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カテゴリ:仕事
フライト中、特に日本着の深夜便では、急病人がよく発生する。
大抵は、旅の疲れや、機内で召し上がったお酒に酔って (機内では地上の三倍の速さでアルコールが回ります) そりゃもうばたばた倒れる。 客室乗務員が、何をするでもなく機内を歩いてるのは、具合の悪いお客さまがいないか、チェックしている為もあるの。 座席で寝てると思ったら、意識を失ってる、なんて事もある。 アンナも、しょっちゅう貧血やら何やらで看病した事はあるが、一番ひどかったのが、新人の頃、ハワイからの帰り便。 食事も終わり、映画が始まる頃 (この時間帯に、乗務員は交替で食事を戴きます) 「きゃーーーー!!!」と女性の叫び声。 急いで駆け付けると、 真っ暗な機内でも分かるくらい顔色が土色の50代位の男性が横たわってい た。 「この人、息してないんです。。」とお連れ様らしき女性がへなへなとしゃがみ込む。 ( ̄□ ̄;)!! ど、どうしよう。。。 アンナは当時、入社数か月のひよっこスッチーで、もちろん息してない人なんて生まれて初めて見る。 足ががくがく震えた。でも、人を呼びに行くより、一秒でも早く心肺蘇生法を施さないと、この人死んじゃう!! と、震える手で、意識、呼吸や脈拍を確認した。 「お客さま!」と頬をパチパチ叩くと、 「うわっっっ!」これが人の皮膚と思えない位、冷たい。 ・・・・死んでるの??? 余計に、膝が震えて立っているのがやっとだった。 脈拍ももちろん無い。連れの女性が、不安で泣きだした。 アンナがしっかりしなきゃ! 救急救命の訓練だってちゃんと受けたじゃん! アンナ「あの、既往症の有無は?」 女性「狭心症で…」 アンナ「ニトログリセリンはっ?」 女性「えっ、私分かりません。。。」 そんなやり取りをしていると、チーフパーサーが通りかかり、 「気道確保!人工呼吸、心臓マッサージよ!」 その瞬間、お客さまの顔が一瞬動いた。 「おきゃくさまぁぁぁぁ!!!だいじょうぶですかぁぁぁぁ!」と頬を(軽く叩くつもりが )強打。 ブルドッグみたいな頬が、ぶるるんっと震えて、意識が戻った。 「お客さま…うわーん!!」 プロとしてあるまじき姿だが、安心して腰が抜けたようにへたり 込み、声を上げて泣いた。 チーフもめちゃくちゃいい人で、 「よくやった!」と手を取り合って喜んだ。 回復したとは言え、一度心臓が止まってるし、今後のケ アも必要だし、会社に報告する為の書類を作成する事になった。 「お客さま、意識が戻られて良かったです。念のため、お名前や住所をお聞かせ願えますか?」と言うと 「あん? 何でそんなことアンタに言わなきゃいけねーんだよ!家に連 絡なんかすんなよ!」 と頑なに拒否。 何で??と思ったけど、ピンときた。 旅客名簿を確認すると …やっぱりね。 連れの女性と名字が違う。 不倫旅行で倒れたなんて奥さんに知れたらやばいもんねー( ̄~ ̄) はしゃぎすぎで、ちょっと罰が当たったんじゃない?とちょっと意地悪なアンナでした。 でも良かった、死ななくて。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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