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2016/04/11(月)20:35

『温暖化は疑問』は処罰対象?(11日の日記)

社会問題(296)

 アメリカにはマフィアのような組織犯罪を取り締まる法律があって、これが実際のマフィアだけではなく、有害情報を正しく伝えないで利益を上げたたばこ会社にも適用されたことがあるそうで、これが今度は、地球温暖化はCO2のせいではないと主張する石油関係企業にも適用するべきだという声が出ていると、ジャーナリストの木村太郎氏が、3月20日の東京新聞コラムに書いている; ■学者20人連署で書簡  「地球は温暖化してはいない」と言うと罰せられることになるかもしれない。  と言っても米国の話だが、ロレッタ・リンチ米司法長官は9日、上院司法委員会で気候変動を否定するものを処罰することを考えていると次のように証言した。  「我々はこの問題(気候変動を否定すること)について議論を尽くし情報も収集してきました。そこで、米連邦捜査局(FBI)に対しこの問題が訴追の対象となりうるかどうか検討を命じました」  実は、昨年9月、米国で気候変動の危機を訴えている学者20人が、連名でオバマ大統領に書簡を送り次のように訴えていた。  「(石油、石炭などの)化石燃料業界と、その支持者たちは書籍や新聞記事を通じて(気候変動などないと宣伝する)不正行為を行っています。これを今直ちに差し止めないと、米国や世界は地球の気候を安定させる機会を逸し取り返しのつかない悪影響を残すことになります」 ■RICO法適用求め  学者たちは化石燃料業界の行為は、喫煙の危険を隠していたたばこ業界と同じだとして、たばこ業界を追及した「威力脅迫および腐敗組織に関する連邦法(RICO法)」を化石燃料産業にも適用すべぎだと訴えていた。  RICO法は、もともとマフィアなどの組織犯罪取り締まりを目的に制定されたが、米司法省はこの法律を根拠に大手たばこ各社を訴え、2006年ワシントン連邦地裁はたばこ業界が喫煙の有害性を十分理解できないよう申し合わせて消費者を欺き収益を上げてきたと断じ「低タール」「ライト(軽い)」などという表現も禁ずる判決を下した。  学者たちは、化石燃料業界と気候変動を否定するものたちもマフィアのような犯罪組織だと処罰を求めたわけだが、RICO法では有罪になると最高20年の禁錮刑または25万ドル(約2800万円)の罰金が科せられる。 ■共和党候補は否定的  これに対して気候変動に疑問を呈してきた人たちの間からは当然反発が起きているし、言論の自由の原則からも反対論を封じ込めるのはおかしいという議論もあり、現実にRICO法が適用されるまでには曲折がありそうだ。  それはともかくとして、この間題が米大統領選の候補者選びの最中に取り上げられたのは、意図的だったかどうかは別にしても興味深い。民主党のクリントン、サンダース両候補は地球温暖化に危機感を表明している一方、共和党の候補はおおむね否定的で特にトランプ候補に至ってはツイッターでこうつぶやいて話題になっている。  「地球温暖化という考えは、中国が米国の製造業の競争力をそぐために発明したものだ」  トランプ大統領が誕生したら、逆に気候変動説が糾弾されることになるのかもしれない。  (木村太郎、ジャーナリスト)2016・3・20 2016年3月20日 東京新聞朝刊 11版S 5ページ「『温暖化は疑問』は処罰対象?」から引用  この記事もなかなか考えさせられる点が多い。アメリカのたばこの箱には有害性を警告する厳しい表現が使われているのに比べて、日本のたばこはかなりソフトな表現になっているので、さすがアメリカは進んでいるなあと思ったものでしたが、実はアメリカのたばこ会社も裁判で負けるまでは、なるべく有害性には触れないでいこうとしていたとは意外です。大統領候補のトランプ氏がいう「地球温暖化は中国の発明」というのは、まったくのウソで、温暖化二酸化炭素説は欧米の気象学者が言い出したことであって、京都議定書が策定された当時は、中国は発展途上国の立場からCO2削減に協力はできないと主張していたものでした。そういう国際情勢に対する確かな認識も無いような人物が大統領になって、果たして国としてやっていけるのかどうか、アメリカの皆さんにはよく考えてほしいものです。

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