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カテゴリ:読書
藤野裕子著「民衆暴力 一揆・暴動・虐殺の日本近代」(中公新書)について、東京大学教授の宇野重規氏が17日の朝日新聞に、次のような書評を書いている;
この記事にも書いてあるように、江戸の百姓一揆はやみくもに暴力をふるうものではなく、百姓一揆には「一揆の作法」とでも言うようなルールがあった。通常、山間部の農村に住む百姓は狩猟の際に使用する目的で鉄砲や槍、刀剣などを所有していたが、一揆の際にそのような「武器」を持ち出すのは御法度で、クワやカマのような農具を携えて「自分達は農民である」ということをアピールするのが「一揆の作法」で、「食料生産が農民の仕事、農民の生活を含む世の中の平穏を維持するのが武家の仕事」という「仁政イデオロギー」とでも言う考え方が、農民と武士階級の間に共有されていたという見方が近年の近代史研究の成果のようで、人殺しや放火のような暴力沙汰になった一揆は、江戸時代の一揆の中では約一割弱というような説も紹介されています。藤野裕子著「民衆暴力 一揆・暴動・虐殺の日本近代」は、東大の二人の先生が推薦する名著と言えるのではないかと思います。しかもその二人が時の政権から煙たがられているという事実も、暗にこの書籍の価値を示しているのではないでしょうか。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2020年10月23日 01時00分05秒
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