2007/01/26(金)23:37
∀ビールに抗がん物質
ビールに抗がん物質が含まれているという記事がAFP通信から報道された。
さて、これだけ聞いて、どう思うだろうか?
まさか、よし健康のためにビールを飲もう、とか思っていないだろうか。
ホップから発見された「キサントフモール」という物質に抗がん作用があるとのコトだが、ちょっと待っていただきたい。
抗がん作用って、読んでいるモノを馬鹿にした言葉だ。
抗がん物質、なんて書き方をすれば、全ての癌に効きそうに思える。
しかし、抗がん物質は、基本的に、一部の決まった癌にしか効かない。
つまり、Aという抗がん物質は、A'という癌にしか効果を及ぼさないコトがほとんど。
更に、原発という問題がある。
原発とは、がん細胞が、どこの組織が癌化したモノか、という意味。
癌は転移する。
胃で発生した癌が、肺に転移したら、胃原発の肺癌となる。
胃原発の肺癌には、胃癌に効く抗がん物質も肺癌に効く抗がん物質も、効かない場合がある。
つまり、肺癌によく効く抗がん物質があって安心していても、胃原発肺癌には、効かない可能性もある。
後は、投与方法の問題がある。
抗がん物質といっても、飲めばいいというモノではない。
経口、静脈注射、筋肉注射など、適切な投与をする必要がある。
最後に、投与量が、どのくらい必要か。
基本的には、ある血中濃度が一定時間続かないと効果がない。
抗がん物質があるからといって、一滴塗って効果があるワケではない。
では、「キサントフモール」は、どうだろうか。
記事を読むと、前立腺がんに効果があるように書いてある。
前立腺がん自体が、高齢の男性に多い癌なので、効果範囲が狭い。
どこ原発のナニ癌に効くのか、投与は経口でいいのか、書いてない。
投与量もかなり多そうだ。
また、本当に抗がん作用があるのか、疑問だ。
キサントフモールにNGF作用があるという報告がある。
NGFとは、神経成長因子という意味で、神経細胞を成長させる成分だ。
つまり、細胞を増やす効果がある。
通常、細胞を増やすのは、抗がんの真逆の効果だ。
もちろん、神経細胞が成長した作用で抗がんもあるだろうが・・・
まあ、とにかく、健康のためにビールを飲む、なんて「健康のために死んでもいい」みたいな不健全な考えをせずに、ビールは楽しんで飲んだ方が、絶対に楽しいと思う。
健康のために、ではなく、楽しむためのビールに乾杯!