今朝、朝の７時から取材で、
夕方５時まで延々とクルマを運転していたハルキチでございます。

かなり疲れ果ててます。


プールの事故の件ですが、
今回のテーマは「今回の事故は何故起きたのか」です。


ちと前話をば。

プール監視員にも「資格」というものがあります。
持っていれば何かができると言ったものではありませんが、
あればかなり優遇されます。

それは日本赤十字社の「水上安全法」といいます。
あの赤十字社が認定しているものです。
かといって赤十字社が責任を負うものではありませんが、
この資格を得るには、専門知識と泳力が必要になるので、
持っているというだけで、かなりの実力を認められるものです。

その水上安全法の教本にも書かれているのですが、
水泳場の危険な場所の一つに吸水口が挙げられています。
過去、ここに吸い込まれて死亡した事故が多いからです。

ちょっと数字は曖昧ですが、
戦後、これまで起きた吸水口の事故の件数は57件。
うち、死亡した件数は55（もしくは54）件。
死亡率97％。
だったかと記憶しています。

このシュの事故には、これだけのデータや、
いくつかの水泳場安全管理の教本に載っているほどの認知度があります。
つまり、水泳場の安全管理に携わる者として、
今回の事故は起こしてはいけない事故だったのです。

そうは言っても、
人間の世界に絶対と言うものはほとんどありません。
どんなに気をつけていても事故は起きるものです。

だから監視員は、
事故が起きないよう見張ると同時に
万が一の事故に際して人を救助しなくてはならないのです。

前回でも述べましたが、
監視員の質は酷いものです。
今回のふじみ野市のプールも
監視員の質は似たようなものだったようです。

過去の判例や今回の状況を鑑みると、
当局や業者の責任は追及されることでしょう。

少々キツイ言い方かもしれませんが、
同じ業務に携わっていた者として、
今回の事故の酷さは、見るに堪えられないものでした。



次に弁護と言うわけではありませんが、
監視員の苦悩を少々お伝えしたいと思います。

前回、コメントの個所でさらっとお話ししましたが、
安全管理と利用者の満足度についてです。

利用者の言動に小うるさくしているプールは
比較的（絶対ではない）安全ですが、
監視員が何も言わないところは
利用者の満足度が高い（と言うか不満度が少ない）のです。

当たり前ですよね。

で、このバランスが難しいのですが、
近年のプールの傾向として、後者の方に傾いています。

「自己責任で快適に」とでも言い換えられるでしょうか。
砕いて言うと、
「うるさいのは嫌だから、自分でキッチリとルールは守りますよ」
になりますでしょうか。

ですがそんな人はごく少数。
「ちょっとぐらいいいじゃん、でも注意されるとムカつく、
溺れたら助けるのが当たり前だろ」
という人が少なからずいます。

事故の未然防止に対する意識が
低くなってきた遠因の一つだと思います。

保護者についてもひと言。

プールによって基準の差はありますが、
一定の年齢に達するまで、
児童には保護者の同伴が義務づけられています。

で、ふじみ野市のデータを見てみたら、
保護者同伴は未就学児まででした。
つまり小学生未満の幼児には
常に保護者が付いていないといけないわけです。
ところが現実はそういかないんです。
保護者も人間ですから、
疲れたら休みたいでしょうし、
けれど子供が遊びたいのなら
勝手に行かせたくなるでしょう。

ところが水難事故の原因のほとんどがここにあります。

年間の水難事故の件数を年齢別に分けてみると、
トップは乳幼児、その次が60歳以上のお年寄りの方です。
そうして考えてみると、
目を離すのがどれだけ危険かわかりますよね。

常に目と手の届く範囲に置いておきましょう。
悲しい事件を再発させないように。



水泳場の安全管理に携わっていた者としてのお願いです。