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BLUE ODYSSEY

BLUE ODYSSEY

小話  屋台その2  VOL.162


小話  屋台その2  VOL.162


家の中でミルキーはモグモグと仲良くしていました。
そしてモグモグと遊んでいました。またモグモグとゲームをしたりしていました。
それに口を開けば「モグモグがあの大会の優勝者なんだよ!」と言ってました。以前のようにミルキーとモグモグはまた仲良くなっていました。
一方……、
そんなミルキーはもう”小人”のことなど頭の中にないようなそんな感じでした。

アリスは食事の準備をしていました。
”小人”の分の食事を毎日用意していました。
そしてテーブルの上にはみんなの分の食事を、そして最近まったくミルキーがモグモグにエサをあげないので代わりにいつもアリスがやっていましたが、それも準備しました。

すると今日はミルキーがやって来て、

ミルキー「モグモグの分はミルキータンがあげるんだよ!」

と言いました。そしてミルキーはアリスからお皿を受け取って、モグモグのところに持って行きました。中にはモグモグが喜びそうな穀物をすりつぶした物とか葉っぱを細かくきざんだ物が入っていました。

そしてミルキーはそのお皿を床に置いてモグモグに食べさせました。
ミルキーはその場にしゃがみ込んで、モグモグが器用にくちばしでエサを食べる様子を見ています。

それからアリスはモグモグの飲み水を入れ物に入れて持ってきました。
するとミルキーは、

ミルキー「だめだよ、今日からモグモグにはしんせんな”野菜ジュース”をあげるんだから!
それで次のゲーム大会も優勝してもらうんだよ!」

そう言ってモグモグの水飲み用のお皿に野菜ジュースを入れました。

ミルキー「さあ、モグモグ、お飲み!」

すっかり、モグモグの母親気分です。

それからもミルキーはじっとモグモグが食べるところや飲むところを見ていました。

その後、アリスは気付きました。小人に食事をあげなくてはなりません。

アリス「ミルキーさん!小人さんに食事をあげてくださいな!」

ミルキーはモグモグがエサを食べる様子を見ていましたので、アリスには背中を向けていました。

ミルキー「……………………。」

アリス「ミルキーさん、どうしました?小人さんにエサをあげてくださいな!」

ミルキー「……………………。」

そう言ってアリスは食べ物の入ったトレーをミルキーに渡そうとしました。
そのトレーはお子様用の物です。お皿は仕切りで3つのエリアにわかれてあって、そこにいろんな食べ物が入っていました。

するとミルキーはアリスの方に背を向けたまま、

ミルキー「ミルキータンは今モグモグにエサをあげていて、いそがしいんだよ。
そっちはアリスタンがあげてきて。」

と言いました。

アリス「……………………。」

するとアリスは、

アリス「ミルキーさん!!
”小人さんのお食事の世話はミルキーさんがする”と言っていたではありませんか?」

ミルキー「……………………。
でもミルキータン、今いそがしいんだよ!」

アリス「お皿を置くだけじゃありませんか?ミルキーさん!小人さんにお食事を持って行ってください。」

ミルキー「……………………。」

アリス「ミルキーさん!ペットのお世話は途中でやめられませんよ!」

そう言われてミルキーはしぶしぶ小人にエサをあげる事にしました。
そして受け取ったトレーを床に置きました。
それから部屋の中を見ましたが……、小人の姿はありません。

ミルキー「あれ?小人タンがいないよ?」

アリス「ミルキーさんも知らないのですか?」






小話  屋台その2  VOL.163


アリスはゲーム大会の後、小人を連れて帰るのを忘れていたことに初めて気付きました。
忘れていたのは、ゲーム大会終了後、小人の姿が見えなかったためです。それに小人はいつもミルキーが放しませんので、てっきりミルキーが連れて帰って来ていると思い込んでいたのです。

アリス「ミルキーさん!小人さんをつれて帰りましたか?
小人さんはあのゲーム大会から帰って来ましたか?」

ミルキー「さあ?ミルキータン知らないよ」

するとモグモグが、



モグモグ「ピィーー!!ピィーー!!」


バサッ!バサッ!バサッ!バサッ!バサッ!バサッ!


