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BLUE ODYSSEY

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『アリスの大豪邸』第3部 ACT.115

ACT.115 どうしようもないぐらいポンコツ 『アリスの大豪邸』 第3部 黄色いワーゲン編









『アリスの大豪邸』 第3部 黄色いワーゲン編













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ウサギさんはとまどいました。そんなことのためにインドアネットを見ろだなんて。
それは「ネット漬け」にでもなれということではないかと思いました。ウサギさんはインドアネットは調べ物をするためによく利用していましたが、そのような雑学吸収のためだけにインドアネットを利用する事、つまり「ネット漬け」になることにはいつも反対を唱えてきたのです。それは「ニセアリス」という「ネット漬け」になった人間がいつも身近にいたからでした。そこで最初の話に戻しました。

ウサギ「それよりあのう……、ここに”安くて良い中古車”はありますか?」

おじいさん「はえ?ワシは耳が遠くてのう。
なんだって?”超高い中古車が欲しい”だって?」

ウサギ「いいえ、”安くて良い中古車”はありますか?
”ちゃんと走って、しかもすっごく安い中古車”を探しているんです。」

おじいさん「なになに”めっちゃ速くて、すっごく高い中古車を買いたい”だって?
そうかえ、それならこっちに良いのがあるよ。」

おじいさんはお店にある一台の自動車を指さしました。それは赤いオープンのスポーツカーでした。

おじいさん「”スポーカー”じゃ!!お安くしとくよ!!
まあ、今日はあんたらわざわざワシの店に来てくれたんじゃ、特別に本日限りの大特価にしとくよ!」

でも、ウサギさんが見た限りそのスポーツカーの窓ガラスは割れていました。
さらに内装のシートはズタズタで中のスポンジが見えていました。
それによく見ますとタイヤは一本パンクしていますし、メーター類のガラスは割れて無くなっていました。それにボディーの塗装はところどころはげて錆びていました。

ウサギ「おいくらですか?これ?」

おじいさん「120万ゴールド!!!」

ウサギ「あのう……、見た感じとても動きそうにないのですが?」

するとおじいさんは投げやりに、

おじいさん「あ~~~~~~そんなバカなこと言っちゃいかんよ!
動く!動く!動く!」

ウサギ「コホン!
このようなお高いのではなく……、すっごく安いのが欲しいのですが。」

おじいさん「うちの店ではこれは安い方だ。
うちは”良い車”ばかりあつかっているんでね。そこいらの激安店みたいに安いだけの”ポンコツ”のような車は扱ってないんだよ!
このお店にある車を見てもらえばわかるように”ポンコツ”は一台も置いてない!よく動く車ばかりを集めて置いているんだ。」

このお店の車はどれも似たような感じで塗装がはげていました。そしてほこりがかぶっていました。

ウサギ「……………………。」

アリス「……………………。」

おじいさん「さあさあ、早く買わないとなくなっちまうよ!うちの車はどれもすぐに売れてしまうんだ!」





ACT.116 信用できない! 『アリスの大豪邸』 第3部 黄色いワーゲン編 


アリスもウサギさんもすっかり言葉を失っていました。
アリスはウサギさんにだけ聞こえるようにこっそりとしゃべりかけました。

アリス「(ヒソヒソ)このお店出ましょうか?」

ウサギ「(ヒソヒソ)それがいいです!」

アリスとウサギさんは退散しようとしました。
それを見たおじいさんはあわてて別の車を指さしました。

おじいさん「ゴホン!ゴホン!
しかたないなあ!特別に良い中古車を紹介してやろう!
今の車より安いよ!76万ゴールドポッキリ!!」

けれどそれはどう見てもボロボロの車でした。
深緑色のようなボディーカラーですが、「汚れているのと”ほこり”がかぶっている」ので元の車の色が本当は何色だったのかよくわかりません。
おまけにドアは取れかけていて傾いていました。それに全てのガラスにはヒビが入っていました。またタイヤの空気は全て抜けていました。

