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2018年03月20日
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テーマ:ニュース(99452)
カテゴリ:ニュース
 森友関係の公文書が改ざんされたのは理財局長の答弁に合わせる目的だったのか、それとも安倍首相を守るためだったのかという問題について、同志社大学教授の浜矩子氏は、17日の毎日新聞に次のように書いている;


 14と300。この二つの数字が、しっかり頭に刻み込まれてしまった。14件の文書に関して、計300ヵ所ほどの削除・書き換えがみられた。学校法人「森友学園」関連決裁文書の改ざん問題である。全く何ということか。「とんでもない」という言葉を何乗すれば、今、我々の目の当たりで繰り広げられているこの醜態劇のふらちさを表現し尽くすことができるか。

 役所が記録文書を改ざんする。このこと自体のとんでもなさは言うに及ばない。だが、それもさりながら、問題は、このとんでもない行為が何のために、そして誰のために行われたのかということだ。

 勘定奉行が口走ったことと、実際の経緯とのつじつま合わせのために、実際の経緯に関する記述を書き換えたのか。それとも、殿様とその奥方を守るためなのか。「余も奥も関係なし」。殿はそう言う。だが、越後屋は、奥方からお言葉を頂戴したと言っている。疑念は深まる。関連問題として、勘定奉行の直属の上司である御家老様が、どこまで、この有り様について責任を取るべきなのかというテーマもある。

 とんでもない劇場が次々と繰り出すとんでもない場面を眺めていたら、またしてもあの記憶がよみがえってきた。

 何か「またしても」なのか。「あの記憶」とは、どの記憶なのか。それは、このような政治絡みの珍事や変事が発生した時、ほぼ間違いなく必ず、思い出すテレビ番組があるからだ。本欄でも、拙著のいくつかの中でも、言及したことがある。その番組とは、1980年代の英国で、一世を風靡(ふうび)したBBCテレビのコメディー・シリーズ「イエス・ミニスター」(かしこまりました、大臣)と、その続編「イエスープライムミニスター」(かしこまりました、首相)である。政治家と役人の虚々実々の攻防と、奇妙な互助関係。それが実に見事に活写され、辛辣にやゆされている。抱腹絶倒の中で、視聴者は政官腐れ縁の構図をこれでもかというほどしっかり理解することができてしまう。

 「かしこまりました、首相」の方に、「国家機密」というエピソードがある。首相殿が、前任者の回顧録出版を阻止しようとする。その中に、自分が一閣僚たった時の失態の数々が詳述されているからだ。問題の回顧録草稿について、閣内検討会が開かれる。その場で、首相は出版断固阻止の意向を表明する。

 ほどなく、この検討会の模様をタブロイド紙がすっぱ抜く。どうも、リーグがあったらしい。慌てた首相は、タブロイド紙の編集長をランチに招待する。そして、自分は出版阻止など求めていない、だから暴露記事は撤回してよとお願いする。編集長は、それなら、例の検討会の議事録をみせろという。驚くべきことに、首相は「いいよ」と言ってしまう。

 ここでがくぜんとしたのが、首相秘書官だ。彼は、この議事録を書かなければいけない。彼は、首相が出版阻止を叫んだことを知っている。だが、編集長に対して、首相は「言ってない」と明言してしまった。さあ、どうしよう。

 悩める秘書官は、ただちに内閣官房長官の元に駆け込む。そして、苦しい胸の内を吐露する。話を聞いた官房長官は、顔色一つ変えない。さっさと議事録を書け。首相の意向に沿うように取りまとめればいい。まだ書いてないなら大いに結構。書き換える手間が省けるというわけだ。

 若き秘書官は、そんなの良心の呵責(かしゃく)に耐えられないという。すると、官房長官は激怒する。役人は、良心の呵責などというぜいたく品に手を出してはいけない。お前がその場で何を聞いて何をどう覚えているかなど、どうでもいい。議事録に記録されていないことは、誰が何をどう記憶していようといまいと、起こらなかったことである。

 官房長官いわく、議事録は、起こった出来事を記録するために作成するものではない。議事録は、人々を守るために作成される。首相が変なことを口走ったら、その発言はメモしない。首相の公式発言と矛盾する口走りが出た場合には、特にしかりだ。秘書官は首相の家来だから、それが当然の対応だ。会議時の人々の発言は材料だ。その材料を使い、殿様のお気に召す料理を作るのがあんたの仕事だ。

 官房長官さらにいわく、良心とどう付き合うかは政治家の問題だ。役人は職員だ。職員は、民主主義的に選出された政治家の指示に従う。国民の代表者たちが命じた通りにすることの、どこに問題があるの?

 日本と異なって、英国の内閣官房長官はお役人である。最も位の高いお役人だ。この頂点に達するため、政治家との攻防のありとあらゆる場面をくぐり抜けてきている。議事録の改ざんくらいの話で、決してうろたえはしない。

 「かしこまりました、首相」はあくまでもフィクションだ。だが、そのリアルさにいつも息をのむ。ただ、フィクションと現実には、一つの大きな違いがある。いかに辛辣でも、風刺コメディーの中で、人は自殺しない。だが、現実にはそれが起こる。それが現実の怖さだ。

はま・のりこ 同志社大教授。


2018年3月17日 毎日新聞朝刊 13版 9ページ「浜矩子の危機の真相-『森友』と重なる英BBCコメディー」から引用

 浜矩子先生が紹介するBBCのコメディーは、まるで今日の日本政治をそのまま複写したようなストーリーで、この記事に登場する「官房長官」の考えはそのまま安倍首相や菅官房長官が日頃周りの官僚に言っていることなのではないか、という気がします。こういうコメディが堂々とテレビで放送されるということは、イギリスの社会はこういう政治のスキャンダルを克服した経験があるということではないだろうかと思います。彼らはどのように「困難」を克服したのか、そっちのほうも紹介してほしいものです。





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最終更新日  2018年03月20日 20時24分31秒


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