ミルキー「モグモグが、”小人タンはお家まで帰って来た”と言ってるよ!」

アリスはホッとしました。

アリス「じゃあ、小人さんは今どこに?」

部屋の中ではニセアリスが床に寝そべり、優勝賞品のゲーム機で遊んでいました。

アリス「ニセアリスさん!小人さんを知りませんか?」

するとニセアリスはアリスの方も見ずに、

ニセアリス「なんだか庭の犬小屋の方がゴソゴソとさわがしい」

と言いました。

言われてアリスは窓を開けて砂場の隣に置いてあるミニハウスを見ました。
いつもはそのミニハウスの入り口の扉は開いているハズですが、それが閉じられていました。窓もそうです。いつもは窓は開けっ放しのままでしたが、それが閉まっていました。

アリスは玄関から庭に出てみました。
ミニハウスに行くと、やはりその入り口の扉がしっかりと閉められ、窓も全て閉まっていました。

アリスは「小人さん、いるんですか?」とミニハウスに向かって聞きました。
しかし、返答はありません。

アリス「小人さん、そこにいるんですか?」

すると……、

小人「ああ、お腹空いた。」

と声がしました。
アリスはさっそく部屋戻り、ミルキーにミニハウスまで食事を持って行くように言いました。






小話  屋台その2  VOL.164


ミルキーはしかたなくミニハウスに食事を持って行くことにしました。

ミルキー「あ~~~あ、めんどくさいなあ。」

などと言いながら、ミルキーはため息をつきました。

お家の玄関を出て左に行くと、家の横に砂場があります。
その砂場の脇にミニハウスがありました。

ミルキー「……………………。」

ゲーム大会で小人が取った態度はミルキーにもわかっていました。
だから今ではミルキーは小人のことをあまり良く思っていません。
それでなんと言って小人に声をかけていいものかわかりませんでした。

ミルキー「……………………。」

ミルキーはミニハウスの前で突っ立っていました。

ミルキー「……………………。」

どう声をかけていいのかミルキーの中で結論が出ませんでした。
なので食事のトレイだけミニハウスの前に置き、玄関からお家の中に戻りました。
するとアリスが、

アリス「ミルキーさん、お食事をちゃんとあげてきましたか?」

と聞きました。

ミルキー「うっ、うん、ちゃんとあげてきたよ。」

アリス「……………………。」

アリスはミルキーが少し嘘をついたことがすぐわかりました。

アリス「ミルキーさん、本当にちゃんとあげてきましたか?」

するとミルキーは、

ミルキー「うっ、うん。」

と、言ってゲームを始めました。

アリス「……………………。」

ミルキーがアリスの方に背中を向けてゲームをプレイし始めましたので、アリスはミルキーがちゃんと食事をあげたのか見に行くことにしました。

アリスがミニハウスを見に行きますと、




バタン!




と音がしてミニハウスの扉が閉まるところでした。
その扉の前にお皿が出されていました。中に入れていた角砂糖、こんぺいとう、ビスケット、カンパン、あめ玉などがなくなっていました。

アリス「ふう。」






小話  屋台その2  VOL.165


小人はどうやら食事は取ったようです。
アリスはトレーだけ持って、家の中に戻って来ました。

ミルキーはそんなアリスをまったく見ませんでした。どうやら小人が食事をしたかどうかも気にしていないようです。
ゲーム大会の前と後ではまったく違ってました。今やミルキーはモグモグの方に関心があるようです。モグモグとゲームをしていました。

