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テーマ:経済(1439)
カテゴリ:ナンチャッテ経済学・ファイナンス
それまでも面白い記事を書かれる方だなと思っていましたが、3月の株式市場が乱高下していたとき、相場の底入れをいち早く示唆された記事を目にして参考にさせていただいた慶応の小幡准教授の最新の記事です。
東大経済学部を首席で卒業され、大蔵省に入られ、大観されたという異例の経歴です。 バブルを3つの視点から分析して崩壊について触れていらっしゃいます。米大統領選までバブルはもつのか? ■参考リンク 「3つのバブル」が崩壊する瞬間が近づいている短期のコロナバブル崩壊はきっかけに過ぎない小幡 績 : 慶應義塾大学大学院准教授 2020/09/24 5:35東洋経済ONLINE 世界はこれからどうなるのか。 コロナは収束する。そして、バブルは崩壊する。正確に言うと、崩壊しそうだったバブルがもう一度、最後の膨張を見せ、崩壊する。すでに株式市場はその最終段階に入っている。これがラストバブル、最後のバブルになる。 新型コロナがバブル崩壊を救ったという皮肉 2020年に入ったときに、少なくとも株式市場はすでにバブル崩壊寸前だった。ウーバーやウィーワークなどに投資していたソフトバンクグループ(ソフトバンク・ビジョン・ファンドなど)、そして、テスラ……。 しかし、これらの崩壊寸前のバブルを救ったのは、新型コロナショックだった。FED(アメリカの中央銀行)は前代未聞の金融緩和を行い、同国政府の財政出動も、リーマンショック時の対応をはるかに超えるものとなった。暴落した株価はこれで急回復。S&P500種株価指数やナスダック総合指数などはコロナショック以前の水準を超え、史上最高値を更新し続けた。 市場は都合よく、コロナショックを解釈した。引きこもり生活で利益を急拡大したズーム、アマゾン、その他の半導体関連やネット関連企業の株価は暴騰し、政府の経済対策で救済される古いセクターの株式もリバウンド狙いで急騰した。 相場は主役を変えつつ上昇を続け、暴落したはずのNYダウも、コロナショック前の株価を一時回復した。 では、今回のバブルは維持可能だろうか? もちろん崩壊する。現在からさらに膨らんでから崩壊するか、このまま一進一退するなかで崩壊するのか、それはわからない。だが、まもなく崩壊することは間違いない。 その結果、すべてのバブルは崩壊するのだ。では、すべてのバブルとは何か? 以下略。 「10年バブル崩壊」の第1幕はそろそろ終わる「相場のうそつきたち」のうそに耳を傾けよう小幡 績 : 慶應義塾大学大学院准教授 2020/03/13 6:00 東洋経済ONLINE 抜粋 株価はいつになったら下げ止まるのか? さて、過去の話はもういい。問題は、これからだ。いつ下げ止まるのか。 この議論になると、うそつきであることがバレた専門家たちは口をつぐむ。「市場はパニック状態なので、いつ収まるかわかりません。ただ、いつかは収まります。その時のために買いを準備しておきましょう」、などというだけだ。 彼らは、要はうそつきだからそれでいい。ここで一番厄介なのは、素人のくせに専門家だとメディアなどに誤解されている人々だ。場合によっては、自分自身で専門家だと思い込んでいる、何もわかっていない人々だ。 彼らは、バブルの解説をする。「いったん崩壊するとパニックでおさまらない。だから、新型コロナパニックが収まるのを待つしかない」、とか、「株価というのは、企業の収益を表しているから、それが回復する見通しが立てば戻るでしょう。しかし今はそのメドが立たないので・・・」とか言う。 馬鹿なことを言うな。 企業収益と株価は直接には関係しないことが多いのは、行動ファイナンスという学問でもわかっている。またマーケットの現場でも、PER(株価収益率、株価÷企業の1株当たり予想利益で計算)が総じて10倍から20倍の間を動くことでも明らかだ。 これはPERが2倍も変化すれば、株価は、企業収益が同じでも時には2倍になったり、半分になったりするということだ。しかし、個別の銘柄の株価はともかく、日経平均株価は2万4000円から1万8000円程度には落ちることはあっても、さすがに1万2000円にはそうそう簡単には落ちない。 一方で、企業収益で株価を比較的容易に説明できることがあるとすれば、それは平時のことであって、投資家のセンチメント(心理状態)が一定の場合、つまり穏やかなときだけだ。今はパニックの話をしているのだから、この動きが収まるのに、収益は関係がない。 とにかく、彼ら、つまり、自分が専門家でも関係者でもない、ということを自己認識していない「もっとも駄目な専門家」のことは無視しよう。彼らの言うことは、まさにノイズ、ノイズトレーダー以上に「ただの雑音」だ。 そして、いまこそ、「うそつきたちのうそ」に耳を傾けよう。なぜか。なるほど、彼らの悲痛なまでの叫びは、事実、解釈、分析としてはありえないまでのうそである。だが、「彼らの願望の吐露」だと思えば、これほどの真実はないからだ。投資家に立場が近い人々の願望の真実が観察できる、これほど素晴らしいチャンスはない。 彼らの発言を注意深く聞いてみよう。彼らが「諦念の極」に達したとき、それが相場反転のサイン、兆候だ。もう「守るもの」もなくなって、諦め切ったときだ。ここで「もはや守るものがない」、ということは、「売るものもなくなったとき」だ。 このとき、売っているのは、煽って最後のひと稼ぎをしようとしている「相場荒らし」のトレーダー、火事場泥棒のトレーダーたちだけだ。こういう人たちだけになると、乱高下も機械的、あっさりしたものになってくる。売るものが少なくなれば、下がりにくくなる。仕掛けだけの売買では乱高下は続かなくなるし、仕掛け人たちも儲からなくなるから、仕掛けもやめる。 「10年バブル崩壊第1幕」はまもなく終わるかもしれない では、そういう状況になる気配は、どのように現れるか。 ポジショントークの株式関係者たちが「反転のきっかけが見えない」などといった本音が聞こえるようになったら、あからさまに「何がどうなれば反転のきっかけになるかわからない」、というようなことを吐露したら、買いの準備をしよう。 そして、そのような状況の中で、明らかな事実として、プラスの材料が出てきたら、そのときこそ買いに転じる時だ。今は、もう少し、それを待ち続けるしかない。 ただ、もし早ければ来週(16日)あたりから、その気配が感じられるかもしれない。それは短期の反転であり、過去10年の上げ相場の調整が終わったわけではない。それでも、この約2カ月の新型コロナウイルスをきっかけとした暴落の局面がいったん終わる可能性がある。 さらなる長期に関しては、筆者としては、長期停滞かつ緩やかな右下がり相場となり、「ソフトバンクグループバブル」「ユニコーンバブル」が崩壊したときに、もう一段のバブル崩壊があると考えるが、それは新型コロナ暴落局面とは別の「10年バブル崩壊第2幕」である。その前に、まずは今回の第1幕が下りることになる。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2020.09.24 08:57:57
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