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Nov 26, 2005
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カテゴリ:教育

「まったく君が羨ましい。僕も出来るなら出て行きたいよ。───でも無理だ。
 僕はナチの委員会でみんなの話を聞いているうちに怖くなった───でも僕も現にその一員なんだ。
 中には気違いもいて、ユダヤ人を皆殺しにしようとか、戦争をやろうとか、
 反対意見の奴や総統(ヒトラー)の言葉を信じない奴はぶち込むか殺すかしよう、と言っている。
 正気の沙汰じゃない。僕は恐ろしいんだ。

 君は一年前、ナチスは本気でそういうことを言っているんだ、と言ってくれた。
 でも僕は、大袈裟な宣伝文句で、本気であんな事を言っているんじゃないと思っている。
 20世紀なんだからね。
(中略)
 君は要するにわかっていないんだ、ドラッカー。
 僕は頭がよくない、それは分かっている。
 僕は君やアルネやベッカーよりも長く勤めている。君たち三人は幹部編集者になった。
 それなのに、僕は駆け出しの頃と相変わらず市役所回りだ。
 僕は文章が上手くない。それも分かっている。
(中略)
 いいかね、ドラッカー。僕は権力が欲しいんだ、金が欲しいんだ、一人前の人間になりたいんだ。
 だからこそ僕はナチスに入党したんだ。

 ぼくは『優れた人間になれるんだ』!

 頭のいい、育ちのいい、コネのある連中は選り好みをしすぎるし、融通が利かないし、汚い仕事をやろうとしない。
 今こそ僕という男が認められるチャンスなんだ。覚えてろ、今にきっと僕の評判を耳にするだろう。」

…P・F・ドラッカー『傍観者の時代』
 ユダヤ人虐殺、ドイツ人粛清の指揮をとり、仲間からも『怪物』と呼ばれていた、
 ナチス親衛隊(SS)副隊長、ラインホルト・ヘンシュとの会話





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最終更新日  Nov 26, 2005 10:23:43 AM
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