ミルキー「わーーーー!モグモグ、すごいなあ!!」

モグモグも興奮してゲームをプレイしてました。
久しぶりにミルキーの関心が自分の方に戻って来たからです。

モグモグ「ピーーーーーー!ピーーーーーー!」

モグモグと再び仲良くなったのは良いのですが…………。
アリスは空になったトレーを持ちながら、

アリス「(ペットのお世話はちゃんと続けてくれるのかしら?)」

と心配しました。



夜が来ました。
アリスは「今日小人さんはどこで寝るのかしら?」と思いました。
玄関から外に出て小人の様子を見ようとしました。玄関を開けると、ハラリと小さな紙切れが落ちました。どうやら玄関に紙がはさんであったようです。それは小人が書いたような小さな紙で、そこに木の枝を使って文字が書かれていました。

アリス「?」

見るとそれは小さな字で、小人が書いた物のようでした。

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ハンドライト

by 小人
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アリス「?」

メモにはそれだけしか書かれてません。
しかたなくアリスはハンドライトを持って来ました。それから夜食のクッキーやミネラルウォーターもいっしょに。
そして小人がいるミニハウスの前に立ちました。

アリス「”ハンドライト”を持って来ましたよ。」

しかしミニハウスからは返事がありません。

アリス「……………………。」

それで、

アリス「今日はここに寝られるんですか?」

と聞きましたが、それも返事ありませんでした。
しかたなくアリスはハンドライトやクッキーなどをミニハウスの前に置き、立ち去るフリをしました。家の玄関を開けてその中に入り、いったん扉を「バタン!」と音を立てて閉めたようにしましたが、すぐに開けました。
すると………、
ミニハウスの扉が開いて、中から小人の手が見えました。ミニハウスの中は真っ暗なので小人の手しか見えませんが、その手がちゃんとハンドライトやクッキーを取りました。
アリスは安心して家の中に戻りました。




次の日、朝食時のことです。
アリスはまたミルキーに小人に食事を持って行くように言いました。






小話  屋台その2  VOL.166


アリス「ミルキーさん、ご自分で小人さんに食事をあげてくださいな。」

しかし、アリスからそう言われたミルキー、何も返事せずにその場に突っ立っていました。

ミルキー「……………………。」

アリス「どうしました?」

ミルキーはしかたなくトレーを持って玄関から外に出ました。
しかし玄関を出たすぐのところで足が止まってしまい、なかなか前に進みません。

ミルキー「はあ~~~~~~~~~~~~~~~。」

ミルキーは大きなため息をつきました。
なぜだか小人に声をかけるのが、とてもおっくうです。

そこでミルキーはまたミニハウスの前にトレーを置きました。
そして、




ダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダ!!!





とその場から走り去り、お家の中に戻りました。






小話  屋台その2  VOL.167


するとアリスが、

アリス「ミルキーさん、お食事をちゃんとあげてきましたか?」

とやはり聞いて来ました。

ミルキー「ううっ……、ちゃんとあげてきたよ。」

と言うミルキー、なんだかあわててました。

アリスはため息をつきました。

その様子を、朝食を食べながらウサギさんが見ていました。

ウサギ「……………………。」

ウサギさんは何か言いたそうでしたが……、けっきょく何も言わずに仕事に出かけて行きました。



食事の後、ミルキーはいつものようにゲームを始めました。

アリス「……………………。」




やがてお昼になり、アリスはミルキーに、小人の所へ昼食を持って行くように言いました。

ミルキー「……………………。」

食事を持って行くように言うとミルキーは元気がなくなるのです。

アリス「ミルキーさん!」

ミルキー「はあい……、」

ミルキーはしぶしぶ外に出て食事をあげに行きました。
その様子をアリスはこっそり玄関の扉を開けて見ていました。

ミルキーは食事が入ったトレーを持ったまま、砂場にも入らず、突っ立っていました。
砂場を越えないと、小人のいるミニハウスまで行けません。
でもミルキーはそこに立ったまま動きませんでした。

ミルキー「……………………。」

アリスは「何をしているのかしら?」とミルキーのことが心配になって来ました。






小話  屋台その2  VOL.168


アリスが見ていますと、ミルキーは急に走り出しました。
そして小人の食事が入ったトレーをさっとミニハウスの前に置き、急いで戻りはじめました。
アリスはのぞいていたのがばれないように、急いで玄関のドアを閉めました。

