人形「フン!お前たち人間ごときに我々が黙って退治されると思うか?人間の能無しどもが!」
物の怪は挑戦的な口調で喋っていた。私が物の怪を退治しに来た事を知っているのか?
「黙れ!女性たちはどこだ?返すんだ!お前たちを綺麗さっぱり退治してやるぞ!」
人形「くかかかかかか!お前は状況がわかっていないな。周りを見ろ!ここはすでに物の怪だらけだ!」
なんだって?もう物の怪に囲まれていると言うのか?
ここにある”物”全てに物の怪の霊が宿ったとでも言うのだろうか?
ベッド、ランプ、カーテン、カバン、タオル、枕、家具……、その他いろいろな物。コーヒーカップやスプーンまで。
そして今の私は女性たちがいなくなったので1人だけになってしまった。これでは数の上でこっちが不利だ。とにかく電話を探さないと!そして応援を呼ぼう。だが焦れば焦るほど電話を置いた場所がわからない。焦ってしまい、冷静に思い出す事さえ出来ない。
は?そう言えば中田は?中田がどこかにいないか?
中田だって”人間”だ。物の怪退治には協力してくれるかも?
……………………。
でも待てよ?
おかしいぞ。
あれはどう見ても普通の中田じゃなかった。あの中田はこれまでの中田とはまったく違っていた。そして中田は女性3人を外に連れ出した…。
その女性たちはいったんここに帰って来たように見えたが……、それは実は違う。女性たちはまだ帰って来ていないのだ。中田に連れ出されたままだ。ここに来た女性たちの正体は……、あの3体の”人形”たちだ。人形に物の怪の霊が宿り、さらにあの女性たちに姿を変えてこの部屋に入って来た。あの鍵のかからなかった時に。
すると本物の女性たちはいったいどこにいるのだろうか?やはり外にいるのか?
女性たちは携帯電話を持っている。女性に電話して確かめたいが、肝心のスマートフォンが見つからない。
くそう!もしかするとスマートフォンもすでにやつらに盗られたではないか?あれだって”物”だから。スマートフォンが物の怪に乗っ取られたのかも?
そして、やはりあれは”中田”なんかじゃなかったのだ。中田がここのルームキーを持っている筈はない。その時点で気付けば良かった。中田がこの部屋の中に入ったのを見た事はないから、ルームキーなんて取れるはずはないし。女性たちが中田を信用して彼にルームキーを渡すなんて考えられない。中田が”信用できない男”なのは学校にいる誰もが知っていた筈だ。
やはりあれは”物の怪”だったのだ。中田に姿を変えた物の怪だ。
すると本物の中田はすでにもう……。そして女性たちは?
THE END
お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2015/10/04 03:27:52 PM
コメント(0)
|
コメントを書く
もっと見る