|
カテゴリ:教育
「まったく君が羨ましい。僕も出来るなら出て行きたいよ。───でも無理だ。 僕はナチの委員会でみんなの話を聞いているうちに怖くなった───でも僕も現にその一員なんだ。 中には気違いもいて、ユダヤ人を皆殺しにしようとか、戦争をやろうとか、 反対意見の奴や総統(ヒトラー)の言葉を信じない奴はぶち込むか殺すかしよう、と言っている。 正気の沙汰じゃない。僕は恐ろしいんだ。 君は一年前、ナチスは本気でそういうことを言っているんだ、と言ってくれた。 でも僕は、大袈裟な宣伝文句で、本気であんな事を言っているんじゃないと思っている。 20世紀なんだからね。 (中略) 君は要するにわかっていないんだ、ドラッカー。 僕は頭がよくない、それは分かっている。 僕は君やアルネやベッカーよりも長く勤めている。君たち三人は幹部編集者になった。 それなのに、僕は駆け出しの頃と相変わらず市役所回りだ。 僕は文章が上手くない。それも分かっている。 (中略) いいかね、ドラッカー。僕は権力が欲しいんだ、金が欲しいんだ、一人前の人間になりたいんだ。 だからこそ僕はナチスに入党したんだ。 ぼくは『優れた人間になれるんだ』! 頭のいい、育ちのいい、コネのある連中は選り好みをしすぎるし、融通が利かないし、汚い仕事をやろうとしない。 今こそ僕という男が認められるチャンスなんだ。覚えてろ、今にきっと僕の評判を耳にするだろう。」 …P・F・ドラッカー『傍観者の時代』 ユダヤ人虐殺、ドイツ人粛清の指揮をとり、仲間からも『怪物』と呼ばれていた、 ナチス親衛隊(SS)副隊長、ラインホルト・ヘンシュとの会話 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
Nov 26, 2005 10:23:43 AM
コメント(0) | コメントを書く
[教育] カテゴリの最新記事
|