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2020年11月24日
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テーマ:ニュース(99437)
カテゴリ:ニュース
菅首相が日本学術会議の会員を任命する際に6名を排除した問題について、関西学院大学准教授の貴戸理恵氏は8日の東京新聞に、次のように書いている;


 「教育研究に携わる者として、こんな暴挙を見過ごす姿を若い人たちに哂すわけにいかない」

 日本学術会議会員候補者の菅義偉首相による任命拒否に対して、私の勤務先の大学の学部では抗議の声明を出した。これは声明発表を决めた会議での、ある壮年教授の言葉である。議論は熱気を帯び、声明はあっという間に複数の外国語に翻訳され、海外にもシェアされていった。

 日本学術会議は戦争の反省に基づき、独立性の高い科学的見地から権力の暴走に歯止めをかける使命を帯びて設立された。「その大原則が揺らいでいる」という深刻な危機感はこの1ヵ月、アカデミアを駆け巡り、2日現在、抗議を表明した学会などは700に迫る。

 共通して問題とされるのは「政治的な人事介入」と「説明のなさ」である。任命拒不された6人は人文社会科学系の研究者で、安保法や特定秘密保護法に批判的な立場を表明したことがあった。政権に都合のよい人事を行うことで学問の自由を萎縮させかねない。

 また、菅首相は任命拒否の理由について「人事」を盾に説明を拒み、「多様性の確保」など矛盾した発言をしたうえ、日本学術会議に対して「既得権益」などと决めつけた。

 だが、日本学術会議側かデータで示したように、過去9年で性別や年齢などの多様性は高まっている。会員の推薦は透明性の高い業績ベースで、講演などでは破格の待遇を得るトップ研究者の会議出席での支払額は2万円程度。「会員は年金がもらえる」などの情報はデマであり、「学者の利権団体」どころか「高貴な義務」意識に支えられた手弁当活動に近い。

 問題は「説明のなさ」が今回だけでなく、安倍政権から受け継がれていることだ。

 社会学者の桜井啓太氏の集計によれば、国会答弁において「お答えを差し控える」と発言された回数は第2次安倍政権以降、大幅に増加している(桜井氏の10月29日のツイッターから)。

 もはや「説明せず国民が忘れるのを待つ」がミッションになっていないか。説明を拒否する権力は民主主義から独裁制へと舵を切る。その意味で今回の任命拒否はこの国に暮らすすべての人の問題だ。

 他方で、「学者の利権団体」としてバッシングする態度は与党周辺のみならず、より広い範囲の人びとに見られる。その人びとには研究者が「既得権の剥奪に抵抗する特権層」に見えるのだろう。背景には、「知」が多くの人にとって関係ない「個人が有利に生きるための私的財」とみなされてしまっている現実がある。「知」を社会にひらき、困難を抱えた人が役立て得るものとして提案していくことは、アカデミズムの抱える大きな課題である。

 皮肉なことに、任命拒否と「説明のなさ」によって「知」の重要性はいっそう明らかになっている。データを示して論理的な言葉で語ること。批判に開かれていること。そうした知的態度こそは安倍・菅政権が欠いているものである。

 そして、その不当さを許さず、「またか」と思っても慣れず、選挙において意思表示していくのは投票する側の「知」の問題ではないか。政権の暴走に歯止めをかけるのは、日本学術会議だけでなくこの国に暮らす全ての人びとが担い得る役割なのだから。
(関西学院大学准教授)


2020年11月8日 東京新聞朝刊 11版 5ページ 「時代を読む-任命拒否問題と『知』の役割」から引用

 菅首相は6名を排除した本当の理由を語らず、「多様性を確保するため」などと虚偽の理由を口走るから、学術会議側から「これまでの人選が多様性を確保してきている」事実をデーターをもって証明されるという不手際を露呈している。しかし、この記事では、社会の一部に学術会議を「学者の利権団体」と誤解している人々がいるのは、学問研究の成果を適切に社会に還元できていなかったからであると指摘しており、学問研究は個人の立身出世や栄耀栄華が目的で行うものではなく、人類の福祉に貢献することが目的なのだという本来の使命を再確認するべきだと思いました。





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最終更新日  2020年11月24日 01時00分06秒
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