ウサギ「やめます!」

そう言ってアリスたちはお店を出ました。

おじいさん「なんじゃよ!良いのがいっぱいあるのに!待った!それならこれはどうじゃ?
あ~~~~お客さん!待って!お安くしとくよ~~!」








アリスたちは走ってそのお店から逃げました。

アリス「今度はもっとよくお店に並んでいる車を見てからにしましょう!」

ウサギ「そうですね。」

モグモグはニセアリスを背負っており、辛そうでした。

モグモグ「ピィーー!ピィーー!」

それで近くのお店を探すことにしました。またニセアリスがモグモグの背中から落っこちないように手で押さえている由美も疲れて来そうでした。

由美「……………………。」

それに寝ているミルキーを背負っているアリスも疲れが早くたまりそうでした。

そんな中、次に見つかったお店は……、




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『インチキ中古車屋』




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お店のかんばんにはそう書かれていました。

アリス「……………………。」

ウサギ「……………………。」

一見すると、お店の敷地内には割と綺麗な車ばかり置いていました。
それでアリスやウサギさんたちはお店の中に入りました。
やはりここにもお店の奥に小さな事務所のような建物が建っていました。
そしてその建物の扉が




ギーーーーーー!




と開きました。
そしてここでも「なんともあやしげなおじいさん」が中から出て来ました。
仙人が持つような木の杖を「コツン!コツン!」とつきながらゆっくりと歩いてきました。
とても長い真っ白なヒゲを生やしていました。服装は真っ赤なアロハシャツ。
目には白いフチにミラーレンズのサングラスをかけていました。
そしてアリスたちを見るなり、

おじいさん「きひひひひひひひ!きひひひひひひひ!
客が来た!客が来たああああ~~~~~!」

と言いました。おじいさんは本気で喜んでいました。
そしてニタニタと薄笑いをその口元に浮かべました。

おじいさん「きひひひひひひひひ!」

アリスたちは激しくひきました。

アリスたちのそばまでやって来るとおじいさんはニタつくのをやめて、急に芝居がかった口調でこう言いました。

おじいさん「なにかご用かね?”良い車”が欲しいんじゃろ?
わかってる。わかってる。
うちには良い車がいっぱい置いてあるよ。
きひひひひひひひひ!!」





ACT.117 ウソツキ中古車屋 『アリスの大豪邸』 第3部 黄色いワーゲン編 


ウサギ「ここに”安くて良い中古車”はありますか?
できればすごく安い物を探しているんです。」

おじいさん「”安くて良い中古車”だって?
きひひひひひひひひひ!
それならうちにはいっぱい置いてあるよ!」

おじいさんはアリスたちに車を見せました。
それはごく普通の自動車でした。よくある”大衆車”のようでした。ボディーカラーは深緑色で、中は5人ぐらい乗れそうでした。
一応洗車されていて綺麗でした。運転席を見ますとそれも割と問題なく綺麗でした。

アリス「……………………。」

おじいさん「こいつは調子いいよ!買っても壊れない!」

ウサギ「エンジンをかけてもいいですか?」

おじいさん「はん?エンジンだ?
そんなことをよりボディーを見なさい!傷ひとつないだろう?」

ウサギさんは言われるままボディーを見ました。車の周りをグルッと一周しました。

ウサギ「確かに傷はないようですね。
ではエンジンをかけてもらってもいいですか?」

おじいさん「はん?エンジンをかける?
う~~~~~~。
じゃあ、この車を買うのかね?」

ウサギ「え?それはまだわかりません。」

おじいさん「買うかどうかもわからんのに”エンジンをかけてくれ”だって?
エンジンをかけるとそれだけガソリンが減るだろ?
買うと決めてからエンジンをかけてくれ!」

ウサギ「……………………。」

ウサギさんはこれは何か怪しいなと思いました。

ウサギ「エンジンをかけないで車を買うなんてことはできません。
さっかくですが、これで……。」

ウサギさんはクルッと後ろを向いて帰ろうとしました。

おじいさん「待った!
じゃあ、特別にエンジンをかけさせてやる!
だが、エンジンがかかるのを確かめたらこの車を買うようにしてくれ!」

ウサギさんは言いました。

ウサギ「エンジンの調子をよく見なければそれはなんとも言えません。」





ACT.118 おじいさんの本音 『アリスの大豪邸』 第3部 黄色いワーゲン編 


ウサギさんは車の運転席に座ってエンジンをかけようとしました。
キーをひねりました。




グググググググ……、キュルキュルキュル……、





プスン!





