春)だが、夏は全て初戦敗退だった。




一瞬だった。

快音が聴こえ、打球が消えた。

誰もがボールを見失ったようにみえた。

テレビの実況、解説者も観客でさえも。

画面が切り替わった瞬間、ボールは三塁手のグローブに納まっていた。

その場にいた誰もが予想しなかった結末だった。



勝利した中京大中京には涙があふれいていた。

負けた日本文理に涙はなく笑顔があふれていた。

会場の観客はスタンディングオベーションで両校を称えた。

拍手はいつまでも鳴り止まなかった。



両チーム整列の後、挨拶もそこそこにお互いが歩み寄った。

握手をし、肩を抱き合い、声を交わした。

どちらが勝ったか見分けがつかないくらい笑顔があふれていた。




春にした忘れ物を取りに来た日本文理。

初戦に勝ち、忘れ物は返ってきた。

あとは、一日でも長い夏にしようと

気がついたら、いちばん長い夏になっていた。

忘れ物を取りに行き、おまけに感動がついてきた。



最後の瞬間まであきらめない。

自分にできることを精一杯やる。

それがあの決勝戦につながった。



でも、日本文理はまた大きな忘れ物をしてきてしまった。

「甲子園での優勝」という大それた忘れ物

長い間、見ることさえも許されなかったような大きな夢。



でも今は

いつまでもかなわない夢なんかない

誰もがそう思い、練習に打ち込むはず。


甲子園は、最後まで負けなかった一校と

たった一回しか負けていない高校の集まりでしかない。



来年もまた、多くの高校が忘れ物を取りにやってくる。


甲子園の忘れ物は、形を変え、時代を超えてゆくもののようだ。


○  ○  ○  ○  ○  ○  ○  ○


日本文理の大井監督は、50年前の夏に宇都宮工(栃木)エースとして準優勝。

3連投で決勝に臨み2-2のまま延長に突入。15回表に6点を奪われて力尽きた。


「まだ新しいチームを一から鍛えてほしい」

恩人に頼まれ、2、3年のつもりで新潟に来た。

経験者が半分にも満たない開校3年目の新進校の野球部だった。


それから23年、新潟県勢初の決勝進出。新潟県の歴史を変えた。

優勝まであと一歩。

これで監督を辞められなくなった。




日本文理の大井監督は言う。

「技術で勝負すると、技術で上回るチームには勝てないと子どもたちには伝えています。

高校野球は、どんな形であれ教育の場。野球を通して、仲間を作ることや親に対する感謝の

気持ちを持つということを意識して指導しています」


野球でなくても通用する教え。


大井監督は一戦ごとのインタビューで、選手達のことを「子どもたち」と呼び

温かいコメントをする。



日本文理の現在のチームはキャプテンが中心となって話し合い

監督が知らないところで学校周辺や駅前で掃除を行っていた。

地域の人に礼を言われて監督は初めて気がついた。


地域の人達やOBも、そんな野球部をバックアップしている。


監督が来た頃は室内練習場もなく、野球部の部費も思ったように出なかった。

ベンチやスタンドはすべて選手達の父母の手作り。

グラウンドの土の入れ替えもやってくれた。


JA新潟は魚沼産コシヒカリを代表校の泊まる宿舎に毎年300キロ差し入れている。

ちなみに、今年は予想外に勝ち進んだために200キロを追加した。

新潟日報は、選手の滞在費や応援団の移動費など予想外に膨らんだ経費のため

寄付を募る記事を出した。

今まで勝ち上がった経験がなかったので、積み立てていたお金では足りなかった。


今年の甲子園の決勝が日曜日だったらと今でも思う。

そうすればあの素晴らしい試合をもっと多くの人にリアルタイムで観て貰えたのに。

当日、テレビで観た人は勝ち組。

会場で、生で観た人は幸運の持ち主。


怖くて怖くて、時々テレビを消してはつけ、消してはつけをしながらも

9回は全部見ることができた私は・・・。

★★★★
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

10対4

