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2012年01月20日
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カテゴリ:政治問題
 衆院議員の河野太郎氏は、カタログハウス刊「通販生活」2011年秋冬号で作家の落合恵子氏と対談し、わが国の原子力行政が如何にデタラメと無理を積み重ねて今日に至っているか、詳しく説明している;


落合 私自身忘れていたのですが、読者の方から「落合さんは25年前のチェルノブイリ原発事故のときに、こういう発言をしていました」と、当時何かの集まりに私が送ったメッセージをファクスしていただきました。そこには「知ろうとしなかった自分と、知らせようとしなかった国と、どれもを自分の責任として引き寄せて、もう一度、ここから私たちは再びスタートしなければいけない」というようなことが書いてあった。その文と再会してとても考えてしまいました。当時からずっと「脱原発」を考えてはきたのですが、思考があっちへ行ったり、こっちへ行ったりして、意識がやはり薄くなっていたんです。
 今日は河野さんに原発のこと、特に「核燃料サイクル」や「核のごみ」のことを中心にお聞きしたいと思いますが、そもそも原発に立ち止まられたのは、どんなことがきっかけだったのですか。

河野 私が初めて衆議院議員に当選したのは1996年ですが、新人議員として国会内で活動するうちに河川とか道路とか、既得権益に群がる永田町の「ムラ社会」とぶつかったんです。そのなかに「原子カムラ」もあった。事なかれ主義やナアナアの世界に対して憤りまして、「徹底的に喧嘩するぞ」となった。本来は温厚だったのが喧嘩っ早くなりましたね (笑)。

落合 この対談を前に、河野さんのこれまでの発言をいくつか拝見したのですが、雑誌『論座』の2000年11月号で、まさに今日を予測するような問いかけをされていますね。「とにかく(原発の是非に関する)議論をテーブルの上にあげなければいけない」「このままいけば(中略)大惨事が起きたり、生活を直撃するようなほころびが出て『もうダメだ』ということになるまで変わらないかもしれない。そのとき、10年前になんで別の選択をしなかったのか、なぜこんなばかな道を選んだのか、ということが問われる」と。不幸なことですが的中しています。

◆30年前から一向に実用化されない核燃料サイクル。

河野 私が原発について本格的に「おかしいぞ」と思ったのは、97年12月に開かれた「地球温暖化防止京都会議(COP3)」のときでした。当時、環境やエネルギー問題に興味を持っている若い人を集めて「太郎塾」というものを立ち上げて、日本のエネルギー政策について議論したんです。あのころ日本政府は「国策として原発を20基増やします」と言っていたのですが、みんなで議論していくと、原発の根幹とも言える「核燃料サイクル」(下図参照)の論理がメチャクチャだということに気づいた。それで、自民党内で「核燃料サイクルは辻棲が合っていない」と言ったら、「あいつは共産党か」と言われました (笑)。

落合 日本の核燃料サイクルが破綻していることについては、これまでも指摘されてきましたが、どうメチャクチャなのか改めてご説明いただけますか。

河野 落合さんや通販生活の読者の方はよくご存じでしょうが、簡単に言うとこうなります。原発で電気を作るためにはウランを加工したウラン燃料を燃やすわけですが、その祭に「使用済み核燃料」と呼ばれる「核のごみ」が出ます。薪をストーブで燃やしたときの灰のようなものですが、もちろん危険な放射性物質です。その核のごみをどうするのか、最終的な処分方法が決まっていないんです。私がこれまで言ってきたのは、原発が危険か安全かという話ではありません。核のごみの最終処分方法も決まっていないのだから、まずは原発を止めるのが筋だということです。

落合 そう話しても通じない?

河野 はい。「使用済み核燃料の再処理」や「高速増殖炉」などの話を持ち出して、「核のごみは処理できる」と反論される。使用済み核燃料を再処理という化学処理をするとプルトニウムが取り出せます。それ以外の残ったものは「高レベル放射性廃棄物」という、もう利用価値のまったくない最後のどん詰まりの核のごみです。この高レベル放射性廃棄物から分離されたプルトニウムとウランを高速増殖炉という特殊な原子炉で燃やすと、発電をしながら、投入した以上のプルトニウムが取り出せる、とされている。つまり、プルトニウムがより多くのプルトニウムを生んで、それがまた高速増殖炉の燃料になる - これが30年以上前に日本が考えた核燃料サイクルです。

落合 それが実現すれば、推進派からするなら、まさに夢のような話でしょうが、現実は……。

河野 30年たった今も高速増殖炉は実用化にはほど遠い状況です。1967年の長期計画では、高速増殖炉は「80年代後半にできる」と言っていました。ところが長期計画を更新するたびに高速増殖炉の実用化もどんどん先送りされた。いま政府は、2050年よりも前に高速増殖炉が商業利用されることはないと言っています。福井県の敦賀市にある高速増殖炉「もんじゅ」は95年に事故を起こしましたが、去年8月にも炉内中継装置が落下する事故が起きた。もう原子炉の試運転はできないと思います。

落合 最近になってようやく、政府内からも「もんじゅ」の先行きを否定的に捉える声が聞こえてくるようになりましたね。

河野 本来なら、「もんじゅ」が本当に稼動できるかどうか分かるまでは、使用済み核燃料を再処理してプルトニウムを取り出すことをやめないといけない。ところが、フランスやイギリスにお願いして再処理をしてもらったり、国内で再処理をしたりして、これまでに31トン以上の核分裂性プルトニウムを取り出してきた。

