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2019/10/25(金)01:00

「慰安婦」の過酷な一生を描いた漫画-日本語化進む(25日の日記)

ニュース(3782)

日本軍「慰安婦」だった韓国人女性の一生を描いた韓国の漫画がフランスの新聞社が主催する「ユマニテ漫画賞」の審査委員特別賞を受賞し、日本語化が進められていることを、9月28日の「しんぶん赤旗」が次のように報道している;  日本軍「慰安婦」だった、ある韓国人おばあさんの一生を描いた漫画『草(プル)』。今月14日、フランスの第1回ユマニテ漫画賞審査委員特別賞に選ばれました。フランス語、英語、イタリア語などで翻訳されていて、現在、白本語版の作業がすすめられています。 (都光子) ◆仏では高い評価  韓国漫画『草』は、韓国の「ナヌムの家」(※1)に暮らす李玉善(イ・オクソン)ハルモニ(おばあさん)の一生を描いています。作者である金錦淑(キム・ジェンドリ・グムスク)さん自身が登場し、「慰安婦」になった経緯やそこでの扱い、戦後どう生き延びてきたのかをインタビュー。ときには、ハルモニがいたという中国の慰安所を探しにいき、過酷な旅を追体験します。  2017年、450ページを超す大作となって出版。作者本人によるフランス語版を出したところ、すぐに英語版も出版されました。  フランスのユマニテ漫画賞は、日刊紙「ユマニテ」が、人間の人生と人権を扱った作品を選定する賞として今年初めてつくったもの。その審査委員特別賞に『草』が選ばれました。さらにフランス漫画批評家協会が選定する2019アジア漫画賞の最終候補にも、ノミネートされています。 ◆体と心に深い傷  『草』の日本語訳に取り組んでいる広島県福山市の都築寿美枝さんは「私の知りあいの作家が、私の知っているハルモニを描いていて、運命を感じた」と喜びます。現在、韓国の大学院に在学中です。  中学教員として、1990年代から「従軍慰安婦」の証言を教材に、平和教育、性教育にとりくんできました。「この問題は男性の問題でもある、と授業で言ってきました。軍国主義は兵士たちの性までをも管理し、人間性が奪われていったと話すと、男子生徒も真剣に聞いてくれました」  初めて韓国で証言を聞いたときのことを今でも思い出します。「『日本軍の関与? 軍そのものがやったことよ』と語気を強めて話されたんです」  「慰安婦」たちを招いての証言集会が日本各地で開かれたときには、同行支援することも。証言をしていると、PTSD(心的外傷後ストレス障害)で体調を崩す人もいました。「一緒にお風呂に入った時に、おなかに大きな傷があって、『日本軍にやられた』と教えてくれました。心と体に本当に大きな傷を負っているんだと改めて感じました」  関釜裁判を支援する福山連絡会の代表にもなりました。釜山市などの元日本軍「慰安婦」と元女子勤労挺身(ていしん)隊が山口地裁下関支部に、日本の公式謝罪と賠償を求めた裁判です。 ◆二分論ではなく  もっと韓国語を学びたい、と語学留学をしているなかで出会ったのが『草』の作者キム・ジェンドリ・グムスクさんでした。「彼女が作品の中で韓国社会における女性の地位をめぐって葛藤します。ジェンダー問題・人権問題にも及ぶ内容で、絵も引き寄せられる。漫画だからきっと日本の若い人も読んでくれるはず」と日本語訳を始めました。  昨年、アクティブミュージアム女たちの戦争と平和資料館名誉館長の池田恵理子さん、日本軍「慰安婦」問題解決ひろしまネットワーク事務局長の岡原美知子さんとともに『草』日本語出版委員会を発足。東京で大学非常勤講師をするり・リョンギョンさんに訳の監修を頼みました。出版社は「ころから」。  現在、クラウトファンディング(ネットを通して資金を募る)中(※2)。第1次目標は達成しました。発行は来年1月末の予定です。  「『はだしのゲン』が世界中で読まれています。韓国には広島で被爆した人たちが多く住んでいる侠川(ハプヂョン)という町があります。そこで被爆者を支援している若者に聞くと、『はだしのゲン』を読んだのがきっかけだというのです。『草』が世界中の言葉に訳され、読んでもらいたい。被害者、加害者という二分論ではなく、戦争がいかに一般市民を傷つけ、ふみにじるのか、知ってほしい」  ※1ナヌムの家 日本軍「慰安婦」だった女性たちが共同生活を送る施設  ※2クラウドファンディング「世界で読まれている『慰安婦』漫画『草』を翻訳刊行したい!」 https://readyfor.jp/profects/publishinginjapan 2019年9月28日 「しんぶん赤旗」 10ページ 「『慰安婦』の過酷な一生」から引用  かつて日本軍が戦場に慰安所を設置して運営したという「史実」は、今さら否定はできず弁解しても何の利益もありません。私たちは「史実」に謙虚に向かいあい、豊かな未来を構築するための糧とするべきであり、「慰安婦」の悲劇を二度と繰り返さないために、韓国をはじめ、世界の人々と共通の認識を得る必要があます。日本語化された漫画「草」は、そのために大いに役に立つことと思います。

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