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テーマ:最近観た映画。(40091)
カテゴリ:劇場で観た映画
1980年代のブルックリンを舞台に、両親の離婚でバラバラになっていく家族、
傷ついていく2人の息子たちを、“悲喜劇”によって描いた舞台劇のような作品です。 原題はそのまま、“The Squid and the Whale”、2005年の作品です。 2005年度のアカデミー賞でオリジナル脚本賞ノミネートされ、ロサンゼルス批評家協会賞、 ナショナル・ボード・オブ・レビュー賞、ニューヨーク批評家協会賞の3賞で脚本賞を受賞しています。 ≪ストーリー≫ 1986年、ブルックリンのバークスローブ。 16歳のウォルトと12歳のフランクの兄弟は両親と4人で暮らしていた。 頑固な父バーナードは、かつて脚光を浴びた作家だったが、長いスランプが続き、 生活のためにニューヨークの大学で講師をしていた。 一方の母ジョーンは、“ニューヨーカー”誌で華々しいデビューを控えた新進作家。 そんなある日、兄弟は両親から離婚することを突然告げられる。 家族はばらばらになり、兄弟は“共同監護”という形で、 父の家と母の家を行ったり来たりする生活が始まる。 父に傾倒しているウォルトは母を責め、母の好きなフランクは父を拒絶する。 生活も心もバラバラになり、やがて、フランクはストレスから学校で奇行を繰り返し、 冷静に受け止めていたように見えたウォルトもまた問題を引き起こしてしまう・・・。 監督・脚本は、今作で製作を務めているウェス・アンダーソンと共同脚本した 「ライフ・アクアティック」で注目を集めたノア・バームバック、 製作は、チャーリー・コーウィン、クララ・マルコヴィッチ、ピーター・ニューマン、 撮影は、アンダーソン監督作品や「ドグマ」「CQ」などのロバート・イェーマン、 プロダクションデザインは、「ロスト・イン・トランスレーション」などのアン・ロス、 衣装デザインは、「ルイーズに訪れた恋は・・・」のエイミー・ウェストコット、 編集はティム・ストリート、音楽は、ブリッタ・フィリップス、ディーン・ウェアハム。 キャストは、父バーナードにジェフ・ダニエルズ、母ジョーンにローラ・リニー、 兄ウォルトにジェス・アイゼンバーグ、弟フランクにオーウェン・クライン、 テニスコーチのアイヴァンにウィリアム・ボールドウィン、 父の教え子リリーにアンナ・パキン、他にケン・レオン、ヘイリー・ファイファーなど。 今作は、両親の離婚やブルックリンで育った時のことなど、バームバック監督自身の 少年時代の体験が投影されているそうです。 “両親”よりも、“兄弟”の視点で描いている点もそれを物語っているかと・・・。 ただし、多用しているのは感情的な部分で、エピソードはほとんど創作だそうです。 こんな家族ってあり?・・・と思わせつつも、悲しみとユーモアが融合した中に シビアなリアリティさに溢れている作品と感じながら観ていました。 誰もが10代の頃に経験した想い、“大人は判ってくれない”という痛み、 “親”になるのが下手な大人、微妙な年頃の息子たちに動揺を与えてしまう残酷さ、 どう見ても家族の崩壊という“悲劇”の展開に、シニカルな笑いが織り交ぜられています。 ハッピーエンド・・・という形になるかどうかはここでは明記しませんが、 最後の方のシーンで、ちょっとホロッと涙させられるところも良かったです。 ちなみにバームバック監督の奥さまは、「初体験/リッジモンド・ハイ」「バックドラフト」 「ルームメイト」「未来は今」などのジェニファー・ジェイソン・リーです。 ジェニファーは、TVドラマ「コンバット」などのビッグ・モロー氏の娘さんです。 両親に扮したベテランのジェフ・ダニエルズとローラ・リニーは言うまでもありませんが、 息子役のジェス・アイゼンバーグとオーウェン・クラインがそれぞれ独特の持ち味があって、 難しい役どころを演じきっていたことが、今作の評価の高さでもあるかと・・・。 (オーウェンくんは、ケヴィン・クライン&フィーヴィー・ケイツ夫妻の息子さんです。) 両親が作家という設定から、ディケンズ、カフカ、メイラー、レナードなどの作家、 また、「ショート・サーキット」「ブルーベルベット」「ロビンフッドの冒険」などの映画、 他にも、コナーズ、マッケンローなどのテニス選手、ピンク・フロイドの“Hey You”と いろんなものが会話やストーリーの中でキーワードとなって使われています。 ところで、タイトルにもなっている“イカとクジラ”はどんな意味を持っているのかと、 当然、気になるところですが、これは観てのお楽しみということに・・・。 「イカとクジラ」 オフィシャルサイト お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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