9回表2アウト

中京大中京のピッチャー堂林は、あと1アウト打ち取れば優勝投手としてマウンドに君臨する。

その瞬間を会場にいる誰もが想像し、この試合の終わりを予感していた。

テレビの実況や解説者も、まとめのコメントを吐き始め

テレビカメラの画面も大差で勝っている側の中京大中京チームの顔を一人一人UPで映し始めた。

嬉しさを隠し切れない者。

ソワソワする動作を抑えきれない者。

目が潤み、あわてて顔をひきしめる者。

誰もが、すぐそこまで来た勝利の瞬間を迎えるための準備をしていた。

○○
○○○
●●






最終更新日  2015年02月28日 23時28分10秒
コメント(2) | コメントを書く
[高校野球] カテゴリの最新記事


■コメント

お名前
タイトル
メッセージ
画像認証
別の画像を表示
上の画像で表示されている数字を入力して下さい。


利用規約に同意してコメントを
※コメントに関するよくある質問は、こちらをご確認ください。


 Re:2009 夏の甲子園決勝 「忘れ物を取りに来ました」 中京大中京-日本文理(08/27)   はにゃりくにゃり さん
こんばんは。
我ら新潟県代表校が決勝まで進むとは私が生きているうちは無いと思ってました。
それも相手は甲子園常連校なので2ー12くらいでボロ負けだろうと思ってました。

それがやっぱり野球は面白いですね。9回2アウトからがこれが野球!
この前もプロ野球で9回2アウトまでノーヒットノーランだったけど最後の打者にヒット打たれちゃいましたね。

あのサードライナーが抜けていたらなぁ~。
でもこの決勝戦も有史に残る好決勝戦ですね。

東東京大会の決勝で帝京と戦った都立雪谷もそうですが今はどの高校にもチャンスがある時代になってるみたいです。

いつもながらEBさんの文章の書き方上手いなぁ。
読んでて引き込まれてしまいました。 (2009年08月27日 22時34分20秒)

 Re[1]:2009 夏の甲子園決勝 「忘れ物を取りに来ました」 中京大中京-日本文理(08/27)   EB さん
はにゃりくにゃりさん
>我ら新潟県代表校が決勝まで進むとは私が生きているうちは無いと思ってました。

私もです!!!
これであと90年なくてもじゅうぶん過ぎるくらいやってくれたなあと思いました!!

>それも相手は甲子園常連校なので2ー12くらいでボロ負けだろうと思ってました。

ひとりエースで連投なので仕方ないと思っていました。
もういいよ、もうじゅうぶんだよ
そう思いながら点数は期待しないで見ていました。

>それがやっぱり野球は面白いですね。9回2アウトからがこれが野球!
>この前もプロ野球で9回2アウトまでノーヒットノーランだったけど最後の打者にヒット打たれちゃいましたね。

とてつもない重圧がかかっているんですねー。
そして、やっぱり甲子園にマモノはいたんですねー。

>あのサードライナーが抜けていたらなぁ~。
>でもこの決勝戦も有史に残る好決勝戦ですね。

負けてなお清清しかったですね。
最高の終わり方でした。
敗者の美学、散りゆくものの潔さと美しさを尊重する日本ではこれ以上ない結末でした。

>東東京大会の決勝で帝京と戦った都立雪谷もそうですが今はどの高校にもチャンスがある時代になってるみたいです。

日本海側も冬でも雪の降る時期が短くなっているようですので、これからも期待できそうですね。

>いつもながらEBさんの文章の書き方上手いなぁ。
>読んでて引き込まれてしまいました。

そんなめっそうもない。
伝えたいことの半分も書き表せなくて凹みます。
でもありがとうございます。
やっぱり百聞は一見にしかず。
あの緊迫した瞬間の連続、その空気感は動画で見てこそですよね。
この試合のあとで、ドラマや映画を見ても物足りず・・・。

ただ、うちはビデオが壊れていて、日本文理の試合や決勝をひとつも録画していなかったことが悔やまれますorz私のバカーーーーーーーー!!!! (2009年08月28日 07時24分38秒)


© Rakuten Group, Inc.