落合 プルトニウムは、それ自体が非常に放射性毒性が強い物質であることもそうですが、核兵器に転用もできます。二重の意味で危険な物質ですよね。

河野 そうです。北朝鮮は50キログラムのプルトニウムを所持しているだけで国際社会から問題視されて、大騒ぎになりましたよね。日本は北朝鮮の千倍近いプルトニウムを持っているのです。いまヨーロッパには、再処理して取り出した日本のプルトニウムがたくさんあります。すでにあるプルトニウムの使い道も定かではないのに、さらに青森県六ヶ所村にある再処理工場を動かそうとしているんです。「もんじゅ」が動かないと大量のプルトニウムが処理できない、だから六ヶ所村の再処理工場を停める、それがまともな考え方でしょう。それなのに現実は、「六ヶ所再処理工場からプルトニウムが出てくるから『もんじゅ』を動かさなきやいけない」という考え方のもと日本の原子力政策は突き進んできた。誰が見てもおかしいですよね。

落合 プルトニウムとウランを混ぜた「MOX燃料」を作って原子力発電所で燃やす「プルサーマル」という発電方法がありますが、これも危険なうえに、推進してきた人たちの思いどおりには全く進んでいない。

河野 本来なら高速増殖炉で燃やすはずのプルトニウムが、先に言いました事情でどんどん溜まっていってしまうので、苦肉の策として考え出されたのがプルサーマル発電です。プルサーマル発電は、使用済み核燃料を再処理して取り出したプルトニウムを使うことから、電力会社や経産省は「ウラン資源の再利用」と宣伝しています。でも、ウラン9に対してプルトニウムは1の割合で混ぜられるだけで、プルサーマル発電をしてもプルトニウムはほとんど減らない。それなのに、MOX燃料を作る工場のために何兆円もかけている。そんなおカネがあるなら、いっそのことウラン鉱山を買ったほうが安上がりです。

落合 高速増殖炉は動かない、プルトニウムはどんどん溜まる、プルサーマル発電も期待できないと、ないない尽くしですが、いま真っ先にすべきことは何だとお考えですか。

河野 使用済み核燃料の再処理を止めて、しばらくの間はそのまま持っている「中間貯蔵」しかないでしょう。

落合 でも、現在すでに日本全国の54基の原発の建屋内の冷却用プールには、大量の使用済み核燃料が浸かったままになっていますよね。使用済み核燃料は、原子炉から取り出したあとも放射線や熱を発しているので冷やし続ける必要があるからですが、貯蔵軍がもう限界にきている。もう今の段階で、行き場のない使用済み核燃料が全国の原発に保管され続けているわけですよね。

河野 だから、最終的には使用済み核燃料を地下深くに埋める「地層処分」しかないと思いますが、それでも問題は山積みです。六ヶ所の再処理工場の中には高レベル放射性廃棄物貯蔵管理センターがあるんですね。そこの担当者は「ここで中間貯蔵しています」と言うから、「いつまで?」と聞くと「2045年です」と言う。「やけにハッキリ数字が出るね」と聞いたら、「青森県との間で2045年に運び出す約束になっていますから」と言う。運び出してどこに持って行くのか聞くと「地層処分の施設に入れます」と。「そんな施設はできていないじゃないか」と言ったら、「そこは頑張ります」と(笑)。

落合 何の根拠もなくて、「頑張ります」なんですね。

河野 根拠なんて全くないです。2038年から地層処分をするというのが従来の自民党政権、そして現在の民主党政権の方針ですが、通産省、経産省の歴代課長さんを呼んで「どうなってるの? 予定より遅れてるよね?」と開くと、やっぱり「何とか頑張ります」という答え(笑)。高知県東洋町では放射性廃棄物を受け入れようとした町長が、リコールされそうになり辞職。出直し選挙で落選しました。結局核のごみの引き受け手がどこにもないんです。
<後、省略>


<核燃料サイクル図>

◆核燃料サイクルとは?
核燃料サイクルは大きく分けて二つの構造になっている。使用済み核燃料を再処理してプルトニウムを取り出し、それをウランと混ぜて「混合酸化物燃料(MOX脚斗)」に加工し、既存の原発(軽水炉)で発電する「軽水炉サイクル」(左側)と、高速増殖炉で発電する「高速増殖炉サイクル」(右側)。


カタログハウス刊「通販生活」2011年秋冬号 66ページ「落合恵子の深呼吸対談 第12回 連続原発講座 その1」から引用

 高速増殖炉が動きもしないのに、その増殖炉で使うプルトニウムを大金をつぎ込んで抽出しているというのは、愚かの一語である。国民の税金の無駄遣いである。その増殖炉がうまくいかないからと考え出したプルサーマルというのも、それが動いたからと言ってプルトニウムが消耗するわけでもなく、大金をつぎ込んで抽出した猛毒のプルトニウムも何の役にも立たないまま、ただ経費をかけて保管するしかない。こういう馬鹿げた事態になってしまったのも、小出先生のような方々の発言に耳を貸さないできたからである。自民党の責任は重い。






最終更新日  2012年01月20日 23時01分44秒
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