ウサギ「かかりませんが?」

おじいさん「なにやってるんじゃ?!そんなんでかかるかいな!
まったく!!最近の若いモンはエンジンすらかけられんのか?」

ウサギさんは再びキーをひねりました。




ブボボボボボボ!!!




黒煙がもうもうと車の後方に上がりました。





モクモクモクモクモクモクモクモクモクモクモクモク!





しかしエンジンはかかりません。

おじいさん「なにやってるんじゃ?!
あーーーー!若いモンはダメじゃな!そこを退いてみい!」

ウサギさんを退かしておじいさんはヨロヨロとエンジンルームに座り込みました。
おじいさんは杖を運転席に入れました。
そしてアクセルをいっぱいにふんでキーを回しました。




グググググググ……、キュルキュルキュル…………、





プスン!




しかしエンジンはかかりません。
後方からモクモクと黒煙が出たのみでした。





モクモクモクモクモクモクモクモクモクモクモクモクモクモク……、





ドカッ!




おじいさんは杖で運転席を叩きました。

おじいさん「かかれ!コラッ!
かかれよ!
”カモ”が来てるんだよ!
まったく!今かかんなかったら”カモ”を逃しちまうだろ?」

その声はとうぜんアリスやウサギさんにも聞こえました。

アリス「……………………。」

ウサギ「……………………。」





ACT.119 とっくにバレてるのに。 『アリスの大豪邸』 第3部 黄色いワーゲン編 


しかし、おじいさんは「声に出してしまった」ことにまったく気付いていません。
ひたすらエンジンをかけようとしています。





グググググググ……、キュルキュルキュル…………、





プスン!





おじいさん「かかれちゅーーーーーんじゃ!!
1回かかるだけでいいんじゃ!そうすりゃカモどもをだませる!
金さえ受け取っちまえば後はトンズラできるんじゃい!」

アリス「……………………。」

ウサギ「……………………。」

おじいさんはもう自分のことにひっしでした。周りが見えていません。





おじいさん「かかれーーーちゅうんじゃ!」





グググググググ……、キュルキュルキュル…………、





プスン!





おじいさん「かかれーーーーー!ワシのいうことが聞けんのか?!!」






モクモクモクモクモクモクモクモクモクモクモクモクモクモクモクモクモクモクモクモク………、






煙モクモクでおじいさんはむせました。

おじいさん「ゴホッ!ゴホッ!ゴホッ!ゴホッ!ゴホッ!」

おじいさんは自分が「口に出してしゃべっていた」事にまだ気付きませんでした。

おじいさん「ゴホッ!ゴホッ!ゴホッ!ゴホッ!ゴホッ!

あーーーーー、今日はエンジンちゃんは調子が悪いらしい。
昨日”さんぽ”させるのをサボッたからだ。
うちの車は毎日さんぽさせないと機嫌が悪いんじゃよ。
あーーー、毎日さんぽさせれば、エンジンはかかるようになる!
かかるよ~~~!」

ですがアリスとウサギさんは怒っていました。

アリス「……………………。」

ウサギ「……………………。」

おじいさん「まあエンジンは保証しましょう!
お値段は……、そうだな、普通なら”200万ゴールド”といきたいところですが……、
まあ、今日は特別に180万ゴールドにまけときましょう!
買いますかな?」

ウサギ「いいえ、けっこうです!」

ウサギさんはきっぱりそう言いました。
そしてアリスたちはお店を後にしました。

おじいさん「どうしたんじゃ?おい!待てよ、お客さん!
どうしたの?」






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