すぐにその後、ミルキーが戻って来ました。お家の中に入ったミルキー、さっそくテーブルに着いて、

ミルキー「終わった!終わった!」

と言いました。そして昼食を食べようと思ったのかフォークを手に持ちました。

アリス「……………………。」

でもミルキーは思い出したように「あっ、モグモグにあげなくっちゃ!」と言いました。そしてモグモグにエサをあげました。

アリス「……………………。」




そんなことが続きました。
それ以来、小人はミニハウスから出てこなくなりました。
ミルキーはどうも小人に食事をあげに行くのをいやがっているようです。
それで時々はアリスが代わって行きました。

すると時々ミニハウスの前やお家の玄関に”メモ書き”が置いてあるのを見つけました。
そこに必要な物が書かれてあるのです。


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あんパン


by 小人
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するとアリスはそこに書かれた物をそっとミニハウスの扉の前に置いておきました。
メモに書かれてくる物は、『カップラーメン・コーラ・あめ玉・マンガ・コーヒー・雑誌』
などがありました。

そして、ある日のこと、



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インドアネット


by 小人
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メモ書きには『インドアネット』と書かれていました。
”インドアネット”とは不思議の国のインターネットのことです。

アリス「……………………。」

「インドアネットが欲しい」と言っているようです。
それでアリスはウサギさんに相談することにしました。




午後10時、ウサギさんが仕事から帰ってきました。

ウサギ「はあ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~!
今日はつかれたなあ。」

ウサギさんはお家に着いて、ホッとした表情になりました。
アリスはいつものようにジューサーでニンジンジュースを作りました。
そして”いれたて”をウサギさんのところへ持って行きました。

ウサギ「ゴクゴクゴク……、



ぷはあああああああ~~~~~~~~~~~~~~~!!!」



ウサギさんは仕事帰りのいっぱいを飲み干しました。

ウサギ「うまい!」

すると、アリスが……、相談を持ちかけようとしました。

アリス「あのう……、」

するとウサギさんは不穏な空気を感じ取りました。
一瞬でウサギさんのテンションが下がりました。

アリス「あのう、あのですね。
インドアネットを接続して欲しいのですが。」

ウサギ「インドアネットを?
ここにはすでにインドアネットが接続されていますが、いったいどこに接続すると言うのですか?」

アリス「”ミニハウス”にです。」

ウサギ「ミニハウスと言いますと……、あの”小人”にですか?」

アリス「はい。」

ウサギ「いけません!インドアネットを接続しては!」

アリス「え?どうしてですか?」

ウサギ「そっ、それは……、」

ウサギさんは言葉につまりました。そして、

ウサギ「あのう……、もうそろそろやめませんか?」

と、言いました。

アリス「え?何をですか?」

ウサギ「”小人”を飼うのをです。
あれにお金や手間をつぎ込んでもしかたなりません。あとできっと後悔するでしょう。」

その時、すでに眠っているミルキーが「ううん」と寝言を言いました。
あまり大きな声で話すとミルキーが起きてしまいます。
それでウサギさんは話を”巻き”ました。

ウサギ「インドアネット接続するのはパソコンさえあれば簡単ですが……、
しないほうが良いと思います。」

アリス「え?どうしてでしょうか?」

ウサギ「それは……、」

ウサギさんは考えました。

ウサギ「まあ、口で言ってもしかたないですね。口で言うよりも見てもらった方が……、
では明日、インドアネットをつなげます。」

ウサギさんは夜のうちにパソコンを用意しました。それはケーブルでインドアネットが接続されていました。




翌朝、仕事に行く前にウサギさんはアリスに言いました。

ウサギ「このパソコンをミニハウスの横に置いてください。そしてこのモニターとキーボードとマウスを持ち込めばミニハウスの中でインドアネットができます。」

アリスはウサギさんにお礼を言いました。








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