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2020年01月13日
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テーマ:ニュース(99433)
カテゴリ:ニュース
現代の日本人なら誰しも重大な問題であることを認識しながら、誰も口に出して議論しようとはしないのが皇位継承の問題である。毎日新聞記者の伊藤智永氏は、4日の同紙に次のように書いている;


 令和元年は祝賀ムードのうちに過ぎ、天皇代替わりは一段落した感が漂うが、上皇陛下が退位の決意と併せて投げかけられた宿題は手つかずで残されたままだ。国民がこの先も皇室を存続させるつもりなら、今の皇位継承のしくみでは難しいですよ、という問いかけである。

 即位を祝う万歳に手を振りつつ、皇室の女性たちには哀切の影が差す。皇后雅子さまの涙、上皇后美智子さまの吐血、眞子さまの結婚延期……。

 皇嗣の秋篠宮さまを経て、遠からず皇室の血統を一人で継いでいかざるを得ない悠仁さまと、そんな皇室でも結婚するという女性は、よほど非凡な勇気の持ち主でなければなるまい。

 仮に現れても、「男を産め」「もっと産め」という心理的圧迫を受け続ける人生は、男の身でも想像するだに苦しい。

 もう跡継ぎはいないとなった頃には、愛子さまも眞子さまも佳子さまも皇室を離れているだろう。皇室が絶える日はかなりの確率でやってくる。

    *   *

 明治維新(1868年)から敗戦(1945年)まで77年。戦後は今年で75年。象徴天皇は既に相応の年輪を刻んだ。

 象徴とは何か。私たちは考えもしなかったが、上皇さまは皇太子の時から一人思い巡らし、平成の30年間、弱い人や傷ついた人(戦争死者を含む)に寄り添う「旅」を上皇后さまと続け、身をもって示してきた。

 事実上の退位表明だった「象徴としてのお務めについてのおことば」(2016年)でそれを「象徴的行為」と呼んだ時、私たちは、平成の天皇は象徴がなすことを創造し、国民の敬愛を重ねて一つの「型」を打ち立てたのだと気づかされた。

 生前退位は天皇の意志と働きかけで実現した。政治性を警戒する意見もあったが、この度の譲位に示された国際社会と国民の理解と祝意は、象徴天皇制の成熟と評価すべきだろう。

 世界中で強権指導者たちが権威主義を競う時代、権威=天皇と権力=首相を分かつ柔構造を生かさない手はない。

 政治には、選択と集中、決断と実行といった強い働きと別に、災厄や障害への慰め、過去や死者への祈り、憲法や平和や人権への平衡感覚といった穏やかな働きも求められる。象徴天皇が政治のモラルを担う安心感は、思いのほか大きい。

 象徴天皇は、ただ「いる」のではない。漫然と続くのでもない。国民との不断の交感を通じて「なる」もの、努力と工夫により存続させていくものだ。続けるかどうかは国民の課題であり、政治の意思による。

 戦後、戦争責任へのわだかまりから、天皇制廃止論は自然な感情表現の一つだった。天皇制と民主主義の接合もなじめなかった。だが、教室にも会社にも町内会にも革命党にも「内なる天皇制」を抱える社会では空論となる。その間、象徴天皇制は民主主義の欲望と傲慢さと愚かさを補う役目を担いだした。

    *   *

 昨年11月、東京都内で開かれた憲法を議論する市民集会で、司会者が「憲法を変えて一番実現したいことは何」と尋ねた。自民党の石破茂元幹事長、国民民主党の玉木雄一郎代表と参加した立憲民主党の山尾志桜里衆院議員の答えは、「女性天皇を誕生させたい」。会場から唯一、拍手が起きた。

 男系男子の皇位継承を変えるのに必要なのは皇室典範改正で、憲法改正は関係ない。山尾氏に確かめると、「皇室典範は憲法体系の重要な柱の一つ。一体で考えるべきだ」という。

 確かに天皇は、憲法の統治機構で重要な地位を占める。首相と最高裁長官の任命、憲法改正や法律・政令・条約の公布、国会召集と衆議院解散、大臣や上級官吏の任免。男でも女でも、天皇がいなくなったら憲法体系の抜本改変は避けられない。

 ネット上で昨年、「愛子さまが天皇に、タレントの戸田愛菜が首相になる日」を描いた未来小説が話題を呼んだ。罪のない遊びだが、庶民の夢は侮りがたい。日本初の女性首相は案外、女性天皇誕生を待ってようやく実現するのかもしれない。

 自民党の甘利明税調会長が「男系中心に順位をつけ、最終的選択肢としては(母方が天皇の血筋の)女系も容認すべきだ」と発言し、後で釈明した。

 二階俊博幹事長も「男女平等、民主主義の社会を念頭に考えていけば、おのずから結論は出る」と女系容認を示唆した。

 与党重鎮の相次ぐ発信は、マスコミの思い込みに対する注意喚起だろう。8割が女性・女系天皇を認める世論を背に、自民党内の本音も実は容認論が大勢となっている。きっかけさえあれば今、実現する環境はある。むしろ、恐らく今しかない。

 外交も改憲も難渋し、安倍晋三首相は長期政権の実績作りに困っている。個人の信条はのみ込んで、国と歴史の大きな進路を考え大胆な決断を下すなら、改元と併せて歴史に名を刻む偉業となるのは間違いない。


<伊藤智永> 編集委員兼論説委員。政治部、経済部、ジュネーブ特派員など。著書に「『平成の天皇』論」(講談社現代新書)ほか。


2020年1月4日 毎日新聞朝刊 統12版 14ページ 「時の在りか-象徴天皇制を続けますか」から引用

 私の記憶では、今から10年くらい前だったと思いますが、とある人物と六本木のレストランでランチを共にしているときに、相手の方が「私は、これからは皇室に限って側室制度を導入するべきだと思うんですよ」と言いだし、それを聞いた私はビックリしてイスからずり落ちそうな衝撃を感じたものでした。夜の赤ちょうちんでビールでも飲みながらの冗談ならまだしも、白昼に時代錯誤の発言を聞いたショックは大きく、私としては「はあ、なかなか難しい問題ですね」などと言って言葉を濁すのが精一杯でした。しかし、上の記事が主張するように、皇室典範が皇位継承を男性に限定しているのは、現実の世の中や人々の認識との相異が大きすぎますから、遠からず皇室典範を改正して女性であっても皇位を継承できるようにするべきだと思います。





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最終更新日  2020年01月13日 01時00分06秒
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