県知事選挙でも住民投票でも、沖縄県民が何度も米軍基地建設反対の意思表示を繰り返したにも関わらず、安倍政権は辺野古の海の埋め立て工事を強行してきましたが、最近、「しんぶん赤旗」が取材したところ、辺野古の護岸工事の契約が本年2月と3月に更新されず、工事は事実上「打ち切り」になっていることが判明しました。5日の「しんぶん赤旗」日曜版は、次のように報道しています;
沖縄県名護市辺野古の米軍新基地建設工事で沖縄防衛局が3月末までに、軟弱地盤にかかわり6件の護岸・岸壁工事を途中で打ち切っていたことが編集部の調べで分かりました。軟弱地盤が存在するにもかかわらず工事を強行し、県民を諦めさせようとした安倍政権。その工事をコッソリ打ち切っていたことは、新基地建設の破たんぶりを示しています。
<藤川良太記者>
「このままだらだらやっていても仕方がない。(軟弱地盤で)もたないものを造ってもしょうがない」
打ち切りとなった工事を受注したゼネコンの関係者が打ち明けます。
今回、打ち切りとなった6件の工事はいずれも軟弱地盤が広がる大浦湾側のもの。2014年度に発注された工事です。(別表)
工事は14年11月~15年3月にそれぞれ着工され、工期を延長してきました。6件のうち5件の工期は今年2月末まで。1件は3月末まででした。
しかし編集部が、各工事の変更契約調書などを調べると、工期は延長されていませんでした。
打ち切りとなった6件の大半は本体工事が未着手。開始から5年以上かけて何もできずに打ち切られたのです。
その一つ「ケーソン新設工事(1工区)」(1)。ケーソンというコンクリート製の大型の箱を置き、護岸をつくる計画でしたが、やったのは確認ボーリング調査だけです。
同工事を受注した五洋建設・清水建設・みらい建設工業JV(建設共同企業体)の関係者は明かします。
「沖縄防衛局から工事を待ってくれといわれたまま、ゴーの指示が出ずに、工期が終わってしまった。それまでかかった分を清算して、ドカンと減額された」
◆営業所長もすでに転勤
「二重締切護岸新設工事」(3)を受注した前田建設工業・大本組・太名嘉組JVの関係者は、「工事が打ち切りになって、担当していた現場の営業所長は転勤してしまった」と話します。
県民のあきらめを狙って政府が最初に着手した「傾斜堤護岸新設工事」(4)も打ち切られました。約316メートルの護岸がつくられる予定でしたが、100メートルでストップ。埋め立て土砂を船で搬入するための桟橋として使用されています。工事の途中での契約打ち切りは、当初の契約金額に対する清算金額の割合(支払率)からも明らかです。
先の「二重締切護岸新設工事」は79億6089万6000円で契約し、契約変更で一時は約94億円に。しかし、最終的には当初契約の約6%にまで減額し、4億6019万8800円で清算しています。本体工事を行わないまま、その間の諸費用を業者に支払ったかたちです。
沖縄防衛局は遅くとも16年3月には地質調査の報告書を受け取り、軟弱地盤の存在を把握していました。日本共産党の赤嶺政賢衆院議員や日曜版編集部は17年2月、報告書の公開を要求。同4月には、赤嶺議員が国会で軟弱地盤の存在を指摘しています。
ところが防衛省は報告書をひた隠しにし、公表したのは18年3月。その後も見通しのないまま漫然と契約を更新し、巨額の税金を無駄にしてきた責任は重大です。
大手ゼネコン関係者は語ります。
「これまでの計画では、工事が進められなくなったのだろう。調査不足で、後から軟弱地盤が見つかって全部工事が吹っ飛ぶなんて聞いたことがない。全部、やり直しをしないといけないなど前代未聞の事態だ」
編集部の取材に沖縄防衛局は「確認作業が遅れている」として、質問から約1週間だっても回答をしません。
2020年4月5日 「しんぶん赤旗」日曜版 35ページ 「護岸6工事 コッソリ打ち切り」から引用
2017年2月ごろは確かに「しんぶん赤旗」が辺野古の海底は軟弱地盤だという報道を繰り返しており、国会でも共産党議員が何度も追及しまたのを私も記憶してます。しかし、安倍政権は例によって薄ら笑いを浮かべて「そんなことはありません。しっかり調査したうえで、工事を進めております」などと誤魔化してましたが、とうとうその誤魔化しも出来なくなったもののようです。国民の税金を無駄に浪費し、辺野古の自然を破壊した責任は重大です。安倍政権のこの重大な失態を黙って見過ごしてはならないと思います。